100の営業資料分析 × 顧客側の本音調査。受注率を高めるベストプラクティス構成 | Coneのコンテンツ制作所

100の営業資料分析 × 顧客側の本音調査。受注率を高めるベストプラクティス構成

メディアマーケター 熊本羽那丸

弊社では、資料作成代行サービス「c-slide」を通じて年間200社超の営業資料作成を支援しています。日々クライアントと向き合うなかで、最も多く受ける相談のひとつが「営業資料に何を入れればいいかわからない」という悩みです。

過去に実施した「100件の営業資料分析」では、「営業側がどんな資料を作っているか」を明らかにしました。しかし営業資料は最終的に顧客の判断に影響を与えるものなので、営業側の実態だけを見ていても、「本当に効く構成」には辿り着けません。

そこでこの調査では、営業資料100件の分析と顧客側222名へのアンケートを掛け合わせ、営業側と顧客側のギャップから導いた「受注率を高めるベストプラクティス構成」を提示します。

調査概要・対象・方法

【調査①】営業資料スライド項目分析

対象2024〜2026年に弊社が支援した営業資料100件
分析方法22種のスライド項目リストに対し、各資料への含有有無を集計
業種ITサービス・BPO・コンサルティング・製造・人材を中心としたBtoB企業

【調査②】顧客側アンケート

調査対象過去2年以内にBtoBサービスの導入検討に関わった経験がある222名
実施期間2026年3月17日〜3月19日
調査方法リサーチ代行サービス「c-slide lab」によるインターネット調査
調査実施資料作成代行サービス「c-slide」を運営する株式会社Cone

回答者の役職内訳は、経営者・役員が16.7%、部長・課長クラスが38.3%と、決済者層が全体の約55%を占めています。残る約45%は係長・主任クラス(13.5%)と一般社員(30.6%)です。

なお決済者層には「導入検討に影響したスライド」を、実務担当者層には「社内稟議に回す際に入っていてほしいスライド」をそれぞれ尋ねています。商談で判断する人と、社内稟議を動かす人とでは、求めるものが異なるという仮説のもとで設問を設計しました。

営業資料100件のスライド分析結果

弊社が2024〜2026年に支援した依頼前の営業資料100件を対象に、22種のスライド項目の挿入率を集計しました。

22項目のスライド挿入率ランキング

評価基準は以下のとおりです。

基準定義
頻出80%以上の営業資料に挿入されている
標準50%以上の営業資料に挿入されている
平均以下30%以上の営業資料に挿入されている
希少30%未満の営業資料にしか挿入されていない

※ 対象にした営業資料は、すべて別の企業のものであり、業種は「ITサービス・BPO・コンサルティング・製造・人材」のBtoB企業が中心となっています。

「強み・特徴(88%)」「解決する課題(81%)」「会社紹介(79%)」は多くの企業が取り入れている一方、「競合比較(24%)」「コストシミュレーション(11%)」「よくある質問(17%)」「課題の深堀り(25%)」は少数派です。

自社・サービスを説明するスライドは揃っていても、顧客の意思決定を後押しするスライドが抜け落ちている営業資料が多いということが分かります。

2026年時点での「標準的な営業資料構成」

「希少」を除いた項目をまとめると、2026年時点での標準的な営業資料の構成といえます。はじめて営業資料を作成する際は、まずこの標準構成に則って作るのが良いでしょう。

では、2024年版の標準構成と比べると何が変わったのでしょうか。

2024年版と並べると、「目的・アジェンダ」「ミッション・ビジョン」が標準から脱落し、代わりに「サポート体制・メンバー」と「支援の流れ・スケジュール」が新たに標準入りしています。

以前は「どんな会社か・どんな想いで事業をしているか」を伝えることが重視されていましたが、現在は「導入後にどんな体制で、どんな流れで成果に向かえるか」を具体的に示すことが標準になりつつあることがわかります。

ただし、標準構成はあくまで「多くの企業が入れている構成」であり、「受注率が高い構成」とイコールではありません。次の章では、実際に顧客側が求めるスライドを分析していきます。

各スライド項目の詳細や作り方については、以下の記事で詳しく解説しています。

2024年版:100の営業資料のスライド項目分析。標準的な構成とベストプラクティスの違い

顧客側222名が答えた「本当に重視するスライド」

営業資料は最終的に顧客側の判断に影響を与えるものです。このセクションでは顧客側222名のアンケート結果から、「本当に重視されているスライド」を明らかにします。

決済者層が導入検討に影響したスライド

まず、決済者層122名に「導入検討に影響したスライド」を尋ねました。

最も多く選ばれたのは「導入効果(54.9%)」で、次いで「解決策(48.2%)」「事例・お客様の声(47.5%)」という結果でした。

決済者層が重視するのは「どんな会社か」「何のサービスか」といった説明ではなく、「導入した結果、自社はどうなるか」という成果の具体性だということです。「会社紹介(29.8%)」「事業・提供サービス一覧(25.1%)」が下位に沈んでいることからも、決済者はサービスの概要把握よりも意思決定の根拠を営業資料に求めていることがわかります。

