顧客フォロー業務(後追い営業)とは?受注率UPの3つの方法とメール例文
営業担当が商談後に実施する、後追い営業とも呼ばれる顧客フォロー業務。「やらないといけない」とはわかっていても、手間がかかるうえに成果につながっているかどうかが見えないのが難点ですよね。
ただ、この顧客フォロー業務を”正しく”実施できるかどうかで受注率に大きく差が出てきます。本記事では、その顧客フォロー業務を多くの企業が失敗してしまう理由と、正しく実践する方法について解説します。
弊社Coneでは、受注率を上げる顧客フォロー業務で活用できる「社内検討用資料」の作成を代行支援しています。受注率や比較検討勝率でお困りの方はぜひお気軽にご相談ください。
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目次
営業活動における顧客フォロー業務(後追い営業)
一般的に「後追い営業」とも呼ばれる顧客フォロー業務は、”商談後のアプローチ”を指します。商談で「検討します」と言われた、受注確度が中〜高の見込み顧客に対する追いかけや追客のこと。
この検討顧客に対するアプローチをすることで、他社との比較検討の勝率を向上させたり、アプローチをして受注になるタイミングを早める商談期間の短縮を目的とする営業活動になります。
正しく顧客フォローを行うことができれば、受注率を向上させ「売上が上がって」、商談期間が短縮できることで「ひとりが持てる商談数が増える」ようになります。
- 対象:商談後の検討顧客
- 目的:受注・商談期間の短縮
次に、検討顧客ではない他の対象に対する顧客フォロー業務と似ている活動がありますので、その違いを説明します。
対 未商談リード(リードナーチャリング)との違い
まずは、未商談リードと呼ばれる「リスト(名前やメールアドレスなどの顧客情報)は持っているものの商談をしたことがない」見込み顧客に対するフォロー業務。
こちらは、顧客フォローや後追い営業と呼ばれるものではなく、「リードナーチャリング」と呼ばれるマーケティング部が担当する業務を指します。メールマーケティングが主流で、リード(見込み顧客)に定常的にメールを配信して、興味が引き上がってきたタイミングでインサイドセールスが架電などのアプローチをして商談化を目指すアプローチのことです。
- 対象:未商談リード
- 目的:商談化
対 失注顧客(掘り起こし)との違い
次は、失注顧客と呼ばれる「一度商談をした or 過去に契約していたが解約になった」顧客に対するフォロー業務です。
こちらも後追い営業ではなく「掘り起こし」営業と呼ばれるもので、営業担当もしくはカスタマーサクセスが実施する活動になります。メールや架電などのアプローチで、機能追加や最新の情報などを送付して再度自社サービスに興味を持ってもらい商談化を目指すアプローチのことです。
- 対象:失注顧客
- 目的:商談化
つまり、顧客フォロー業務(後追い営業)は、他の業務が「商談化」を目指すのに対し、「受注」を目指す業務だということです。
顧客フォロー(後追い営業)が必要な理由
顧客フォロー業務は「やらないといけない」とはわかっていても、手間がかかるうえに成果につながっているかどうかが見えないのが難点ですよね。
しかし、この後追いができているかどうかで大きく差が出てきます。ここで、顧客フォロー業務が必要な2つの理由について説明します。
- BtoBの決裁には平均11人が関わる
- 商談した顧客の8割は他社に流れる
BtoBの決裁には平均11人が関わる
ガートナー社の調査によると、BtoBの購買意思決定に関わる人数は平均11人とされており、商談後の検討期間は必然的に長くなるため、その期間中に「購買意欲の減少」や「社内状況の変化」により、見込み顧客が離れてしまう可能性があることは容易に想像ができます。
この、検討のステップにおいて、適切なフォローを行うことで「検討の手助け」を行うことができれば、受注につながる可能性があるということです。
商談した顧客の8割は他社に流れる
シリウスディシジョンズ社(現Forrester社)の調査では、営業担当者が「見込みなし」と判断して、フォローしなかったリードのうち、8割が2年以内に競合他社から製品を購入しているという結果が出ています。
逆に言えば、この8割の失注としてしまった顧客(つまり検討が長い顧客)に適切なフォローを行っていれば、受注につながる可能性があるということです。
顧客フォロー(後追い営業)が失敗する理由
ここまで顧客フォロー業務の重要性について説明してきましたが、後追いは実施している!という企業も少なくないと思います。
しかし、この後追いの方法が適切でないために、成果につながっていないことが多いのです。ここでは、顧客フォロー業務が失敗する理由を「方法」と「内容」の2点から説明します。
方法のミス:電話をかける
まずは、追いかけ「方法」についてですが、基本的には連絡の方法はメールと電話。両方使うのが良いと思っている方も多いかもしれません。
ただ、電話はNGです。問い合わせ後すぐは、顧客側からしても「いち早く内容が知りたい」と考えている場合が多く、電話がかかってくるのは嫌悪感がないでしょう。事実、問い合わせの5分以内の返信で商談化率が8倍に向上するという調査結果もあります。(※ LEAD RESPONSE STUDY 2021)
しかしながら、商談後は顧客側が「今どんな状況にいるのか」が見えないため、こちら都合で電話をかけても迷惑に思われるだけです。信頼感を落とす・焦っていると思われる、など受注にいい影響を及ぼさないため、基本的には相手の時間を選ばないメールでの連絡にすることをおすすめします。
内容のミス:「ご検討状況いかがでしょうか?」しか武器がない
次は、追いかけ時「どんな内容で連絡しているか」ということ。ほとんどの営業担当は「ご検討状況いかがでしょうか?」という一点ではないでしょうか?
