アドフラウド対策ツール10選比較。導入が必要なケース別におすすめを紹介
「広告費が想定より溶けている気がするが、原因が特定できない」
「アドフラウド対策ツールの存在は知ったが、自社に本当に必要なのかわからない」
Web広告の予算を預かる立場であれば、一度は行き当たる疑問です。
株式会社Spider Labsの「2025年アドフラウド調査レポート」によると、国内のアドフラウド推定被害額は約1,591億円(前年比82億円増)に達しています。さらに注目すべきは、P-MAXやAdvantage+といったAI最適化メニューにおける不正率が最大5.2%、媒体全体平均の最大2倍に達していたという結果です。運用を自動化に任せるほど、不正トラフィックが「反応の良い面」として学習されてしまう構造があります。
一方で、アドフラウド対策ツールはすべての企業に必須というわけではありません。守りたい対象が「広告のクリック」なのか「掲載面の質」なのか「アプリの成果」なのか「自社サイトへの到達」なのかによって、選ぶべきツールはまったく変わります。
本記事では、まず自社に導入が必要かを判断できる7つのケースを整理したうえで、アドフラウド対策ツールを4タイプに分類し、おすすめのツールをご紹介します。診断ツールも設置していますので、自社に合うタイプの特定にご活用ください。
そもそもアドフラウドとは?
アドフラウド(Ad Fraud)とは、広告主の予算をだまし取ることを目的に、意図的に発生させられた不正な広告接触のことです。日本語では「広告詐欺」と訳されます。
厄介なのは、広告主の管理画面上では正常な数値として記録されてしまう点です。クリック数もインプレッション数も、ときにはコンバージョン数までもが「実績」として計上されるため、レポートを見ているだけでは気づけません。CPAが少し悪い、CVRが伸びない、といった違和感の裏側に潜んでいます。
業界では、無効トラフィックをGIVT(General Invalid Traffic)とSIVT(Sophisticated Invalid Traffic)の2つに分けて捉えます。
GIVTは既知のクローラーやデータセンターからのアクセスなど、リストベースで判別できるものです。各広告媒体が標準で除外しているのは主にこのGIVTです。
問題はSIVTのほうで、人間の行動を精巧に模したボットやクリックファームによるものが該当します。媒体標準の除外をすり抜けるのはこのSIVTであり、専用ツールが必要になる領域です。
アドフラウドの主な手口
アドフラウドの手口は年々巧妙化しています。代表的なものは以下の通りです。
| 手口 | 仕組み | 広告主に起きる実害 |
|---|---|---|
| ボットによる自動クリック | プログラムが人間を装って 広告をクリック | クリック課金だけが発生し、 コンバージョンにつながらない |
| クリックファーム | 低賃金の作業員や大量の端末を 使った人力クリック | ボット判定を回避されるため、 媒体標準の除外をすり抜ける |
| 広告の隠蔽・重ね表示 (アドスタッキング) | 視認できない領域や他の広告の 下層に広告を配置 | インプレッションだけが積み上がり、 ビューアビリティが実態と乖離 |
| MFAサイトへの掲載 | 広告収益目的で量産された 低品質サイトに配信 | 広告費が価値のない面に流出。 ブランドイメージも毀損 |
| 偽装コンバージョン | 架空の資料請求・会員登録 ・注文を送信 | 成果報酬の支払いに加え、 営業・出荷の工数も発生 |
| クリックインジェクション (アプリ) | インストール直前に偽の クリックを差し込み成果を横取り | 本来オーガニックだった インストールに広告費を支払う |
| SDKスプーフィング (アプリ) | 実際には起きていない インストールを偽装通信で報告 | 実在しない成果にCPIを支払う |
なぜ今アドフラウド対策の必要性が高まっているのか
アドフラウドは以前から存在する問題ですが、ここ1〜2年で状況が変わりました。理由は2つあります。
1つ目は、広告運用のAI最適化が急速に進んだことです。前掲のSpider Labs調査によると、AI最適化メニューの配信量は1年強で192%に成長しました。その一方で、AI最適化キャンペーンの不正率は最大5.2%と、媒体全体平均の最大2倍に達しています。自動入札は「反応が良い面」に予算を寄せる仕組みですが、不正トラフィックはまさに反応が良く見えるため、アルゴリズムが不正な面を優良な面と誤認して予算を集中させるという逆説的な状況が起きています。
2つ目は、MFA(Made for Advertising)サイトの急増です。同調査では、MFAサイトへの掲載件数が前年比1,409%、被害額が前年比533%と、いずれも爆発的に増加しています。生成AIによってコンテンツの量産コストが下がったことが背景にあり、広告収益だけを目的とした低品質サイトが配信面に混ざり込みやすくなりました。
