営業資料の作り方と必須4ページ。構成やデザインも解説(テンプレート付)
営業パーソンならだれしもが利用する営業資料。初回商談に利用されることが多い営業資料ですが、この資料の内容によって次回提案につながるかどうかの成果が大きく変わります。
今回は、その営業資料の最適な構成と絶対に入れるべき4ページを解説します。資料作成代行サービスを運営する弊社が、数々の資料を改善してきたノウハウが詰まっておりますので、受注率を向上させ営業チームの成果を最大化するために、ぜひ参考にしてみてください。
また、空欄に情報を埋めるだけで完成する営業資料のテンプレート(pptxで保存可)も添付していますので、ぜひ今後の営業資料作成に役立てていだけると幸いです。
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受注率が低い営業資料の特徴
オフラインでもオンラインでもほとんどの企業で営業資料を活用して営業活動を行っていると思います。しかし、その営業資料自体が軽視され改善もなく、とりあえず全員その資料に沿って話してしまっているという状況をよく見ます。
そういった営業組織では、営業資料が土台になっているため、営業資料の内容が良くなければ自動的に受注率が上がることがありません。
では、どんな営業資料が「良くない」のか。良くない資料の特徴を2つ説明します。
見込み顧客が「自分ゴト化」できない内容の資料
シンプルに営業資料の内容が顧客にとって必要のない情報になっていることがあります。
サービス提供側は自社のサービスをだれよりも知っているため、相手が欲しい情報と自分が伝えたい情報にすれ違いが起きやすくそれに気づかないことが多いのです。
営業先の社内稟議に必要な情報が不足している資料
商談ではしっかり伝えられたとしても、結局は営業先の社内稟議に回されることがほとんど。営業相手と決済者が一致している場合は考える必要はないですが、そうでない場合は商談で話したことよりも「営業資料の内容」によって契約可否が決まってしまうことがあります。
そのためどれだけ良い商談ができたとしても営業資料が良くないと成約につながらないということが起きてしまいます。
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営業資料のテンプレート
以下はこの記事で解説する営業資料のテンプレートです。ざっと目を通してから構成の解説を読むと理解しやすいかと思います。
下記リンクよりpptx形式でダウンロードができますので、そのまま編集してご利用ください。テキストリンクをクリックするとダウンロードが開始されます。
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営業資料の作成・改善のための最適な構成
営業資料によって受注率が低くなっているということを裏返せば、「営業資料を改善することによって受注率は上がる」可能性があるということ。
ここからは、営業資料の最適な構成をご紹介しますので。営業資料の作成・改善時に参考にしてみてください。
まずは簡単に、構成を下記に示します。
- 表紙
- サービス概要 / 会社概要
- 部署の課題
- 担当の課題
- サービス紹介
- サービス紹介詳細(強み・特徴)
- 競合比較表・ポジショニングマップ(★)
- 導入効果
- 事例紹介(★)
- 料金
- 費用対効果・コストシミュレーション(★)
- ご利用の流れ
- FAQ(★)
- 会社概要
- CTA
★印がついているページは、検討に勝つために重要な必須4ページになります。全体の構成をご紹介してから、後で詳細の説明をします。
表紙
表紙は聞き手の姿勢を整える1ページです。「なにが伝えたい資料なのか」「誰向けの資料なのか」が重要になるため、タイトルと宛先は入れておきましょう。
また、LPや会社HPとトンマナも合わせます。資料だけデザインに力が入っていないものをよく見ますがブランドイメージを損ねたり、見た目だけで信頼を失ったりするので「デザインはLPにトンマナを合わせてきれいに」を意識しましょう。
- タイトル・宛先を入れる
- LPと同様のデザインに仕上げる
サービス概要 / 会社概要
サービスの実績を示すページになります。サービスの実績が不足している場合は、後述の「会社概要」のページを配置します。
大きな目的としては、実績や成長率を示すことで当該サービスの信頼を獲得することになります。
- 支援企業推移や支援企業数を数字で示す