しかし、この連絡内容は、営業担当側の「受注する」という目的のみで実施されているため、顧客からすれば迷惑な連絡にしかならず、受注につながらないことが多いのです。これが営業担当が「顧客フォローをしても同じ」と考えてしまう理由です。
ただ現実、「ご検討状況いかがでしょうか?」しか連絡する理由が見当たらないのが課題。
では、どんな内容で追いかけ連絡をすればいいのか?を次の項で見ていきます。
受注率を向上させる3つの後追い営業方法とメール例文
受注率を向上させる3つの後追い営業の方法を紹介していきますが、自社都合にならないためにも基本的な考え方を抑えておく必要があります。
それが「顧客にとって役に立つ情報を送付する」ということ。
- ご検討状況いかがでしょうか?→自社目線
- こんな情報があるので社内でご活用ください→顧客目線
この箇条書きを見ただけでも印象が違うのがわかります。それだけ連絡内容は重要になります。「顧客が知りたいこと」を送付することで、リマインドの効果に加え信頼感の獲得、検討の進行が期待できます。
では実際に活用できる3つの方法を見てきましょう。(それぞれメールの例文もつけています)
- 検討に必要な情報を送付する
- 課題を解決できる情報を送付する
- 関連最新情報を送付する
【1】検討に必要な情報を送付する
検討中の見込み顧客は、サービスを導入するにあたって、競合他社との特徴や料金などの違いの整理や社内での提案をする必要があります。その社内調整に骨が折れてしまい、検討が止まっているケースも少ないないのです。
この停滞を前に進めるためには「ご検討状況いかがでしょうか?」だけでは、顧客社内の状況に変化は出ません。
そこで効果的なのが、商談時のヒアリング内容をもとにした「検討に必要な情報を整理したドキュメントや資料」です。たとえば、「検討する際にこの項目を比較したほうがいいですよ」だったり「競合サービスとの一覧比較表」だったりします。
先に商談で検討を進めるうえでの懸念材料を聞いておけば、それを反映させた資料を送付することができます。(それを弊社Coneでは「社内検討用資料」と呼んでいます)
■ 社内検討用資料に挿入するスライド候補例
・競合比較表(料金・機能・業務対応範囲などの客観事実)
・提案したプラン内容
・類似事例ではなく「酷似事例」
・導入した場合のコストシミュレーション
・商談時の質問と回答
社内検討用資料を詳しく解説した記事はこちら(公開予定)
【見込み顧客に送付する際のメール例文】
いつもお世話になっております。
Coneの〇〇です。
先ほどはお忙しいなか、貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。
「見積書」と「社内ご検討用資料」をお送りいたしますので、ご確認いただけますと幸いです。
また、営業資料作成において、必要な要素をまとめた弊社記事をお送りいたしますので、
社内でご情報をまとめられる際にぜひご参考ください。
■営業資料の作り方と必須4ページ。構成やデザインも解説
→ https://cone-c-slide.com/see-sla/blog/salesslides/
ご質問・不明点等ございましたらお申し付けください。 何卒よろしくお願いいたします。
【2】課題を解決できる情報を送付する
社内検討用資料は「検討を進めようとしている顧客」向けに作成します。しかし、そもそも検討してくれているかどうかわからない場合もあります。その場合は、顧客が抱えている課題をサービスではなく「お役立ち情報」で解決できるように情報をまとめた資料を送付します。
たとえば、そもそもどうやって検討を進めればいいのかわからないという顧客もいるかもしれません。その場合は「検討の進め方」というコンテンツを。
他には、たとえば弊社の場合だと「営業資料でつくってほしいスライドを用意するのに時間がかかる」というお客様に、営業資料の骨子をイメージできるように「訴求点の整理方法と資料構成への落とし込み方」という方法を資料にまとめて送付したりしています。(それを、弊社Coneでは「課題解決用資料」と呼んでいます)
■ 課題解決用資料のテーマの決め方
商談録画を見て、見込み顧客が「なにに困っているのか」を把握し、その困りごとを解決できる資料を作成する。
【見込み顧客に送付する際のメール例文】
いつもお世話になっております。 Coneの〇〇です。
先日はお打ち合わせのお時間をいただきまして、ありがとうございました。
打ち合わせでもお話いただいた営業資料について、
貴社内でご情報を取りまとめていただいているところかと思いますが、
情報整理の方法や資料への落とし込み方をまとめましたので、参考までに活用いただけますと幸いです。
※本メールに添付しております!
