年末調整システムおすすめ14選比較。電子化の進め方と法改正対応・タイプ別の選び方
11月に入ると人事・労務の担当者だけが残業を始める。テレワークになってから紙の申告書がなかなか返ってこない。SmartHRやマネーフォワードという名前は聞くけれど、自社に合うのがどれなのか判断がつかない。年末調整のたびに、同じところで足が止まっている会社は少なくありません。
しかも今年は事情が違います。2026年12月の年末調整には、令和8年度の税制改正が適用されます。基礎控除も給与所得控除も所得要件も変わり、扶養の範囲まで動きます。加えて法定調書の電子提出義務の基準が引き下げられ、従業員30人規模の会社も対象に入ってきます。
この記事では、まず今年の年末調整で何が変わるのかを国税庁の資料で整理します。そのうえで電子化の進め方と、タイプ別に14製品を比較しました。8問の診断ツールで自社に合うタイプを確認できます。
年末調整システムとは
年末調整システムとは、従業員から申告書を回収し、控除額を計算して源泉徴収票を発行するまでの一連の業務を、クラウド上で完結できるシステムです。
これまでは紙の申告書を印刷して配り、手書きで記入してもらったものを回収し、チェックして差し戻す、という工程を毎年繰り返してきました。これをシステム化すると、配布と回収がWeb上で終わり、控除額の計算・進捗管理・法定調書の作成までつながります。従業員はスマホから数分で手続きを終えられます。
2026年の年末調整で変わること
まず押さえるべきは、今年の年末調整に令和8年度税制改正が適用されるという点です。適用は令和8年12月に行う年末調整からで、11月までの月次の源泉徴収事務は変わりません。
| 項目 | 2025年の年末調整 | 2026年12月の年末調整 |
|---|---|---|
| 基礎控除(本則) | 58万円 | 62万円 |
| 基礎控除(特例加算後) | 5区分 | 3区分に簡素化(合計所得489万円以下=104万円/489万超655万以下=67万円/655万超2,350万以下=62万円) |
| 給与所得控除の最低保障額 | 65万円 | 74万円 |
| 扶養親族・同一生計配偶者の所得要件 | 58万円以下 | 62万円以下(給与収入136万円以下) |
| 特定親族の範囲 | 合計所得58万超123万以下 | 62万超123万以下(給与収入136万円超197万円以下) |
| 勤労学生 | 85万円以下 | 89万円以下 |
これにより、所得税がかかり始める水準(課税最低限)は178万円になります。
実務で何が変わるか
制度の数字よりも、担当者にとって効くのは次の点です。
まず、扶養の対象が広がります。所得要件が58万円から62万円に上がるため、これまで扶養に入れなかった親族が新たに対象になるケースが出ます。該当する従業員には扶養控除等申告書を提出してもらい、「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」と記載してもらう必要があります。
次に、特定親族と特定扶養親族の付け替えが発生します。昨年は「特定親族」だった人が、改正によって「特定扶養親族(扶養控除63万円)」に移るケースがあります。区分の確認が要ります。
また、生命保険料控除も変わります。23歳未満の扶養親族がいる場合、一般生命保険料控除の適用限度額が4万円から6万円になります。合計の適用限度額12万円は変わりません。
さらに、通勤手当の非課税枠が2026年4月支払分から変わっています。片道65km以上の区分が細分化され、駐車場等の料金が一定額まで加算できるようになりました。4月以降の処理を誤っていた場合は、年末調整で精算することになります。
システム選定に直結する変更:電子申告の義務化基準
もうひとつ、選定に直接効く変更があります。法定調書の電子提出義務の基準が引き下げられます。
| 提出時期 | 基準枚数 |
|---|---|
| 2021年1月1日以後 | 100枚以上 |
| 2027年1月1日以後 | 30枚以上 |
前々年に提出すべきだった枚数が基準を超えると、e-Tax等での提出が義務になります。2027年1月提出分から30枚基準が発動するため、従業員30人規模の会社も対象に入ります。
後述しますが、e-Tax・eLTAXでの電子申告に対応している製品は、今回調べた14製品のうち2つだけです。いま選ぶなら、この点を確認しておかないと数年で作り直しになります。
年末調整の電子化とは
「年末調整の電子化」とは、申告書と控除証明書を紙ではなくデータでやり取りする仕組みのことです。国税庁が推進しており、電子化できる書類は次のとおりです。
【年末調整の申告書7種類】
- 扶養控除等申告書
- 基礎控除申告書
- 配偶者控除等申告書
- 所得金額調整控除申告書
- 保険料控除申告書
- 住宅借入金等特別控除申告書
- 特定親族特別控除申告書
【各種の控除証明書】
- 生命保険料・個人年金・介護医療・地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金
- 住宅ローンの年末残高等証明書
税務署への届出は不要になっています
かつては「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を税務署に出す必要がありましたが、2021年4月1日以降に受け取る分から不要になりました。従業員からの事前承諾も要りません。
代わりに、会社側で次の措置を講じることが要件になります。
| 講じるべき措置 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 提供を受けるための措置 | メール送信/USB等の記録媒体/社内LANの専用領域/社内LAN経由のメールのいずれかを定める。メール・USBの場合は電子署名またはパスワードが必要 |
| 提供者を特定する措置 | マイナンバーカード等による電子署名、または会社が付与したID・パスワードでの送信 |
| 保存 | 受領したデータは7年間保存(提出期限の属する年の翌年1月10日から) |
なお、源泉徴収票や給与明細を電子で交付する場合は、従業員の事前承諾が別途必要です。混同しやすいので分けて考えてください。
控除証明書の電子化はすでに実用段階です
「証明書だけ紙で残るのでは」と心配されがちですが、実態はかなり進んでいます。国税庁の公表によれば、電子控除証明書の発行に対応しているのは生命保険会社が41社中36社、損害保険会社が19社中14社。契約件数ベースでは生命保険料控除の対象契約の約98.5%、地震保険料控除の対象契約の約96.6%が対応済みです。
ただし注意点もあります。控除証明書を受け取る民間送達サービスは「e-私書箱」と「MyPost」の2つがありましたが、MyPostは2026年3月に終了し、実質e-私書箱に一本化されました。
また、住宅ローン関係の証明書データを使えるのは居住開始年が2019年(令和元年)以後の場合に限られます。国外に住む親族の親族関係書類・送金関係書類、勤労学生の証明書は、法令上データで提供できないため書面が必要です。