- 取引先企業のロゴを、業界・企業規模等まんべんなく並べる
サービス概要
サービス概要の2p目は「いまから紹介するサービスはこんなサービスです」とわかるようなページにします。SaaSであればプロダクトのUI画面などを挿入し、サービスの利用イメージを示したり、サービスのキャッチコピーを配置し、一瞬でどんなサービスなのかがわかるようなデザインにします。
- かんたんにサービス概要がわかるようなリード文
- LPのファーストビューのメッセージなど使用
- 実際のサービス画面など、サービスをイメージできるようなキャプチャ
- 3つ程度メリットを箇条書きで記載
部署の課題
次に、見込み顧客にかかえている課題を訴求するページになります。多くの企業は次のページの「業務担当の課題」について用意していますが、その前にこの「部署の課題」を置いておくことをおすすめします。
商談を終えてから営業資料を送付すると思いますが、その際に担当の課題だけでは決済者には響かず成約にいたらないケースがあります。部署の課題を訴求することで、営業先の社内稟議に通りやすくする効果があります。
- 自社サービスで解決できる、業界や部署単位の課題を挙げる
- 決済者が感じているであろう課題を記載する
- 調査リリースなどを利用し数字で訴求する(他社のものの場合は出典元を記載)
担当の課題
部署の課題に加え、通常の「担当の課題」のページも作成します。業務担当者が抱えている課題を具体的に記載します。
部署の課題よりもっと具体的に、商談相手がその業務シーンを想起できるレベルで課題を表現します。商談に相手にとって「そこまで重要度が高くない課題」を記載するのはNG。「〇〇をする状況における〇〇という課題」のように、文字数が多少多くなってもいいので具体的に説明をします。
- 担当の解決したい課題を重要度が高いものを選んで記載
- 緊急度の順番で左から並べる
- 詳細の説明文では、文字数が多くなっても構わないので「当該業務シーン」「そのときに抱く感情」「実際の課題の数字」など具体的に説明する
サービス紹介
「担当の課題」に対して自社サービスで解決できることとその解決方法を記載します。課題をどんな方法で解決し、どんなメリットを得られるのかを説明します。
- 「担当の課題」に対応した「解決策」を記載
- 詳細説明文で「どうやって解決するのか」を簡潔に説明(後でひとつずつ説明する)
サービス紹介詳細(強み・特徴)
先ほど「サービス紹介」ページで記載した解決策をひとつずつ説明します。詳細説明部分で記載した内容を具体的に説明するページになります。他社にない特徴や強みもここで合わせて表現できると良いです。
・どんな課題を
・どうやって解決するのか
・それができる理由、根拠は何なのか
・解決した先に得られるメリット、効果はどんなものか
などを丁寧に説明していきます。サービス紹介ページの解決策の個数分、スライドを作成することになります。
- サービス紹介ページの解決策を1つずつ解説(詳細説明部分の記載内容の掘り下げ)
- 他社にない特徴や強みを表現する
競合比較表・ポジショニングマップ(★)
このページでは、簡単に競合他社と自社を比較するページになります。比較軸は「比較検討層の見込み顧客に質問されること」から多いものを選んでください。
競合比較は、表でもポジショニングマップでも大丈夫です。とにかく顧客が比較対象にする軸を選定することにフォーカスします。
- 表でもポジショニングマップでもいいので、特徴・強みを他社と比較
- 自社を目立たせるデザイン
- 詳細説明部分で、競合に優位な点を説明
導入効果
次に、サービスを導入することで得られる効果を数字やデータで示します。複数枚にまたがっていいので「担当の課題」ページで羅列した課題を解決した結果、どんな効果があったのかを実際の数字やデータで説明します。
- 「担当の課題」ページの課題を解決した結果を数字・データで示す
- わかりやすいグラフで説明
- 課題と実績に応じて実際の効果を2〜4つほど記載
- 詳細説明部分では、課題をどうやって解決したのか具体的な方法を解説
事例紹介(★)
導入効果の次は、導入事例を「クライアントの声」を使用して表現します。業界・従業員数・部署・担当業務などを記載できると、見込み顧客が自分ゴト化しやすいのでより良いです。
「依頼背景・課題感」を自社サービスを活用することで、どのように解決しどんな効果があったのか。その結果自社サービスに対しての「満足度・評価」はどのようなものか、を記載します。
- 説明文ではなく、クライアントの声としての表現をする
