【パワポフォーマット付】中期経営計画の作り方|構成やデザインも解説
中期経営計画とは、企業が3〜5年の期間で実行する経営方針をまとめ、長期目標に向けた戦略を示す重要な計画のことです。
この計画は、現状と長期目標やビジョンとのギャップを明確にし、社内外に向けて自社の取り組みや戦略などを発信するのに役立ちます。
また、上場企業においては、株主や投資家、顧客、従業員など多様なステークホルダーとの関係構築を図る目的でも使用されることが多く、企業活動の指針として大きな意味を持っています。
こうした中期経営計画の多くはパワーポイント資料で表現されることが多いですが、構成やデザインがイマイチだと、伝えたい情報が適切に伝わらず、資料の目的を達成することができない可能性があります。
本記事では、中期経営計画の構成の解説だけでなく、その構成に沿ったパワーポイントデザインフォーマットも添付していますので、ぜひ今後の中期経営計画作成にお役立ていただけますと幸いです。
本メディア運営元の資料作成代行サービス「c-slide」では、デザイン面だけでなく成果の上がる構成の作成などビジネス面から資料作成を支援しています。(サービスサイト)
中期経営計画のフォーマット
以下はこの記事で解説する中期経営計画のフォーマットです。ざっと目を通してから構成の解説を読むと理解しやすいかと思います。
下記リンクよりpptx形式でダウンロードができますので、そのまま編集してご利用ください。テキストリンクをクリックするとダウンロードが開始されます。
中期経営計画の最適な構成要素
中期計画は、想定する読者や活用場面によって入れ込む情報の粒度や資料全体のボリュームは変わってきますが、必ず入れ込むべき要素や資料全体の流れにはある程度の型があります。
ここからは、中期経営計画の全体構成や、各スライドのデザインのコツ・注意点等について説明しますので、中期経営計画の作成・改善時に参考にしてみてください。
まずは簡単に、構成を下記に示します。
- 表紙
- 目次
- 前中期経営計画振り返り
- 外部環境
- 目指す姿
- ロードマップ
- 戦略の詳細
- 事業別戦略
- Appendix
表紙
中期経営計画は、数年ごとに新しいものを公開・更新していく前提のため、「公開日」「いつからいつの計画を定めたものなのか」を記載しておきましょう。
また、読者を絞った中期経営計画の場合は、「個人投資家向け」のように、誰に向けた中期経営計画であるのかも表紙に明示しておきましょう。
表紙スライドの作り方は以下の記事もご参考ください。
- 公開日を入れる
- いつからいつの計画なのかを記載する
目次
本計画に記載する項目を記載し「どんな内容がどんな順番で説明されるのか」を理解しやすいようにしましょう。
30ページを超えるような資料の場合は、ページ番号も記載してあげると親切でしょう。
目次の作り方は以下の記事もご参考ください。
- 資料全体の流れや説明する項目を羅列
- 30ページを超える場合はページ番号を記載
前中期経営計画振り返り
これまでにも中期経営計画を策定したことがあれば、その際に定めた目標の達成状況や計画通りに進んでいるのかどうかを記載します。目標は「定性目標」「定量目標」どちらの場合もあるので、2パターンのフォーマットを用意しています。
振り返りのスライドで重要なのは「ぱっと見で現状が分かること」「達成・未達が一目で分かること」です。カラーを工夫するなどして、上記項目が分かりやすいようなデザインを心がけましょう。
- 「現状」「達成・未達」が一目で分かるデザインを心がける
- 定性目標
- テキスト情報で目標と現状を端的に記載
- ◯×△といったオブジェクトを使用して達成状況を可視化
- 定量目標
- 表を用いて端的に数値情報をまとめる
- 「目標対比」などの項目にて達成状況を可視化
外部環境
中期経営計画では、「こんな企業を目指すべく、この3年〜5年でこんな取り組みを進めます」と提示しますが、なぜそれを目指すのかの根拠となる外部環境を示すことで、中期経営計画により一層説得力が生まれます。
外部環境を示すスライドは、テキストベースで項目を羅列して説明する場合と、グラフ等を用いて数値の推移を示す場合があるので、それぞれのフォーマットを用意しています。
- 特筆すべき市場動向や世情といった外部環境を記載
- 詳細の説明文では、文字数が多くなっても良いので読者が「なるほど」と理解できる粒度で説明する
- 過去からの現在の推移を示す場合は棒グラフや折れ線グラフといったグラフでの表現が適切
目指す姿
前々頁の「前中期経営計画の振り返り」や前頁の「外部環境」を踏まえ、自社がどんな姿を目指すのかを提示するページになります。中期経営計画とは別に「長期経営計画」や「2030年に向けて」「2050年に向けて」のような長期目標があり、中期経営計画と関連する場合は、それらも提示するようにしましょう。
- 自社が目指す姿を端的に伝える
- 前中期経営計画や外部環境・長期計画との関連性を示せるとベター
ロードマップ
前頁で提示した『目指す姿』を達成するためにどのような戦略やアクションを取るのかを時系列でまとめたページになります。次頁以降で示す戦略や数値目標が理解しやすいように先に全体像を見せるようなイメージです。
- 目指す姿やテーマに対して取る戦略やアクションを記載
- 最低限必要な要素は「いつ」「何を実現するために」「何をやるのか」
戦略の詳細