実務担当者層が社内稟議通過に必要だと感じているスライド

次に、実務担当者層100名に「社内稟議に回す際に入っていてほしいスライド」を尋ねました。

最も多く選ばれたのは「事例・お客様の声(55.7%)」で、次いで「実績一覧(52.4%)」「料金表(50.8%)」という結果でした。

実務担当者層が稟議の場で最も必要とするのは、「このサービスは信頼できるか」「いくらかかるか」という社内説得の材料なので、「実績・事例・料金」という客観的な根拠を求めていることがわかります。

決済者層と実務担当者層の重視するスライドはどう違う

同じ「重要なスライド」でも、決済者層と実務担当者層では求めるものが大きく異なります。

全体を見ると、決済者層は「成果・投資対効果」を、実務担当者層は「社内説得の材料」を重視する傾向があるということが分かります。

以下は、決済者層が実務担当者層より強く求めているスライドになります。

決済者層が特に強く求めているのは「解決策」「導入効果」「サポート体制・メンバー」「よくある質問」です。「このサービスを導入すると自社はどうなるか」「疑問や懸念を解消できるか」という、意思決定の根拠となる情報を求めていることがわかります。

次に実務担当者層が決済者層より強く求めているスライドを見てみます。

実務担当者層が特に強く求めているのは「事例・お客様の声」「実績一覧」「料金表」「コストシミュレーション」です。稟議の場で社内関係者を説得するために「信頼できる会社か」「実際に成果が出ているか」「いくらかかるか」という客観的な根拠を求めていることがわかります。

決済者層と実務担当者層がそれぞれ求めるスライドをまとめると以下になります。

決済者層実務担当者層
求めていること意思決定の根拠社内説得の材料
重視するスライド導入効果・解決策・よくある質問・サポート体制事例・実績一覧・料金表・コストシミュレーション
視点「このサービスで自社はどうなるか」「なぜこの会社・このサービスなのか」

商談の場で判断を下す決済者層と、稟議の場で社内を動かす実務担当者層では、同じ営業資料を読んでいても見ているポイントが異なります。

営業担当者側と顧客側側のギャップ

ここまで「営業側が実際に作っている資料」と「顧客側が重視するスライド」を別々に見てきたので、このセクションでは2つのデータを重ね合わせ、営業側と顧客側の間にあるギャップを明らかにします。

分析の前提として、挿入率50%未満の項目を「営業担当者が十分に入れられていないスライド」と定義します。その範囲の中で顧客側の重要視率が高い項目を、営業側と顧客側のギャップとして取り上げていきます。

決済者層が求めているのに、入っていないスライド

営業資料への挿入率が50%未満の項目のうち、決済者層の重要視率が高い項目は以下です。

特にギャップが大きいのは「コストシミュレーション」「よくある質問」「導入効果」の3項目です。決済者層が意思決定の根拠として強く求めているにもかかわらず、多くの営業資料に入っていません。

実務担当者層が求めているのに、入っていないスライド

挿入率50%未満の項目のうち、実務担当者層の重要視率が高い項目は以下です。

特にギャップが大きいのは「コストシミュレーション」「実績一覧」「料金表」の3項目です。実務担当者層が稟議の場で最も必要とする「いくらかかるか」「実際に成果が出ているか」という客観的な根拠が、営業資料に盛り込まれていません。

受注率を高めるベストプラクティス構成【2026年版】

ここまでの分析で明らかになったのは、営業担当者が入れられていないスライドの中に、顧客側が強く求めているものが複数あるという事実です。

この章では、そのギャップを埋めた2026年版のベストプラクティス構成を提示します。

決済者層対応版

決済者層が特に求めているのは「このサービスを導入すると自社はどうなるか」という成果の具体性と、「懸念点は解消されるか」という意思決定の根拠ということが分かりました。