電子化はどこまで進んでいるのか
年末調整システムの導入率そのものの公的統計はありませんが、近い指標として国税庁が公表しているe-Taxの利用状況があります。
給与所得の源泉徴収票等(6手続)のオンライン利用率は76.6%(令和6年度)。2020年度の66.7%から一貫して上昇しています。紙で回している会社のほうが少数派になりつつある、というのが現在地です。
国税庁の年調ソフトで足りるのか
無料で使える選択肢として、国税庁が「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」(通称・年調ソフト)を提供しています。有料のシステムを検討する前に、これで足りるかを確認しておきましょう。
年調ソフトでできること
- 申告書7種類の作成
- 控除額の自動計算、扶養親族等の年齢判定、控除の適否判定
- 「控除ナビ」で必要な申告書を選べる
- 電子控除証明書データの取り込み、マイナポータル連携での一括取得
- 提出用データ(XML)または印刷用PDFの出力
- 前年データの取り込みによる基本情報の自動入力
無料で、Windows・macOS・Android・iOSに対応します。マイナンバーカードは必須ではありません(マイナポータル連携を使う場合や電子署名を付す場合にのみ必要)。
年調ソフトでできないこと
一方で、担当者が誤解しやすい制約が3つあります。
| できないこと | 意味 |
|---|---|
| 年税額の計算 | 年調ソフトは申告書を作るためのソフトで、年税額の計算は勤務先の給与システム側で行う前提です |
| 提出状況の一元管理 | 従業員が個々に使うアプリのため、誰が出していないかを会社側で把握する機能はありません。催促も承認ワークフローもありません |
| 給与システムへの自動連携 | 従業員が出力したデータをメールやUSB、社内LANで回収し、自社の給与システムがXMLの取り込みに対応するよう改修する必要があります |
つまり、年調ソフトは「従業員側の入力を助けるツール」であって、「担当者の管理業務を減らすツール」ではありません。
インストール型のみでブラウザ版はなく、令和8年分は2026年10月に正式版が公開される予定です。
判断の目安
従業員が10名前後で、全員がPC操作に慣れており、進捗の把握が目視でできるなら年調ソフトで足ります。逆に、数十名以上いて未提出者の追跡に手間がかかっているなら、有料システムの管理機能に投資する価値があります。
システムではなく業務ごと外部に任せる選択肢もあります。
関連記事:年末調整代行サービスおすすめ13選比較。費用相場・タイプ別の選び方を解説
年末調整システムでできること
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 申告書の配布・回収 | 扶養控除等申告書・保険料控除申告書などをWeb上で配布。スマホからの回答・提出に対応 |
| 控除額・年税額の自動計算 | 入力情報をもとに所得税の過不足額を自動計算 |
| 進捗管理・差し戻し | 未提出者リストの作成、催促メールの一括送信、不備書類の差し戻し |
| 証明書のデータ化 | 控除証明書の画像アップロード、またはマイナポータル連携 |
| 源泉徴収票の作成・配布 | 完了後に源泉徴収票を自動生成してWeb配布 |
| 給与・勤怠システムとの連携 | API またはCSVで連携し、データの二重入力を防ぐ |
| 電子申告(e-Tax・eLTAX) | 法定調書や給与支払報告書を行政機関へ電子申告 |
どこまでカバーするかが製品の位置づけを決めます。年末調整の回収と計算だけをシステム化するのか、給与計算や労務手続き全体を一体化するのかで、選ぶべきタイプが変わります。
年末調整システムの費用相場
料金は大きく2つの形に分かれます。
| 料金形態 | 相場 | 向いている規模 |
|---|---|---|
| 従量課金制 | 年額330〜550円/名 + 初期費用0〜11万円 | 50〜500名規模。人数に応じてコストが動く |
| 月額固定制 | 月額1,980〜4,600円(人数無制限または少人数固定) | 小規模〜中規模。人数が増えてもコストが変わりにくい |
| アウトソーシング型 | 1人あたり830〜990円(人数で単価が変動) | 確認・訂正まで任せたい場合 |
初期費用の差が意外に大きい点に注意してください。0円の製品がある一方、登録料として11万円かかる製品もあります。年に一度しか使わない年末調整特化型では、初期費用が数年分のランニングコストに相当することもあります。
もうひとつ見落としやすいのが「安いプランでは年末調整が使えない」ケースです。無料プランでは年末調整が対象外だったり、下位プランでは申告書の回収だけで自動計算が付かなかったりします。プラン名ではなく機能で確認しましょう。
年末調整システムを選ぶ際に確認すべき5つの比較ポイント
年末調整システムは「どれも同じ」ではなく、従業員側の体験・担当者の管理効率・既存システムとの親和性によって業務の改善度合いが大きく変わります。次の5つの観点で、自社の要件にマッチするかを確認しましょう。
- 従業員が迷わず入力できるか
- 提出状況の管理と差し戻しがしやすいか
- 既存の給与・勤怠システムと連携できるか
- 電子申告(e-Tax・eLTAX)に対応しているか
- マイナポータル連携に対応しているか
- 法改正への対応とサポート体制
従業員が迷わず入力できるか
年末調整システムの成否は、従業員が迷わず入力できるかどうかでほぼ決まります。入力画面が複雑だと問い合わせが増え、担当者の負担はむしろ増えます。
- スマホだけで申告が完結するか
- 「はい・いいえ」に答えていけば終わる形式か
- 前年の申告内容を自動で引き継げるか
前年データの引き継ぎは、意外と対応が分かれる機能です。今回調べた14製品のうち、明確に「前年の入力内容が自動でコピーされる」と記載していたのは数製品でした。2年目以降の入力時間に直結するので確認しましょう。
外勤や現場のスタッフが多い会社では、PCログインを前提とした製品だと利用率が伸びません。スマホアプリの有無まで見ておくと安全です。
提出状況の管理と差し戻しがしやすいか
担当者の工数を最も食うのは、「誰が出していないか」の把握と、不備書類への対応です。未提出者の一覧表示と催促メールの一括送信ができるかが分かれ目になります。
不備があったときに、担当者が直接直すのか、従業員に差し戻すのかを選べる製品もあります。修正の量と担当者のスキルに合わせて選びましょう。
既存の給与・勤怠システムと連携できるか
年末調整特化型を選ぶ場合、すでに使っている給与計算システムと連携できるかが最優先事項になります。連携方法にはAPI連携(自動同期)とCSV連携(手動での取り込み)があり、当然ながらAPIのほうが手間がかかりません。