前頁で提示した戦略やアクションの詳細情報(より具体的な手段や目標・KPIなど)を説明するページになります。記載内容は「定性」「定量」どちらの場合もあるので、この頁も2パターンのフォーマットを用意しています。図解方法や目標の記載項目は適宜変更して活用ください。
- 定性の場合は、なるべくイメージがしやすいよう、テキストだけではなくキャプチャやアイコン等を用いて図解を挿入できるとベター
- 定量の場合は、数値部分を強調してデザイン
事業別戦略
戦略や数値目標などが事業別にある場合は、事業ごとに戦略ページを入れましょう。全社的な戦略や目標の記載のみで良いと判断すれば、この項は不要なので、中期経営計画の目的や活用場面に応じて取捨選択してください。
フォーマットでは「背景」「取り組み概要」「取り組みの詳細」の枠を用意していますが、項目はあくまで一例なので、内容は適宜変更して活用ください。
- 基本的には前項の「戦略の詳細」と同じような内容でOK
- その事業のロゴや事業が連想できる画像などを入れるとぱっと見でどの事業の説明か分かるので親切
Appendix
「ESG・SDGsの取り組み」「サステナビリティについて」「財務方針」「資本配分」など、これまでに説明した内容の補足や、目標数値の根拠となる情報、計画をより深く理解させるためのデータなどを記載します。本記事で説明しているフォーマットでは、「ESG・SDGsの取り組み」を例にスライドを用意していますので、適宜ご活用ください。
- 中期経営計画の本章で説明すると冗長になりすぎる項目は、Appendixにまとめて入れる
- ボリュームは、全体スライド数の20%程度(50ページの中期経営計画なら10ページ程度)にまとめる
分かりやすい中期経営計画の例
ここでは、デザインが綺麗に整っており読みやすい中期経営計画の事例を5点紹介します。
1.株式会社NIKON
株式会社NIKONの中期経営計画は、コーポレートカラーである黄色をうまく使い、シンプルで分かりやすいデザインに仕上がっています。
白背景に黄色のテキストやオブジェクトを載せるとコントラストで目がチカチカしてしまいがちですが、NIKONの資料では、「背景に暗めの画像を入れ込む」「黄色の彩度を落とす」等の工夫にて、負担の少ない見やすいデザインとなっています。
また、事業別の詳細説明のパートでは「全社的な話=黄」「精機領域=青」「ヘルスケア領域=赤」のように事業領域ごとにカラーを分けており、どの事業の話をしているのかがぱっと見で分かりやすくなっています。
2.コクヨ株式会社
コクヨ株式会社の中期経営計画は、「森林経営モデル」についての説明に重きを置いており、それが連想できるよう、背景に森林の画像を用いたり、木のイラストを多く使用するといったデザインがされています。
また、「森林経営モデル」を説明するにあたって、「事業=木」「ナレッジや強み=土壌」のように、自社を森林に例えた以下のスライドは非常に秀逸で分かりやすいスライドとなっています。
3.三菱自動車工業株式会社
三菱自動車工業株式会社の中期経営計画は、コーポレートカラーである赤色をメインに自社商品の写真も効果的に用いながらシンプルかつ分かりやすくデザインされています。
コーポレートカラーである明るい赤色は、青や緑といった他のカラーと組み合わせて使用するのが少し難しいですが、三菱自動車の中期経営計画では、赤色の明度を変えたりグラデーションを用いることで、効果的にカラーバリエーションを増やし、見やすいデザインに整えています。
また、「長期ロードマップ」のスライドは、「社会の変化」「自社の業務形態の変化」「地域戦略」など記載項目がたくさんあり、情報量が多いページ構成となっていますが、非常にうまく情報が整理されているので、ぜひ参考にしてみてください。
4.バリュエンスホールディングス株式会社
バリュエンスホールディングス株式会社の中期経営計画は、グレーベースでスタイリッシュな印象の資料にデザインされています。
基本的にはグレーの濃淡を用いてデザインしつつ、強調したい箇所にはアクセントとして赤色を使用することで、伝えたい点や重要なポイントがどこなのかが理解しやすくなっています。
5.IMV株式会社
最後に、弊社が運営する資料作成代行サービス「c-slide」にてご支援させていただいたIMV株式会社の事例を紹介します。
IMV株式会社の中期経営計画は、コーポレートカラーである赤色をメインに据えながらも、NIKONの中期経営計画同様に、事業ごとに異なるカラーを用いて分かりやすくデザインされています。
また、全体的にシンプルなデザインながらも、要所要所に背景画像スライドや図解スライドを挿入することで、強調したい点や取り組み内容などが伝わりやすい・理解しやすいようなデザインとなっています。
「c-slide」では、中期経営計画の構成の作成からデザイン作成までご支援させていただくことが可能です。
実際にc-slideをご利用いただいたIMV株式会社の担当者様の感想は、以下よりご確認いただけますと幸いです。
まとめ
今回は、デザインフォーマットも用いながら、中期経営計画の構成やデザインの解説をしました。
また、デザインが優れた中期経営計画もいくつか紹介しているので、ぜひ今後の中期経営計画作成にお役立ていただけますと幸いです。
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