ギャップ分析の結果をもとに、標準構成を補強した構成が以下になります。

標準構成から4項目を削除し、3項目を新規追加した結果、決済者層対応版は表紙を含む14スライド構成になります。

削除した「導入の流れ」は「支援の流れ・スケジュール」に置き換えており、契約までの手続きではなく導入後の成果に向かう流れを示すスライドとして機能します。

実務担当者層対応版

実務担当者層が求めるのは「稟議の場で社内関係者を説得するための客観的な根拠」です。決済者層対応版とは設計の目的が異なるため、採用するスライドも異なります。

標準構成から3項目を削除し、2項目を新規追加した結果、実務担当者層対応版は表紙を含む14スライド構成になります。

削除した「サポート体制・メンバー」は稟議用途では優先度が下がると判断し、代わりに「競合比較」を追加しています。稟議の場で社内関係者が「他社と比べてどうか」を確認できるようにすることで、社内承認が通りやすくなります。

ここまで「商談の場で使う営業資料」の構成を提示しました。しかし、営業資料の役割は商談が終わった後も続きます。商談後に送付する資料が、稟議の場での意思決定を左右するからです。

商談後の送付資料も、受注率を左右する

実は、顧客側の80.6%が「商談後に内容を思い出せなかった経験がある」と回答しています。

商談は営業担当者と顧客の2者間で行われますが、稟議の判断材料になるのは送付された資料だけです。口頭で伝えた内容が資料に残っていなければ、商談の成果が稟議の場で活かされません。

では顧客側は商談後の送付資料に何を求めているのでしょうか。

1位「商談中に出た質問とその回答(58.1%)」、2位「自社の場合のコストシミュレーション(38.7%)」、3位「自社と類似の導入事例・実績(35.6%)」という結果でした。

「商談時と同じ資料でよい」はわずか13.5%で、顧客側の約9割は、商談をそのまま転送するだけでは不十分だと感じています。

商談後に追記・差し替えすべきスライドは以下の3点です。

① よくある質問に「商談中に出た質問と回答」を追記
商談中に出た質問とその回答は営業担当者と顧客の2者間にしか共有されていません。よくある質問スライドに追記して送付することで、稟議の場で生じる疑問を事前に解消できます。

② コストシミュレーションを顧客情報に合わせてカスタマイズ
ヒアリングした顧客の規模・予算感をもとに数値を入れ替えて送付することで、稟議での自分ごと化を促します。

③ 類似の導入事例・実績に差し替え
顧客の業種・課題に近い事例に差し替えて送付することで、「自社でも再現できる」という確信につながります。

「商談用」と「送付用」を別々に作るのは手間に感じるかもしれませんが、実際には上記3点の追記・差し替えで対応できます。

営業資料の各スライドの詳しい作り方については以下の記事でも解説しているので、合わせて参考にしてみてください。

関連記事:営業資料の作り方と必須4ページ。構成やデザインも解説(テンプレート付)

送付資料の適切なページ数は11〜30ページ

ベストプラクティス構成を参考にしながらも、「何ページ作ればいいのか」という疑問を持つ方も多いでしょう。今回のアンケートでは、顧客側が感じる適切なページ数についても尋ねました。

「11〜20ページ(36.0%)」「21〜30ページ(30.2%)」を合わせると、66%が「11〜30ページ」を適切と感じています。

今回提示したベストプラクティス構成に上記3点を追記・差し替えした場合、決済者層対応版・実務担当者層対応版ともに概ねこの範囲に収まります。ページ数よりも「顧客が必要とする情報が過不足なく入っているか」を優先する意識が大切です。

営業資料の改善に行き詰まったら

本調査では、100件の営業資料分析と顧客側222名へのアンケートを掛け合わせることで、これまで見えていなかった「営業側と顧客側のギャップ」を明らかにしました。

調査を通じて見えたのは、営業側が「伝えたいこと」と顧客側が「知りたいこと」はずれているという事実です。また顧客側の80.6%が「商談後に内容を思い出せなかった経験がある」と回答しており、商談の場だけでなく送付資料のあり方も受注率に影響していることがわかりました。

「よい営業資料」とは、営業担当者が伝えたい情報を詰め込んだ資料ではなく、顧客側が社内を動かすために必要な情報を過不足なく提供できる資料です。本調査がその基準を見直すきっかけになれば幸いです。

当ブログを運営する株式会社Coneは、資料作成代行サービス「c-slide」を提供しています。

「c-slide」では、年間200社超・累計850社以上の営業資料作成を支援してきた実績をもとに、構成設計からデザイン・制作まで一貫してサポートしています。

「まず資料を見てほしい」「どこから手をつければいいかわからない」という段階からでもお気軽にご相談くださいませ。

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メディアマーケター

熊本羽那丸

自社オウンドメディアのコンテンツ制作を中心に、メディアマーケターとしてSEO戦略から記事設計、執筆まで幅広く担当。数字やデータをもとに改善を重ねながら、読者にとって本当に役立つ情報を届けることを大切にしています。 文章ひとつで人の心を動かす、その可能性を信じながら日々コンテンツと向き合っています。