ここで気をつけたいのが、製品によって「連携できる相手」が限られている点です。自社の給与ソフトとは一部の機能でしかつながらない、あるいは自社シリーズ以外はCSVのみ、というケースがあります。いま使っているシステムの名前を伝えて、連携の可否と方式を直接確認してください。
電子申告(e-Tax・eLTAX)に対応しているか
前述のとおり、2027年1月提出分から法定調書の電子提出義務が30枚以上に引き下げられます。従業員30人規模でも対象になります。
ところが、今回調べた14製品のうち、e-Tax・eLTAXでの電子申告に対応していると公式に記載していたのは2製品だけでした。別途ファイルを出力してe-Taxソフトに取り込む方式の製品もありますが、その場合は手作業がひと工程残ります。
いま選定するなら、電子申告まで完結できるかを必ず確認しましょう。
マイナポータル連携に対応しているか
マイナポータル連携に対応していれば、従業員は保険料控除証明書を紙で提出する必要がなくなり、画像アップロードのミスも防げます。前述のとおり、控除証明書の電子化はすでに9割以上の契約で対応済みです。
ただし、今回調べた14製品のうち、マイナポータル連携を公式に明記していたのは1製品だけでした。「電子的控除証明書のXMLをアップロードできる」という機能はマイナポータル連携とは別物なので、混同しないよう注意してください。
法改正への対応とサポート体制
年末調整は毎年のように制度が変わります。冒頭で触れたとおり、2026年も基礎控除・給与所得控除・所得要件が動きます。システムが自動で更新され、常に最新の法令で計算・帳票が使えるかを確認しましょう。クラウド型なら自動対応が一般的です。
確認しておきたいのが、今年の改正への対応時期です。国税庁が「令和8年分 年末調整のしかた」を公開するのは2026年8月末頃の予定で、ベンダー側の対応はその後になります。9〜10月の段階で、対応スケジュールをベンダーに確認しておきましょう。
初めて導入する会社や、担当者が人事の専門家でない場合は、導入時のセットアップ支援とサポート体制も重要です。
年末調整システムの選び方
年末調整システムは、既存のシステム環境と電子化したい範囲によって3つのタイプに分かれます。
- 年末調整特化型(既存システムはそのまま活かして年末調整だけを電子化したい場合)
- 給与計算連携型(給与計算と年末調整をひとつのシステムで完結させたい場合)
- 労務管理統合型(入退社・社保手続きなど労務全体をペーパーレス化したい場合)
まずは、以下の診断ツールで自社に合うタイプを確認してみてください。
Q1 / いま困っていること
現在の課題として、どちらに近いですか?
Q2 / 給与計算の現状
現在の給与計算はどのように行っていますか?
Q3 / 電子化したい範囲
年末調整以外の労務手続きについて、どちらに近いですか?
Q4 / 従業員規模
現在の従業員規模はどちらに近いですか?
Q5 / 予算の考え方
予算感として、どちらに近いですか?
Q6 / システム連携
外部システムとの連携について、どちらに近いですか?
Q7 / 今後の方向性
人事・労務DXの方向性として、どちらに近いですか?
Q8 / 使用頻度
システムの使い方として、どちらに近いですか?
1. 年末調整特化型
すでに給与計算ソフトや勤怠管理システムを使っている会社が、年末調整の電子化だけを追加できるタイプです。既存のツールとCSVやAPIでつなぐため、システムを丸ごと入れ替える必要がありません。
年額330〜550円/名という価格帯が中心で、年に一度の業務に対する費用としては現実的です。導入から稼働までの期間も短く、「今年の年末調整に間に合わせたい」という急ぎのケースにも対応しやすい製品が揃っています。
一方で、初期費用が11万円かかる製品もあります。ランニングだけでなく初年度の総額で見ておきましょう。また、既存の給与ソフトとの連携可否が最重要なので、製品名を挙げて確認することが欠かせません。
このタイプの導入に向いている会社は以下になります。
- 給与計算ソフトや勤怠システムは今後も使い続けたい
- 年末調整の書類回収・進捗管理・計算だけを効率化したい
- コストを抑えて、まずは電子化に着手したい
- 今年の年末調整に間に合わせたい
2. 給与計算連携型
給与計算システムに年末調整機能が組み込まれており、月次の給与・賞与データをそのまま年末調整の計算に使えるタイプです。データを取り込む手間がなく、過不足税額を給与や賞与に反映するところまで一気につながります。
給与計算をまだExcelや紙で行っている会社、あるいは既存の給与ソフトを刷新するタイミングにある会社が、年末調整の電子化と同時に進める場合に選ばれます。
注意したいのは、プランによって年末調整の対応範囲が変わる点です。下位プランでは申告書の回収だけで、年税額の自動計算や法定調書の作成が付かないケースがあります。プラン名ではなく、必要な機能が含まれているかで判断しましょう。
このタイプの導入に向いている会社は以下になります。
- 給与計算・賞与計算・年末調整を同じシステムで完結させたい
- 給与システムへのデータ取り込み作業をなくしたい
- 給与計算システムを新規に導入する、または入れ替えるタイミングにある
- 毎月使うシステムに年末調整も載せたい
3. 労務管理統合型
年末調整だけでなく、入退社手続き・社会保険手続き・雇用契約・住所変更まで、労務手続き全体をひとつのシステムで完結できるタイプです。従業員のマスタデータが常に最新に保たれるため、年末調整でも前年情報がそのまま反映され、二度手間が減ります。
月額300〜400円/名の従量課金が中心で、人数が増えるほど費用も増えます。ただし年末調整以外の業務も効率化できるため、年末調整単体ではなく労務業務全体で費用対効果を見るタイプです。
このタイプでは、年末調整がどこまで含まれるかの確認が特に重要です。年末調整が別オプションだったり、申告書の回収まででは年税額の計算には給与システムとの連携が要ったりします。無料プランでは年末調整が使えない製品もあります。
このタイプの導入に向いている会社は以下になります。
- 年末調整を含め、労務手続き全体を紙・Excelから脱却させたい
- 住所変更・結婚・扶養変更などの手続きも電子化したい
- 従業員数が100名を超え、労務手続きの件数自体が多い
- 将来的にタレントマネジメントや人事評価との連携も見据えている
なお、労務管理システム全般を横断して比較したい場合は、こちらもあわせてご覧ください。
関連記事:労務管理システムおすすめ16選比較。費用相場から課題別の選び方まで解説
年末調整システムおすすめ14選 一覧比較表
以下は、本記事で紹介する年末調整システム14製品の一覧比較表です。
| サービス名 | 詳細 | 料金 | タイプ | 備考 |
|---|---|---|---|---|
マネーフォワード クラウド年末調整 | 月額2,480円〜+6名以上100円/名 | 年末調整特化型 | 他社給与ソフトとの連携に強み。e-Tax対応 | |