つまり、運用の高度化・自動化を進めた企業ほど、リスクが見えづらくなっているのが現状です。管理画面の数値を鵜呑みにせず、トラフィックの中身を検証する仕組みが必要になっています。
広告の成果データそのものをどう正しく計測するかという観点も、あわせて整理しておくと精度が上がります。計測基盤側の選定を検討している場合は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:広告効果測定ツール15選比較。目的別の選び方と費用相場を解説
アドフラウド対策ツールの導入が必要になる7つのケース
アドフラウド対策ツールは、すべての企業がすぐに導入すべきものではありません。流出している広告費がツールの月額費用を上回るかどうかが、判断の基本線になります。
そのうえで、以下の7つのケースのいずれかに当てはまる場合は、導入の費用対効果が出やすい状況です。各ケースの末尾に、有力な候補となるツールのタイプも記載しています。
- 検索・SNS広告に月100万円以上を投下しているマーケティング部門
- P-MAXやAdvantage+などAI最適化メニューに配信を任せている広告主
- 複数クライアントの広告運用を代行している広告代理店
- アフィリエイト・アドネットワークまで配信面を広げている企業
- アプリのインストールをCPI・CPA課金で買っているアプリ事業者
- フォーム経由のリードやEC・予約の不正注文に実害が出ている企業
- 自社メディアで広告枠を販売している媒体社
1. 検索・SNS広告に月100万円以上を投下しているマーケティング部門
もっとも該当者が多いケースです。平均的なアドフラウド発生率は2.2〜2.5%とされていますが、月100万円の広告費であれば毎月2万〜2.5万円、年間で24万〜30万円が実質的に流出していることになります。
金額以上に影響が大きいのは、指標の歪みです。無効クリックが分母に混ざると、CTRは実態より高く、CVRとCPAは実態より悪く見えます。この状態で入札調整やクリエイティブの良し悪しを判断すると、改善の方向そのものを誤ります。
→ このケースは無効クリック削減型(クリックで該当ツール紹介部へジャンプ)が有力な候補になります。
2. P-MAXやAdvantage+などAI最適化メニューに配信を任せている広告主
前述の通り、AI最適化キャンペーンの不正率は媒体全体平均の最大2倍に達しています。配信面や入札の判断をアルゴリズムに委ねている場合、不正トラフィックが「成果が出る面」として学習され、予算が自動的にそこへ寄っていくリスクを抱えます。
自動化されたキャンペーンは配信面の内訳が見えにくく、運用者が手動で気づける余地がほとんどありません。自動化を進めるほど、外部からトラフィックの質を検証する仕組みの必要性が上がります。
→ このケースも無効クリック削減型(クリックで該当ツール紹介部へジャンプ)が有力な候補になります。
3. 複数クライアントの広告運用を代行している広告代理店
代理店にとっての損失は、広告費の流出だけではありません。クライアントに提出するCTR・CVR・CPAが無効トラフィックで歪んでいると、改善提案の前提そのものが崩れます。「なぜCPAが悪化したのか」を説明できない状態が続けば、運用能力への信頼にも影響します。
逆に、無効トラフィックを除外したうえで数値を報告できれば、それ自体が提供価値になります。第三者認証つきのレポートを添付できると、説明の説得力はさらに上がります。
→ このケースは無効クリック削減型(クリックで該当ツール紹介部へジャンプ)とアドベリフィケーション型(クリックで該当ツール紹介部へジャンプ)の併用が有力です。除外運用は無効クリック削減型、クライアント報告用の第三者レポートはアドベリフィケーション型が担います。
さらに、配信前の広告表現チェックまで含めて品質管理体制を整えたい場合は、以下の記事も参考になります。
関連記事:広告審査代行9選を比較。依頼前に自社で対応できる3つのポイントまでご紹介
また、報告する数値を正しくすることと、報告を作る手間を減らすことは別の課題です。1名で10件以上のアカウントを見ている状態であれば、レポートの作成そのものを自動化する余地も残っています。
関連記事:広告レポート自動化ツール16選。代理店・インハウス別の選び方まで解説
4. アフィリエイト・アドネットワークまで配信面を広げている企業
検索広告やSNS広告に比べ、アドネットワークやアフィリエイトは掲載面を広告主側で把握しづらいという特性があります。ここに前述のMFAサイトや、偽装コンバージョンを送ってくる不正パートナーが混入します。