- 1文でメリットがわかる文章を目立たせる
- 業界・従業員数・部署・担当業務など、クライアント属性をできる限り記載
- 制作会社なら納品物イメージ、SaaS提供会社なら利用イメージなどのキャプチャを挿入
料金
料金体系・料金プランを記載します。プランによる提供内容の違いをわかりやすく説明します。
- デザインは縦でも横でも可
- プランによる提供内容の違いをわかりやすく説明
- 「こんな方におすすめ」や「対象企業規模」等の表現を追加
費用対効果・コストシミュレーション(★)
コストシミュレーションのページでは実際の事例の数字を用いて費用対効果を示しましょう。「弊社サービスを〇〇円で導入した結果、〇〇円の売上が出ましたよ」ということが伝われば、発注確度が上がる可能性があります。
- かける費用と上がる売上を示す
- もしくは、かける費用と削減できるコスト(人や時間や費用)を示す
- かけてもらう費用でなにができるのか、なにをするのかを記載
- 上記以外に他の具体的な数字まで示せると尚良し
ご利用の流れ
お問い合わせからサービス導入や契約完了までの流れをひと目でわかるように記載します。各フェーズごとに実際なにをするのかの具体的なアクションを記載して、商談を追えても見込み顧客が次のアクションに進みやすいようにします。
- お問い合わせからサービス導入や契約完了までの流れをひと目でわかるように記載
- 各フェーズごとに具体的なアクションを記載
- ややこしい部分やこれまで質問が多かったフェーズは、補足説明を挿入
FAQ(★)
FAQページでは、商談時によく聞かれる質問を掲載しておきます。LPのFAQをそのまま掲載するのはNG。LPのFAQは「問い合わせ前」のよくある質問なので、商談時に出てくる質問とはまた異なります。
商談を重ねるにつれて質問はどんどん変わっていくので、FAQリストをスプレッドシートなどに残しておいて、随時入れ替えてアップデートしていくことをおすすめします。
- 商談時によく聞かれる質問を掲載
- LPのFAQをそのまま掲載はNG
- 商談を重ねる中で、FAQリストはアップデートし続ける
会社概要
会社の設立年や従業員数など、信頼獲得につながるものがあれば記載します。また、アウトバウンドの営業の際など、まず信頼を獲得し聞き手の姿勢を整える必要がある場合は、冒頭2p目に配置します。
- 設立年や従業員数など信頼獲得につながるものを記載
- 情報が不足している場合、代表者の経歴でも可
- アウトバウンド営業の場合などは冒頭に配置
CTA
資料の最後は「CTA」ページです。裏表紙としてただ付けただけのページにするのではなく、次の行動を促すためのCTAとして機能させます。
またCTAとして利用している企業も増えてきていますが「どこを押したらいいのかわからない」ページになっていることもしばしば。昨今は資料もWeb上で開くことがほとんどなので、LPと同じようなデザインにしておくことをおすすめします。(CTRが向上します)
- 次のアクションをボタンにして設置
- デザインはLPのボタンに似せる
また、その他の挿入すべきスライド項目については以下記事で考察していますので、気になる方はご覧ください。
作成するのが難しそうであれば、代行サービスを使ってみるのもひとつの手段です。
\営業資料の作成事例も掲載しています/
・資料作成代行サービス「c-slide」のサービスサイトへ
・営業資料作成の支援事例一覧へ
比較検討の勝敗を左右する「4ページ」
上記で解説した営業資料の構成は基本的なものになっています。トークスクリプトに合わせて順序や文字量を調節し、商談のリズムを崩さない資料を作成してください。
その上で、商談が終わると次回提案につなげるか、もしくは受注の決定連絡を待つかどちらかになると思います。営業先の社内稟議のために営業資料を送付しますが、その際に行うひと工夫で比較検討の勝率が大きく変わります。
その工夫すべき重要なページを4枚ピックアップし、活用方法を解説します。
比較検討の勝敗を左右する4ページは以下になります。(先述の構成の★印ページです)
- 競合比較表・ポジショニングマップ
- 事例紹介
- 費用対効果・コストシミュレーション
- FAQ
◆ 競合比較表・ポジショニングマップ
比較軸は「比較検討層の見込み顧客に質問されること」から多いものを選んでくださいと説明しましたが、この比較軸になにを設定すればいいかわからない場合は、「自社サービスカテゴリ+選び方」で検索し、ヒットした記事を何件か読み複数回でてきた選定基準を比較軸にしましょう。