簡単年調 | 1人あたり830〜990円 | 年末調整特化型 | 証明書を写真撮影するだけで申告完了 | |
年調ヘルパー | 年額330円/名+初期55,000円 | 年末調整特化型 | 業界最低水準の低コストで導入しやすい | |
奉行Edge 年末調整申告書クラウド | 年額10,800円(20名まで) | 年末調整特化型 | OBCの奉行シリーズと高い連携性。マイナポータル対応 | |
オフィスステーション 年末調整 | 年額550円/名+登録料110,000円 | 年末調整特化型 | 40,000社以上の実績。顧客満足度No.1認定 | |
弥生給与 Next | 月額3,000円〜 | 給与計算連携型 | 300万社超の弥生ユーザー基盤。法定調書も自動作成 | |
マネーフォワード クラウド給与 | 月額2,480円〜 | 給与計算連携型 | 会計・経費精算と一体化したバックオフィス基盤 | |
ジンジャー給与 | 月額300円〜/名 | 給与計算連携型 | 過不足額を給与または賞与で精算先を選択可能 | |
フリーウェイ給与計算 | 5名まで無料/6名以上1,980円/月 | 給与計算連携型 | 人数無制限の月額固定で小規模企業に最適 | |
SmartHR | 要問い合わせ | 労務管理統合型 | 導入社数60,000社以上。労務〜タレマネまで一気通貫 | |
freee人事労務 | 月額400円〜/名 | 労務管理統合型 | 初期費用0円。53万社超の導入実績 | |
ジョブカン労務HR | 月額400円/名(最低2,000円) | 労務管理統合型 | 200,000社超の実績。ジョブカンシリーズで勤怠〜給与まで連携 | |
ジンジャー人事労務 | 月額300円〜/名 | 労務管理統合型 | 18,000社超。人事データを時系列タイムラインで可視化 | |
HRBrain労務管理 | 要問い合わせ | 労務管理統合型 | 専任サポートが手厚い。タレントマネジメントとの連携が強み |
【年末調整特化型】の年末調整システム
既存のシステムを活かしながら年末調整だけを電子化できる5製品を紹介します。
マネーフォワード クラウド年末調整(株式会社マネーフォワード)

今回調べた14製品のうち、e-Tax・eLTAXでの電子申告に対応していると明記している2製品のひとつです。法定調書や給与支払報告書の提出まで、システム上で完結できます。2027年1月提出分から電子提出義務の基準が30枚に下がることを踏まえると、この対応は選定で効いてきます。
従業員は「アンケートビュー」と呼ばれる質問回答式で申告を進めます。英語への切り替えにも対応しているため、外国籍の従業員がいる会社でも運用しやすい設計です。担当者側はステータス管理と差し戻しに対応し、前年との差分確認や設定の引き継ぎもできます。
料金には注意点があります。年末調整だけを切り出した単体プランはなく、他サービスを含むパッケージ料金に内包される形です。月額2,480円〜というのはひとり法人向けの最小構成で、6名以上は1名あたり月100円が加算されます。
| 従業員の入力方式 | アンケート形式(質問回答式)。英語切替に対応 |
| 担当者の管理機能 | ステータス管理、差し戻し、帳票出力、前年との差分確認 |
| 電子申告・マイナポータル | e-Tax・eLTAXに対応(全プランで利用可)。マイナポータル連携は記載なし |
| 給与システムとの連携 | 自社のクラウド給与とAPI連携。他社ソフトはCSVインポート |
| 想定規模 | 〜50名(51名以上は個別見積) |
| 料金 | 月額2,480円〜(税抜・年払い、ひとり法人プラン)+6名以上は100円/名/月。50名以下は初期費用0円 |
簡単年調(株式会社エコミック)

唯一、システムではなくアウトソーシングとして提供されているサービスです。申告内容の確認や訂正の依頼まで、すべて同社が代行します。担当者は不備のチェックそのものから解放されます。
従業員がやることは、証明書をスマホで撮影してアップロードするだけ。金額の入力は不要です。年末調整の設問でつまずく従業員が多い会社では、この方式が効きます。2名で入力して突き合わせるベリファイ方式を採用しており、ミス発生率は0.03%以下とされています。
処理実績は1,500社・合計88万人。42,000名規模の事例も公開されており、大規模でも対応できます。料金は人数に応じた単価で、300名で1人あたり990円、2,000名で830円という水準です。
| 従業員の入力方式 | 証明書をスマホ撮影してアップロードするだけ。金額入力は不要。前年データを活用 |
| 担当者の管理機能 | ダッシュボード(未申請/申請中/申告完了で絞込)、未登録者への自動督促、申告書PDFの一括ダウンロード。申告内容の確認・訂正依頼は同社が代行 |
| 電子申告・マイナポータル | 記載なし(XML申告には対応) |
| 給与システムとの連携 | 給与システムを問わず利用可 |
| 想定規模 | 中堅〜大企業。処理実績1,500社・合計88万人。42,000名規模の事例あり |
| 料金 | 1人あたり990円(300・500名)/940円(1,000名)/830円(2,000名)。XML申告は450円/人 |
年調ヘルパー(株式会社クリックス)

年額330円/名という、今回調べたなかで最も安い単価の年末調整システムです。初期費用は55,000円で、100名で使えば初年度は約88,000円、2年目以降は33,000円という計算になります。
従業員は画面のガイドに沿って質問に答えていくだけで申告が完了します。スマホ・タブレットに対応し、前年データの複写機能も備えます。担当者側は提出状況が自動で記録され、差し戻しの連絡もシステム上で完結します。
給与システムとの連携は、PCA給与と給与奉行については一部API連携に対応し、それ以外はCSVでの出力です。申告書データを確定したあとCSVで一括出力し、既存の給与システムに取り込む運用が前提になっています。
| 従業員の入力方式 | 画面のガイドに沿った質問形式。スマホ・タブレット対応。前年データの複写機能あり |
| 担当者の管理機能 | 提出状況の自動記録、差し戻し連絡、CSV一括出力 |
| 電子申告・マイナポータル | 記載なし(XML控除証明書の提出には対応) |
| 給与システムとの連携 | PCA給与・給与奉行は一部API連携。それ以外はCSV出力 |
| 想定規模 | 小規模〜中規模企業 |
| 料金 | 年額330円/名(税込)+初期費用55,000円(初回のみ・税込) |
奉行Edge 年末調整申告書クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

今回調べた14製品のうち、マイナポータル連携を公式に明記している唯一の製品です。従業員が控除証明書を紙で用意する手間がなくなり、画像アップロードの不備も防げます。