被害の性質も変わります。単に広告費が無駄になるだけでなく、意図しない面にブランドが露出することで、ブランドイメージそのものが損なわれます。掲載面のリストを取得し、リスクの高い面を除外する仕組みが必要です。
→ このケースはアドベリフィケーション型(クリックで該当ツール紹介部へジャンプ)が有力な候補になります。
5. アプリのインストールをCPI・CPA課金で買っているアプリ事業者
「インストール数は伸びているのに、起動率や課金率が上がらない」という状態は、アプリ広告における不正の典型的なサインです。クリックインジェクションやSDKスプーフィングによって、実在しない成果、あるいは本来オーガニックだった成果に対して成果報酬を支払っている可能性があります。
成果報酬型で買っている以上、不正インストールは1件ごとにそのまま支出になります。対策の要点は、成果として計上される前の段階で弾くことです。
→ このケースはアプリ広告特化型(クリックで該当ツール紹介部へジャンプ)が有力な候補になります。
6. フォーム経由のリードやEC・予約の不正注文に実害が出ている企業
資料請求フォームに架空の会社名・電話番号が並ぶ、ECで転売目的の大量注文が入る、予約サイトで無断キャンセルが繰り返される。こうした被害は、広告費の流出よりもその後の工数として重くのしかかります。
架空リードに営業が電話をかけ続ける時間、不正注文の出荷とキャンセル対応、返品処理。広告のクリック段階だけを見ていても、この領域は防げません。獲得した後の1件ごとの真正性を判定する仕組みが必要になります。
→ このケースは自社サイト防衛型(クリックで該当ツール紹介部へジャンプ)が有力な候補になります。
7. 自社メディアで広告枠を販売している媒体社
広告主側だけでなく、広告枠を売る側にとってもアドフラウド対策は収益に直結します。自社在庫に無効トラフィックが混じっていると、広告主や代理店から「効果が出ないメディア」と評価され、単価と継続率に跳ね返ります。
近年は広告主側でアドベリフィケーションツールを導入するケースが増えており、媒体社が把握していない品質の問題を先に指摘される状況も起きています。入札前の段階でフィルタリングできるプレビッド型のソリューションが選択肢になります。
→ このケースはアドベリフィケーション型(クリックで該当ツール紹介部へジャンプ)が有力な候補になります。
逆に、いま急いで導入しなくてよいケース
一方で、広告費が月数十万円規模で、かつ指名検索を中心とした検索広告のみを運用している場合は、いきなりツールを契約する必要はありません。この規模では、流出額がツールの月額費用を下回る可能性が高いためです。
まずは広告媒体が提供している無効クリックの除外レポートを確認し、Google AnalyticsやサーバーログでIP・リファラ・直帰率の異常を精査するところから始めるのが現実的です。そのうえで無効トラフィックの割合が想定より大きいと判明した場合に、無料診断や無料プランを用意しているツールで実測してから有料契約に進む、という順序が無駄になりません。
以上の7ケースと、それぞれに対応するタイプを整理すると次の通りです。
| ケース | 起きている実害 | 該当タイプ |
|---|---|---|
| 検索・SNS広告に 月100万円以上を投下 | 無効クリックによる広告費流出 と、CTR・CPAの歪み | 無効クリック削減型 ↓ |
| AI最適化メニューに 配信を任せている | 自動入札が不正トラフィックを 優良面と誤認し予算集中 | 無効クリック削減型 ↓ |
| 複数クライアントの 運用を代行 | 報告数値の歪みによる 改善提案の前提崩壊 | 無効クリック削減型 ↓ アドベリフィケーション型 ↓ |
| アフィリエイト・ アドネットワークまで配信 | MFAサイト掲載、 偽装コンバージョン、ブランド毀損 | アドベリフィケーション型 ↓ |
| アプリのインストール をCPI課金で購入 | 実在しない成果・オーガニック横取り への成果報酬支払い | アプリ広告特化型 ↓ |
| フォームのリード ・EC注文に実害 | 架空リードへの営業工数、 転売注文の出荷・返品コスト | 自社サイト防衛型 ↓ |
| 自社メディアで 広告枠を販売 | 在庫品質の低下による 単価・継続率の悪化 | アドベリフィケーション型 ↓ |
各タイプの詳細と、自社がどれに当てはまるかは、後述の「アドフラウド対策ツールの選び方」に設置した診断ツールで確認できます。
アドフラウド対策ツールでできること
アドフラウド対策ツールの役割は「検知」だけではありません。検知したあとに何ができるかまで含めて、機能は5つの領域に分かれます。
以下の表は、主要な機能を整理したものです。
| 不正トラフィックの検知 | IP・デバイス情報・行動パターンなど複数シグナルから無効トラフィックを判定。 GIVTに加えSIVTの検知にも対応 |
