セールスイネーブルメントとは?資料を用いた実践方法を7つのステップで解説
オンライン商談が当たり前となった今、注目を集めているのがセールスイネーブルメントツールです。しかし、そもそもセールスイネーブルメントとは何なのか?という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回は、セールスイネーブルメントに取り組むメリットをご紹介します。それから、すぐに取り組める「資料」を活用した実践方法までをご紹介します。
セールスイネーブルメントとは?
セールスイネーブルメントとは、中長期的に組織全体で「成果を出す営業パーソンを輩出し続ける人材育成の仕組み」を構築していくための取り組みのことを指します。
“Sales enablement is the process of providing the sales organization with the information, content, and tools that help sales people sell more effectively.”
(セールスイネーブルメントとは、営業チームがより効率的に販売を行うための情報、コンテンツ、ツールを提供するプロセスである。)
参考:TOPO社「insights and Research for Maketing, Sales Development and Sales」
つまり、『いままで営業パーソンによってバラバラだった営業方法を整備してデータ化し、だれがやっても効率よく成果が出せるようにしよう』という取り組みのことです。
セールスイネーブルメントのメリット
セールスイネーブルメントが注目されるようになった理由は、大きく2つあります。
- 営業スキルの脱属人化
- 複雑な顧客ニーズへの対応
営業スキルの脱属人化
急速にオンライン化が進みWEB上で情報がアクセスしやすくなった結果、比較検討を行う企業の導入担当者は 購買行動の60%を済ませてから企業にアプローチし、営業担当に接触しています。
そうなると、ただ商品の紹介をするだけの営業では受注ができなくなってきています。顧客が抱えている課題をつかみとり、解決策を提示するスタイルが求められています。
これまでは商品の機能やできることを紹介するだけである程度はだれでも同じように成果がだせていましたが、今は営業にも工夫が必要になり営業スタイルが属人化してしまっています。
セールスイネーブルメントに取り組み、組織全体で「成果を出し続ける人材育成の仕組み」 を構築することで、営業担当ごとの成果のバラつきを抑えることができます。
複雑な顧客ニーズへの対応
また、近年のテクノロジーの変化により、顧客のニーズが状況が複雑で多種多様になってきました。その顧客のニーズや状況にこたえて売上をつくるためにMAツールやSFA/CRMツールが登場し、見込み顧客のニーズを引き上げ商談化することは可能になってきました。
しかし、商談から受注できるかどうかは営業担当次第です。ツールによって興味を引き上げたとしても商談で適切なコミュニケーション・ニーズに合わせた提案ができなければ売上につながらず意味がありません。
そこでセールスイネーブルメントでは、営業活動をサポートするツールを導入し、ニーズに合わせたナレッジ(資料やスクリプト)を蓄積・営業組織全体で共有することで顧客に合わせた提案が可能になります。
資料を用いたセールスイネーブルメントの実践方法
具体的にどのようにセールスイネーブルメントに取り組めばいいのか。
- セールスコンテンツの作成・共有
- 成功事例の共有
- 教育・マネジメント・コーチング
- 営業プロセスの可視化・数値化
とセールスイネーブルメントには取り組むべき項目がいくつもあり、それをサポートするツールもでてきています。
しかし、すべてを網羅することは難しく営業部全員、かつマーケティングチームも巻き込み取り組む必要があり、なにから始めればいいのかがなかなか難しいところです。
そこで今回は、セールスイネーブルメントの第一歩として、資料作成代行サービスを運営してきた弊社がおすすめする「資料を活用したセールスイネーブルメントの実践方法」を7つのフローで説明します。
- 前提の整理
- トップセールスの商談を録画
- 商談の流れを文字起こし
- 共通部分の洗い出し
- 現資料と照らし合わせ
- 構成作成・デザイン
- 改善・追加
① 前提の整理
まずは、資料を通して商談で達成したいゴールや前提条件などを前提書(弊社がクライアントの資料を改善するときに整理するポイントをまとめたもの)を使って整理します。