従業員側の負担の軽さも際立ちます。導入2年目以降は前年の保険や住宅に関する申告内容が自動でコピーされ、変更がなければ最短5クリックで完了します。多言語は9言語に対応しています。担当者側は提出状況が自動更新され、催促通知と差戻通知も備えます。
顧客満足度No.1の評価も受けています(日経コンピュータ 顧客満足度調査2025-2026 人事・HRテックソフト/サービス部門1位)。給与奉行や法定調書奉行と直接連携でき、奉行シリーズを使っている会社なら導入がスムーズです。
| 従業員の入力方式 | Web申告(PC・スマホ・タブレット)。9言語対応。前年の申告内容が自動コピーされ、変更がなければ最短5クリック |
| 担当者の管理機能 | 提出状況の自動更新、催促通知、差戻通知 |
| 電子申告・マイナポータル | マイナポータル連携に対応。電子申告は法定調書奉行との組み合わせが前提 |
| 給与システムとの連携 | 給与奉行・法定調書奉行・マイナンバークラウドと直接連携。他社はCSV |
| 想定規模 | 小規模〜中規模。21名以上は要問い合わせ |
| 料金 | 年額10,800円(20名まで・税抜)。1名あたり月額約45円 |
オフィスステーション 年末調整(株式会社エフアンドエム)

利用社数55,000社超、継続率99.6%という実績を持つ年末調整システムです。労務管理クラウド6年連続シェアNo.1の評価も受けています(デロイト トーマツ ミック経済研究所「HRTechクラウド市場の実態と展望 2025年度版」)。
従業員は一問一答のアンケートに答えるだけで、最短3分・14の質問で提出が完了します。前年情報から変更があった項目を明示してくれるため、担当者は変更点だけを見ればよくなります。AI-OCRもオプションで用意されています。
オフィスステーションシリーズでは、年末調整以外に勤怠・給与明細・有給管理・マイナンバー管理などを単体で追加できます。まず年末調整から始めて、必要に応じて広げるという進め方ができます。他社の給与ソフトとの連携については公式サイト内の記載に幅があります。年末調整単体で自社の給与ソフトとつながるかは、問い合わせで確認してください。料金は登録料110,000円が初回のみ必要で、20名以下は年額一律11,000円です。
| 従業員の入力方式 | 一問一答のアンケート形式。最短3分・14の質問で提出完了。前年からの変更点を明示。AI-OCRはオプション |
| 担当者の管理機能 | データの一括出力(CSV) |
| 電子申告・マイナポータル | 記載なし |
| 給与システムとの連携 | 年末調整単体での他社ソフト連携は要問い合わせ |
| 想定規模 | 中小〜大企業(〜5,000名)。約27,000名の事例あり。利用社数55,000社超、継続率99.6% |
| 料金 | 年額550円/名(税込)+登録料110,000円(税込・初回契約時のみ)。20名以下は年額一律11,000円 |
【給与計算連携型】の年末調整システム
給与計算と年末調整をひとつのシステムで完結できる4製品を紹介します。
弥生給与 Next(弥生株式会社)

給与計算から年末調整、法定調書の作成までを一本で完結できるクラウド型の給与ソフトです。月次の給与データをもとに年調年税額と還付・徴収額が自動計算され、源泉徴収票・給与支払報告書・法定調書合計表・総括表まで自動で作られます。
各種控除申告書の配布・回収・修正がすべてオンラインで終わり、源泉徴収票はスマホやPCへ配信できます。勤怠管理機能も備えており、会計ソフトへの仕訳連携にも対応します。最大2か月の無料期間があるため、実際の使い心地を確かめてから決められます。
プラン選びには注意が必要です。エントリー・エントリーライトの2プランはWeb年調申告書の機能のみで、年末調整の自動計算と法定調書の自動作成は含まれません。年末調整をフルで使うにはベーシックライト以上が必要です。なお、従業員データの登録は全プラン無料で人数の制限がありません。人数で制限がかかるのはWeb配信・勤怠・労務の機能だけです。
| 従業員の入力方式 | アンケート形式。スマホ・PC対応。源泉徴収票のスマホ配信に対応 |
| 担当者の管理機能 | Web配布・回収、修正依頼をオンラインで完結。年調年税額・還付徴収額の自動計算 |
| 電子申告・マイナポータル | 年末調整では記載なし |
| 給与システムとの連携 | 給与計算・勤怠・労務を内包。弥生会計シリーズへの仕訳連携 |
| 想定規模 | 300名未満の中小企業。従業員データの登録は人数無制限 |
| 料金 | 年払で月あたり ベーシックライト3,000円/ベーシック4,600円(税抜)ほか。最大2か月無料。※エントリー系はWeb年調申告書のみ |
マネーフォワード クラウド給与(株式会社マネーフォワード)

会計・経費精算・請求書・給与をひとつのプラットフォームで管理できる給与計算システムです。勤怠情報の取り込みから給与計算、明細の電子配信までが自動化されます。
年末調整については、同じ料金プランに含まれる「マネーフォワード クラウド年末調整」が担当します。給与ページに載っている年末調整の機能は、すべてこの別サービスのものです。給与と年末調整を両方使う場合でも追加契約は不要ですが、操作する画面は分かれる点を理解しておきましょう。
すでにマネーフォワードで会計を使っている会社であれば、追加コストを抑えながら給与計算と年末調整まで広げられます。1か月の無料トライアルがあります。
| 従業員の入力方式 | Web給与明細。年末調整はクラウド年末調整のアンケート形式 |
| 担当者の管理機能 | 勤怠情報の取り込み、給与計算、明細の電子配信 |
| 電子申告・マイナポータル | 年末調整は別サービス「マネーフォワード クラウド年末調整」が担当(e-Tax・eLTAX対応) |
| 給与システムとの連携 | マネーフォワード クラウドシリーズとシームレスに連携 |
| 想定規模 | 〜50名(51名以上は要問い合わせ) |
| 料金 | 年払で月額 ひとり法人2,480円/スモールビジネス4,480円/ビジネス6,480円(税抜)。ビジネスは6名以上300円/名 |
ジンジャー給与(jinjer株式会社)

年末調整で生じた過不足金を、給与計算にも賞与にもボタンひとつで反映できる給与計算システムです。還付と追加徴収のどちらでも相殺でき、12月の給与か賞与かという実務上の判断に対応できます。従業員は「はい」「いいえ」の選択形式で入力し、スマホ・PCの両方に対応します。給与支払報告書(総括表・個人別明細書)と法定調書合計表用のデータはCSVで出力できます。
申告書の配布・回収は「年調収集オプション」で行う構成です。計算と帳票は給与本体の機能なので、年末調整をフルで使うにはオプションを含めた構成で見積もりを取りましょう。
料金は「利用製品×利用人数」というシンプルな体系で月額300円〜/名ですが、ジンジャー給与単体の単価は公開されていません。
| 従業員の入力方式 | 「はい」「いいえ」の選択形式。スマホ・PC対応 |