その上で、商談時に「比較している基準を教えていただけますでしょうか?」と聞いてみることをおすすめします。そのときにもらった回答をこの競合比較ページに反映させて、自社が競合より優位な部分を示しましょう。
反映させた資料を後送することで比較検討の勝率向上が見込めます。
◆ 事例紹介
事例紹介ページの工夫は「商談相手と類似の事例」を掲載しておくことです。これは商談前にできる工夫だと思います。商談前に商談相手の情報をしっかりしらべて社内の類似事例を選んで差し替えます。
類似事例の企業のネームバリューがあまりない場合は、もう数枚の事例紹介で大手やネームバリューのある企業を掲載しておきましょう。
さらに商談後であれば商談相手の部署や担当の課題感が明確になるので、事例の差し替えをするのも効果的です。
差し替えをスムーズに行うため、事例紹介ページについてはフォーマットを用意し、画像・テキストを入れかえるだけで情報が変更できる状態にしておきましょう。
◆ 費用対効果・コストシミュレーション
このページも同じように「商談後に商談相手に応じて適切な情報に入れ替え」を行います。
商談相手の、商材種類・商材単価・部署規模・部署課題などを整理し、社内データから類似の事例を探し出します。そのデータを挿入することで、1対Nの多数を想定した汎用性の高い営業資料が、1対1の見込み顧客に向けた専用の提案資料に変わります。
「売上」や「コスト」に直結するデータが記載された資料を後送することで、営業先の社内稟議に関わる人全員が自分ゴト化することができ、比較検討の勝率向上が見込めます。
◆ FAQ
最後にFAQページになります。商談後に行う工夫は「FAQに商談中のQ&Aを追加する」というものです。
FAQページをコピペして、商談中に出た質問とそれに対する回答をまとめたページを作ります。
商談中に出た質問とその回答は、商談相手と自分の2者間でしか共有されていません。それがもし見込み顧客にとって重要なポイントだったとしても、営業先の社内稟議では共有されることはありません。
見込み顧客からすると二重確認の手間も省けるという点からも、この商談中Q&Aページを作ることをおすすめします。
以上が、比較検討の勝率を左右する4ページになります。商談前後に少しばかり「編集」をするだけで勝率を上げられるかもしれないので、ぜひ実践してみてください。
資料のフォーマット化により商談の確度を上げた例はこちら。
商談後の資料送付で役立つツール
弊社が提供する検討度可視化クラウド「contentswork」では、顧客が提案ページを閲覧することで、どんなコンテンツに興味を持っているかの興味関心の把握から、検討度をスコア算出できます。検討度スコアが蓄積されると自動で検討状況の追いかけが走るためセールスの工数減も同時に実現。
商談後に、上記で解説した4スライドを中心に「先方社内で展開される用」の資料を作成し、contentsworkで送付することで、「検討してくれているかどうか」の判別がつき、フォローの優先度をつけることができます。また、成約に至った顧客はどんな資料コンテンツを閲覧していたのか、などから成約率向上のアクションにも活用することができます。
資料コンテンツ送付時は、テンプレートに資料を複数登録しておくことで、送付時に対象外の資料を削除するだけで、場面に応じて瞬時に最適なコンテンツ送付ができます。そのため、これまでの資料添付業務をリプレイスするだけで導入できますので、ご興味を持っていただいた方は下記リンクよりお問い合わせくださ。
⇒ 検討度可視化クラウド「contentswork」:サービスサイトへ
まとめ
今回は、受注率を向上させる営業資料の構成と作り方について解説しました。
受注率が低くなる「良くない資料」の特徴はこちらでした。
- 内容が営業先にとって「自分ゴト化」できない
- 営業先の社内稟議で情報が不足している
営業資料を最適な構成に改善し、検討の勝率を左右する4ページを工夫することで、上記のような状況を打破し、受注率改善が見込めます。
営業資料ひとつで成果が変わることがありますので、今回の記事を参考に、営業資料の改善と運用に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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上記で説明したようなナレッジをもとにサービスを提供していますので、ご自身で改善が難しいと感じた方は、お気軽にご相談くださいませ。