改善背景 | 「商談の流れに沿った資料に改善し、全体の受注率を向上させたい」などの資料を改善する理由 |
資料の活用場面 | 「リスティング広告で獲得したインバウンドリードへの初回提案(オンライン)」などの資料を活用するシーン |
資料の活用方法 | 「オンライン商談中・商談後送付用」などの資料を何に使うか |
ターゲット | 「〜〜に課題を抱えているBtoB企業」等、資料を見せて商談を行う相手 |
達成したいゴール | 「次回の具体的な提案につなげる」など商談後の理想の顧客態度変容やゴール |
この前提書に沿って以下改善を進めていきます。都度この項目に整合性があるかどうか、ゴールが達成できる資料になったかどうかを確認できる指標となります。
② トップセールスの商談を録画
定常的に成果の出せるトップセールスの商談を録画します。顧客の業種やニーズによって商談の流れや内容が異なるため、複数回録画することをおすすめします。
事前に業種やニーズを分け、依頼が多かったり今後とっていきたい層を決定し、5種程度を目安に録画しましょう。
③ 商談の流れを文字起こし
録画が完了したら、それを丁寧に文字起こししていきます。録画のまま分析をしてもいいのですが、商談の構造を分解することが難しいので文字起こしすることをおすすめします。
文字起こししたら「ここまではヒアリングの話をしていて、ここからは商品の紹介をしているな」など明確に商談の流れがわかってきます。
記事を書く時のように、見出しをつけて構造化します。
④ 共通部分の洗い出し
各商談ごとに共通して話している部分があると思います。それを抜き出して、商談の流れのスクリプトにします。
ここで、毎回話していないけど業種・ニーズごとに話している部分も別で抜き出しておきます。
⑤ 現資料と照らし合わせ
どの商談でも使っていないページがあると思うので、その資料を削除します。逆に文字起こししたテキストから、資料にはないのにどの商談でも伝えていることがある場合は、資料の構成に追加します。
⑥ 構成作成・デザイン
不要なページを削除・不足している項目を追加した資料と文字起こししたテキストから資料の構成を立てます。構成を立てたら文章だけでいいので、パワーポイント資料にしていきます。
そのパワーポイントを見ながら、再度商談録画を確認して、ページごとに使用している時間や商談のペースを確認します。長く時間をかけているページでは文字量は多く、逆に短いページに関しては文字量は少なめに、と文字量の調節をして構成ができあがります。
最後にきれいなデザインに整えます。
⑦ 改善・追加
この資料を使えば、トップセールス以外の方が商談をしたとしても同じ流れで同じように商談を進めることができます。資料を通して「この部分ではこれを聞かないといけない」などのフィードバックで教育を進めることもできるようになります。
ただこれで終わりではなく、商談でよくでてくる質問などを全員で共有し、資料に追加したり、④(共通部分の洗い出し)で出てきた「業種・ニーズごとに話していること」を別の資料で作成しておいて、商談前に顧客の業種やニーズに合わせたページを追加するだけでだれでも柔軟な対応をとることができるようになるなど、ベースの資料を用いた運用が可能になります。
まとめ
今回は、資料を用いたセールスイネーブルメントの実践方法についてご紹介しました。資料を改善するだけで、営業担当ごとの成果のバラつきをなくし、あらゆるニーズに応えることができるようになります。
再度、実践方法をまとめましたのでご確認ください。
- 前提の整理
- トップセールスの商談を録画
- 商談の流れを文字起こし
- 共通部分の洗い出し
- 現資料と照らし合わせ
- 構成作成・デザイン
- 改善・追加
この手順で資料を構成し、運用することができれば、社内にどんどん資料コンテンツが蓄積していきます。だれでも均質な商談ができ、あらゆるニーズに応えられる提案パターンがたまり、商談準備時間も短縮されるなど、いいことづくめです。
資料のアップデートや随時追加は必要ですが、まずは1度現在の資料構成を改善することで大きく改善できます。営業組織の課題改善に、ツール導入はリスクが大きいなと感じていた方は、まずはリスクの少ない資料の改善からはじめてみてはいかがでしょうか。
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当ブログを運営する株式会社CONEは、資料作成代行サービス「c-slide」を展開しています。
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