| 担当者の管理機能 | 過不足金を給与計算・賞与にボタンひとつで反映。給与支払報告書・法定調書合計表用データをCSV出力 |
| 電子申告・マイナポータル | 記載なし(給与支払報告書は電子申請フォーマットに沿ったCSVを出力) |
| 給与システムとの連携 | ジンジャーシリーズとAPI連携。申告書の配布・回収は「年調収集オプション」 |
| 想定規模 | 数百名の成長企業から数万名規模の大企業まで |
| 料金 | 月額300円〜/名(税別、利用製品ごとに異なる)。1か月の無料トライアルあり |
フリーウェイ給与計算(株式会社フリーウェイジャパン)

従業員5名まで永久無料、6名以上は人数無制限で月額1,980円という固定料金が最大の特徴です。しかも登録できる会社数にも制限がありません。人数が増えてもコストが変わらないため、成長フェーズや人員の増減が大きい業種に向いています。
年末調整では、従業員が専用のWebフォームから本人情報・家族情報・保険料情報を入力し、そのデータから過不足税額が自動計算されます。源泉徴収票の作成とメール送信、法定調書合計表・給与支払報告書総括表・各種支払調書の作成にも対応します。中途入社した社員の前職情報の入力にも対応しています。
e-Tax用のxtxファイルとeLTAX用のXMLファイルを出力できます。ただしシステムから直接送信するのではなく、出力したファイルをe-TaxソフトやPCdeskに取り込む方式です。ひと手間残る点は理解しておきましょう。
| 従業員の入力方式 | 専用Webフォームから本人・家族・保険料情報を入力。年末調整情報の提出のみスマホ可 |
| 担当者の管理機能 | 過不足税額の自動計算、源泉徴収票の作成とメール送信、法定調書合計表・給与支払報告書総括表の作成。中途入社の前職情報入力に対応 |
| 電子申告・マイナポータル | e-Tax用xtx・eLTAX用XMLをファイル出力(直接送信ではない) |
| 給与システムとの連携 | 給与計算を内包。別ソフト「フリーウェイマイナンバー」と連動 |
| 想定規模 | 小規模〜中規模。人数・会社数ともに無制限 |
| 料金 | 5名まで無料/6名以上 月額1,980円(年23,760円・税抜)。追加IDは1IDにつき月額1,000円 |
【労務管理統合型】でおすすめの年末調整システム
年末調整を含め、労務手続き全体をひとつのシステムで完結できる5製品を紹介します。
SmartHR(株式会社SmartHR)

登録社数80,000社以上、労務管理クラウド7年連続シェアNo.1のクラウド人事労務システムです(デロイト トーマツ ミック経済研究所「HRTechクラウド市場の実態と展望 2025年度版」)。年末調整から入退社手続き、社会保険手続き、タレントマネジメントまでを1つでカバーします。
従業員はスマホアプリでアンケートに答えるだけで、最短3分で提出が完了します。保険料控除証明書はAIで撮影入力でき、ミスや問い合わせが多い設問にはヒントが表示されます。担当者側は回答済/再回答/入力中で進捗を追え、スマホアプリのプッシュ通知で催促できます。1,000名規模での想定では、年末調整の工数を87%削減できるとしています。
注目したいのが、従業員30名以下なら使える「¥0プラン」です。労務管理プランと同じ機能が無料で、年末調整も利用できます(チャットサポートと有料オプションは対象外)。小規模な会社が最初に試すには有力な選択肢です。
| 従業員の入力方式 | スマホアプリのアンケート形式。最短3分。保険料控除証明書のAI撮影入力に対応 |
| 担当者の管理機能 | 進捗管理(回答済/再回答/入力中)、プッシュ通知での催促、差し戻し通知 |
| 電子申告・マイナポータル | 記載なし(帳票・申告データの作成まで) |
| 給与システムとの連携 | 自社の給与計算オプションと自動連携。年税額の自動計算はオプション併用が前提 |
| 想定規模 | 中小〜大企業。登録社数80,000社以上 |
| 料金 | 要問い合わせ。従業員30名以下は「¥0プラン」で年末調整も利用可 |
freee人事労務(freee株式会社)

e-Tax・eLTAXでの電子申告に対応していると明記している2製品のうちのひとつです。「電子申告もワンクリック」と公式に掲げており、法定調書の提出まで完結できます。2027年からの電子提出義務の基準引き下げを見据えるなら、有力な候補になります。
従業員の入力方式が充実しており、アンケート形式に加えて特許を取得したAI-OCRでの撮影入力、さらにLINEからの入力にも対応します。担当者側は進捗をリアルタイムで確認でき、LINEやSlackでの督促もできます。
他社の給与ソフトともCSVで双方向に連携できると明記している点も特徴です。freee会計・freee給与と揃えれば一体運用になりますが、給与だけ他社という構成でも使えます。プラン選びには注意が必要です。年末調整ペーパーレスプラン(年額400円/名〜)は申告書のペーパーレス化までで、年末調整の計算機能は含まれません。計算まで使うには年末調整プラン以上が必要です。
| 従業員の入力方式 | アンケート形式、スマホ、特許取得のAI-OCR撮影入力、LINE入力に対応 |
| 担当者の管理機能 | 進捗のリアルタイム可視化、LINE・Slackでの通知と督促、差し戻し |
| 電子申告・マイナポータル | e-Tax・eLTAXに対応(「電子申告もワンクリック」と明記) |
| 給与システムとの連携 | 自社給与に加え、他社の給与ソフトともCSVで双方向連携可 |
| 想定規模 | 従業員2,000名程度まで |
| 料金 | 1ユーザー月額400円〜。年末調整ペーパーレスプラン年額400円/名〜(計算機能は含まない)、年末調整プラン年額2,400円/名〜。基本料金0円 |
ジョブカン労務HR(株式会社DONUTS)

年末調整まわりの帳票対応が、統合型のなかで最も広い製品です。源泉徴収票の自動作成とマイページ公開・メール・PDFでの交付に加えて、給与支払報告書と法定調書合計表まで作成できます。電子的控除証明書のXMLにも対応します。
従業員はアンケート形式で入力し、スマホ・PCのブラウザから操作できます(専用アプリはありません)。担当者側はTodoリストで控除額を確認でき、コメント付きで修正を依頼できます。過不足額の精算まで対応します。
ジョブカンシリーズの累計導入は300,000社を超えています。勤怠管理・給与計算とシリーズで連携すれば、過不足税額を給与にワンクリックで反映できます。
| 従業員の入力方式 | アンケート形式。スマホ・PCのブラウザ対応(専用アプリなし) |
| 担当者の管理機能 | 進捗管理、コメント付き修正依頼、Todoリストでの控除額確認、過不足額の精算 |
| 電子申告・マイナポータル | 記載なし。源泉徴収票・給与支払報告書・法定調書合計表の作成に対応。電子的控除証明書XMLに対応 |
| 給与システムとの連携 | ジョブカン給与計算とシリーズ連携+CSV |
| 想定規模 | 小規模〜中堅。500名以上は別途見積もり。シリーズ累計300,000社超 |