以上、お忙しいところ大変恐縮ですが、 何卒よろしくお願いいたします。
【3】関連最新情報を送付する
最後は、【1】検討に必要な情報を送付する【2】課題を解決できる情報を送付する、以外の「顧客が知りたいこと」が不明瞭な場合の追いかけ方法です。
明確な困りごとが見当たらなかった場合や、すでに【1】の検討に必要な情報は送付しているものの期間が経ってしまった場合には、商談で説明した商材に関する最新情報を送付します。
たとえば
- 直近で自社が実施したセミナーのレポート
- 新たに追加された見込み顧客の課題・状況の類似事例
- 問い合わせ内容の課題に近しいホワイトペーパー
- その他、業界の最新トレンド情報
【1】【2】は「見られてはじめて価値が提供できる」ため、見てもらうためにも基本的に資料化するのが好ましいですが、この【3】に関してはある程度工数を削減しながら追いかける方法ですので、記事リンクを送付する等で構いません。
【見込み顧客に送付する際のメール例文】
いつもお世話になっております。
Coneの〇〇です。
先日はお打ち合わせのお時間をいただきまして、ありがとうございました。
打ち合わせでもお話いただいた〇〇について、
先週にセミナーを実施しましたので、その内容をまとめた記事を送付させていただきます。
社内での〇〇実施の際に、ご活用いただける内容かと思いますので、お困りの際はご覧ください。
また、弊社サービスについてのご質問等ございましたらお気軽にご相談くださいませ。
以上、お忙しいところ大変恐縮ですが、 何卒よろしくお願いいたします。
顧客フォロー(後追い営業)に役立つツール
顧客フォローを効率よく行うために活用できるツールを紹介します。
- 商談解析AIツール
- DSR
商談解析AIツール
オンライン商談の会話を自動で文字起こししてくれるサービスです。文字起こしだけではなくAIがBANTC情報をまとめてくれるため、重要な情報を探す手間を省くことができます。また、会話のトーンなどから、お客様の感情が動いた部分を抽出してくれるため、「お客様が課題に感じている部分」などを洞察することができ、追いかけ連絡の際のコンテンツづくりに役立てることができます。
様々な商談解析ツールがありますが、弊社Coneでは「ACESMeet」を活用しています。使いやすさマックスです。
DSR
デジタルセールスルームと呼ばれる、資料などをWebページ1枚にまとめて見込み顧客に送付し、いつ・だれが・どのページをみたのかといった閲覧行動をトラッキングできるツールです。お客様がどの情報にどれだけ興味があって、どのように自社課題を解決しようとしているかの洞察ができるのに加え、送付した資料が閲覧されているかどうか・閲覧されてから受注につながったかなども確認できるため、実施した顧客フォローが成果につながっているかどうかといった効果測定まで可能になります。
SFAを提供しているMazricaが「DealPods」というツールを提供しています。
まとめ
今回は、顧客フォロー業務(後追い営業)がなぜ重要なのか、受注率を上げる方法はどんなものなのか、について解説してきました。
ツールは活用方法でいかようにも効果を大きくできるものですが、最も重要なのは「顧客が課題を解決するために知りたがっていること・必要な情報を捉えて提供すること」です。
これができていなければ「ご検討状況いかがでしょうか?」という自社都合の追いかけと変わりません。
弊社Coneでは、先述の「社内検討用資料」や「課題解決用資料」の作成支援を行っています。検討顧客の成約率UPにお困りの方はお気軽にご相談ください。
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