| 料金 | 月額400円/名(税抜)、月額最低2,000円。※無料プランでは年末調整を利用できません |
ジンジャー人事労務(jinjer株式会社)

回答情報を次年度に持ち越せる点を明記している、数少ない製品です。2年目以降の従業員の入力負担がはっきり下がります。人事情報は経歴のタイムラインや顔写真付きの組織図としても可視化できます。
従業員は「はい/いいえ」の選択式で入力し、回答は自動保存されます。スマホから入力でき、入力フォーマットのメール送付やCSVでの一斉送信にも対応します。
構成上の注意点があります。年末調整は本体機能ではなく「年調収集オプション」で提供され、収集と申告書の作成までが範囲です。年末調整の計算はジンジャー給与との連携が前提になります。年末調整をフルで使うなら、人事労務+給与+年調収集オプションという構成で見積もりを取りましょう。
| 従業員の入力方式 | 「はい/いいえ」の選択式。スマホ対応、回答の自動保存。回答情報を次年度に持ち越せる |
| 担当者の管理機能 | 進捗管理、入力フォーマットのメール送付、CSV一斉送信 |
| 電子申告・マイナポータル | 記載なし |
| 給与システムとの連携 | 年末調整は「年調収集オプション」で収集・申告書作成まで。計算はジンジャー給与との連携が前提 |
| 想定規模 | 数百名〜数万名規模 |
| 料金 | 月額300円〜/名(税別、利用製品ごとに異なる)。1か月の無料トライアルあり |
HRBrain労務管理(株式会社HRBrain)

未提出者への一括催促を機能として明記している労務管理システムです。従業員はフォームの設問に回答していくだけで申告書ができあがり、入力内容の一時保存にも対応するため、確認が必要な項目を後から追記できます。
入社手続き・社員名簿・電子申請・退社手続き・マイナンバー管理まで、入社から退社までの手続きをペーパーレス化できます。HRBrainシリーズにはタレントマネジメント・人事評価・組織サーベイ・研修管理も揃っており、労務管理から戦略人事へ段階的に広げられる設計です。シリーズ累計の導入は4,000社を超えています。
機能範囲には注意が必要です。年末調整は申告書の作成・PDF出力・催促・CSV連携までで、年税額の自動計算と電子申告は公式に記載がありません。源泉徴収票は別の機能として提供されます。自社の給与計算製品を持たないため、CSVで外部の給与システムに渡す構成になります。
| 従業員の入力方式 | 回答フォーム形式。スマホ・タブレット対応。入力内容の一時保存に対応 |
| 担当者の管理機能 | 進捗管理、未提出者への一括催促、申告書のPDF出力 |
| 電子申告・マイナポータル | 記載なし。年税額の自動計算も公式記載なし(申告書作成まで) |
| 給与システムとの連携 | 自社の給与計算製品を持たないため、CSVで外部の給与システムへ連携 |
| 想定規模 | 中小〜中堅企業。シリーズ累計4,000社以上 |
| 料金 | 要問い合わせ(月額×利用人数)。専任のカスタマーサクセスによる伴走支援あり |
年末調整の電子化の進め方
初めて電子化する場合の流れです。11月の繁忙期から逆算すると、遅くとも9月には動き出したいところです。
| ステップ | やること | 時期の目安 |
|---|---|---|
| 1. 現状の棚卸し | 従業員数、未提出者の追跡にかかっている時間、差し戻しの件数、使っている給与ソフト名を洗い出す | 8月 |
| 2. 要件の整理 | 電子申告まで必要か、マイナポータル連携は使うか、既存の給与ソフトと連携できればよいかを決める | 8月 |
| 3. 比較・問い合わせ | 3製品程度に見積もりを依頼。自社の給与ソフト名を伝えて連携方式を確認。今年の法改正への対応時期も聞く | 9月 |
| 4. 社内ルールの整備 | 電子データの受領方法(メール/USB/社内LAN)と本人特定の方法を決める。税務署への届出は不要 | 9月 |
| 5. 契約・初期設定 | 従業員マスタの登録、承認経路の設定、給与システムとの連携設定 | 9〜10月 |
| 6. 従業員への周知 | 電子化することと手順を案内。マイナポータル連携を使うなら2か月前には周知(カード取得や保険会社側の設定に時間がかかるため) | 10月 |
| 7. テスト運用 | 数名で実際に申告してもらい、スマホでの操作性と回答時間を確認 | 10月 |
| 8. 本番運用 | 申告書の配布、進捗の確認、未提出者への催促 | 11月 |
| 9. 計算・帳票作成 | 年税額の計算、源泉徴収票の交付、法定調書の作成・提出 | 12月〜翌1月 |
特に重要なのがステップ6です。マイナポータル連携を使う場合、従業員側でマイナンバーカードの取得や保険会社の電子交付設定が必要になります。ここに時間がかかるため、年末調整の2か月前には周知しておきましょう。
ステップ4も忘れないでください。税務署への届出は不要になりましたが、電子データの受領方法と本人特定の方法を社内で定めることが法令上の要件です。受領したデータは7年間保存する必要があります。
年末調整の電子化でよくある失敗と対策
| よくある失敗 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 想定していた機能が下位プランに含まれていなかった | プラン名だけで判断した | 年税額の計算・法定調書の作成が含まれるかを機能単位で確認する |
| 無料プランで始めようとしたら年末調整が使えなかった | 無料プランの対象範囲を確認していなかった | 無料枠で年末調整が使えるかを事前に確認する |
| 既存の給与ソフトとつながらなかった | 「主要ソフトに対応」の表記を鵜呑みにした | 自社の給与ソフト名を挙げて、連携の可否と方式(API/CSV)を確認する |
| 従業員の利用率が上がらなかった | PCログイン前提の製品を選んだ | 現場スタッフが多いならスマホ完結できるかを確認し、数名でテストする |
| 電子申告が結局できなかった | 帳票の作成と電子申告を同じものだと考えていた | e-Tax・eLTAXでの提出まで対応するか、ファイル出力までかを区別する |
| 控除証明書だけ紙のまま残った | 従業員への周知が直前になった | マイナポータル連携を使うなら2か月前に周知する |
| 初年度の費用が想定より膨らんだ | 初期費用・登録料を見落とした | 初年度の総額(初期費用+年額×人数)で比較する |
| 法改正への対応が間に合わなかった | ベンダーの対応時期を確認していなかった | 9〜10月の段階で今年の改正への対応スケジュールを確認する |
最も多いのが「下位プランに必要な機能が入っていなかった」というケースです。年末調整は「申告書の回収」「年税額の計算」「法定調書の作成」という3つの工程に分かれており、プランによってどこまで含まれるかが変わります。見積もりを取るときは、この3つを個別に確認しましょう。
年末調整システムに関するよくある質問
Q. 年末調整システムとは何ですか?
A. 従業員から申告書を回収し、控除額を計算して源泉徴収票を発行するまでの一連の業務を、クラウド上で完結できるシステムです。紙の配布・回収・チェック・差し戻しという工程がWeb上で終わり、進捗管理や法定調書の作成までつながります。
Q. 無料の年末調整ソフトはありますか?
A. 国税庁が「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」(年調ソフト)を無料で提供しています。申告書の作成と控除額の計算ができ、マイナンバーカードも必須ではありません。ただし年税額の計算はできず、会社側で提出状況を一元管理する機能もありません。民間サービスにも、従業員30名以下で使える無料プランや、5名まで無料の製品があります。
Q. 2026年の年末調整で何が変わりますか?
A. 令和8年度税制改正により、基礎控除が62万円(特例加算後は最大104万円)、給与所得控除の最低保障額が74万円になります。扶養親族・同一生計配偶者の所得要件も58万円から62万円に上がるため、新たに扶養の対象になる親族が出ます。23歳未満の扶養親族がいる場合の一般生命保険料控除の限度額も6万円になります。なお、2024年の定額減税は影響しません。
Q. 電子化するために税務署への届出は必要ですか?
A. 不要です。2021年4月1日以降に受け取る分から承認申請が廃止されました。従業員からの事前承諾も要りません。ただし、電子データの受領方法と本人を特定する方法を社内で定めることが要件で、受領したデータは7年間保存します。なお、源泉徴収票や給与明細を電子で交付する場合は従業員の事前承諾が別途必要です。
Q. 費用はどれくらいかかりますか?
A. 年末調整特化型なら年額330〜550円/名が中心で、これに初期費用が0〜11万円かかります。労務管理統合型なら月額300〜400円/名が目安です。人数無制限で月額1,980円という固定料金の製品もあります。初期費用の差が大きいので、初年度の総額で比較してください。
Q. 電子申告(e-Tax・eLTAX)への対応は必要ですか?
A. 2027年1月1日以後の提出分から、法定調書の電子提出義務の基準が「前々年30枚以上」に引き下げられます。従業員30人規模の会社も対象に入ります。今回調べた14製品のうち電子申告に対応しているのは2製品だけなので、これから選ぶなら確認しておきましょう。
Q. マイナポータル連携は使ったほうがよいですか?
A. 使えるなら効果は大きいです。控除証明書の電子交付は生命保険料控除の対象契約で約98.5%、地震保険料控除の対象契約で約96.6%が対応済みで、従業員が紙を用意する手間がなくなります。ただし14製品のうち公式に対応を明記していたのは1製品だけでした。また従業員側の準備に時間がかかるため、2か月前の周知が必要です。
Q. 既存の給与計算ソフトを変える必要はありますか?
A. 必要ありません。年末調整特化型を選べば、既存の給与ソフトとCSVやAPIでつないで使えます。ただし製品によって連携できる相手が限られるため、自社の給与ソフト名を伝えて確認してください。
Q. 導入から運用開始までどれくらいかかりますか?
A. 年末調整特化型なら1〜2か月が目安です。従業員マスタの登録、承認経路の設定、給与システムとの連携設定に時間がかかります。11月の繁忙期から逆算すると、遅くとも9月には動き出したいところです。
Q. 従業員が入力してくれるか不安です
A. 従業員側の入力方式は製品によって大きく違います。「はい・いいえ」に答えるだけの形式、証明書を撮影するだけの方式、LINEから入力できる製品などがあります。契約前に数名でテストして、スマホでの操作性と実際にかかる時間を確かめましょう。外勤や現場のスタッフが多い会社では、スマホで完結するかが利用率を左右します。
まとめ
年末調整システムを選ぶうえで、今年は2026年12月から適用される法改正を押さえておく必要があります。基礎控除・給与所得控除・扶養の所得要件が動き、新たに扶養の対象になる親族が出ます。ベンダーの対応時期を9〜10月に確認しておきましょう。
そのうえで、自社の状況からタイプを絞り込みます。
| 年末調整特化型 | 既存の給与ソフトはそのまま使い、年末調整だけを電子化したい場合 |
| 給与計算連携型 | 給与計算と年末調整をひとつのシステムで完結させたい場合 |
| 労務管理統合型 | 入退社・社保まで含め、労務手続き全体をペーパーレス化したい場合 |
比較の際に押さえるべき点は3つです。
- 必要な機能が、そのプランに含まれているか。 年末調整は「回収」「計算」「法定調書」の3工程に分かれ、下位プランでは回収だけということがあります。
- 電子申告に対応しているか。 2027年から義務化の基準が30枚に下がります。対応製品は14中2つだけです。
- 初年度の総額で比較する。 登録料11万円という製品もあります。
まずは診断ツールで自社に合うタイプを確認し、該当するタイプのなかから2〜3製品に問い合わせてみてください。その際、従業員数・使っている給与ソフト名・電子申告の要否を伝えると、精度の高い提案が得られます。
年末調整と並行して、経費精算まわりの効率化も検討している場合はこちらもご覧ください。