| 媒体側での自動除外 | 検知した不正ユーザーを各広告媒体の除外オーディエンスへ自動連携。 同一相手への再配信を停止 |
| 入札前・到達前のブロック | プレビッド、またはサイト到達前の段階で遮断。 課金そのものを発生させない |
| 掲載面の可視化・判定 | 広告が表示された面のカテゴリ・リスクを判定。 MFAサイトや不適切コンテンツを除外 |
| 不正リード・不正注文の判定 | フォーム送信や注文の内容・デバイス情報から 架空・転売目的のものを判定 |
| レポーティング | 無効トラフィック率や推定損失額を可視化。 第三者認証つきのレポートを提供するツールもあり |
このうち、ツールによって差が出るのは「媒体側での自動除外」と「入札前・到達前のブロック」です。検知だけで止まるツールの場合、除外作業を運用者が手動で行うことになり、継続的な運用負荷になります。導入検討時にもっとも確認すべきポイントといえます。
アドフラウド対策ツールの費用相場
アドフラウド対策ツールの費用は、課金モデルによって大きく変わります。月額3万円台から始められるものもあれば、年間契約で数百万円規模になるものもあります。
以下は、料金体系ごとの目安を整理した表です。
| 料金体系 | 費用の目安 | 向いている企業 |
|---|---|---|
| 月額固定型 | 月額3万〜5万円程度〜 | 広告費が月100万〜数百万円規模。 まず小さく始めて効果を確かめたい |
| トラフィック従量型 | 月額数万円〜 (クリック数・PV数に応じて加算) | 広告費や流入量の変動が大きく、繁閑差がある |
| 要見積もり型 (年間契約) | 要問い合わせ (年間契約が中心) | 年間数億円規模の広告予算。 第三者検証レポートが必要 |
| 計測ツール込み型 | 計測ツールの利用料に含まれる (追加費用なし) | すでにMMPを導入しているアプリ事業者 |
| サイト防衛型 | 月額数十万円〜 | サイト・アプリへのボットアクセスまで守る必要がある |
なお、アドベリフィケーション系のツールは料金を公開していないケースがほとんどです。金額の目安を掴むには、複数社に同条件(月間インプレッション数・対象媒体・必要な検証項目)を提示して見積もりを取る必要があります。
広告運用そのものを外部に委託している場合、ツール費用と運用代行費用のどちらに何を含めるかの整理も必要になります。運用体制の選択肢を確認したい場合は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:Web広告運用代行おすすめ22選比較。費用相場から選び方まで解説
アドフラウド対策ツールを選ぶ際の比較ポイント
アドフラウド対策ツールは「どれも同じように不正を検知してくれる」ものではありません。守れる範囲も、検知後にできることも、運用にかかる手間もツールごとに異なります。
比較する際は、以下の5つのポイントを確認してください。
- 対応している広告媒体・チャネルの範囲
- 検知できる不正の種類と検知の方式
- 検知後のアクション
- 導入方式と運用負荷
- 第三者認証と検知ロジックの透明性
1. 対応している広告媒体・チャネルの範囲
まず確認すべきは、自社が実際に使っている媒体をカバーしているかどうかです。Google・Yahoo!・Metaといった主要媒体は多くのツールが対応していますが、LINE広告、SmartNews、TikTok、アドネットワーク、アフィリエイトASPまで含めると対応状況は一気に分かれます。
また、Webとアプリは別の技術領域です。Web広告向けのタグ型ツールでアプリのインストール不正は検知できませんし、逆もまた同じです。CTVや音声広告に配信している場合は、対応チャネルの確認が特に重要になります。
確認すべきポイントは次の3つです。
- 現在配信している全媒体に対応しているか
- 今後追加予定の媒体・チャネルも同一ツールでカバーできるか
- Webとアプリのどちらかしかカバーしていないツールではないか
2. 検知できる不正の種類と検知の方式
「アドフラウド検知」と一括りにされていても、検知対象は異なります。ボットクリックの検知はほとんどのツールが対応していますが、クリックファームによる人力クリック、アドスタッキング、MFAサイトへの掲載、偽装コンバージョンまで見るかは分かれます。
検知の方式にも違いがあります。プレビッド型は入札前に判定するため、そもそも課金が発生しません。ポストビッド型は配信後に検証するため、レポートの精度は高いものの支出自体は発生します。両方を組み合わせているツールもあります。
前述のGIVTとSIVTの区分で言えば、専用ツールを入れる意味があるのはSIVTの検知精度です。ここをどう担保しているかは必ず確認したいところです。
3. 検知後のアクション
実務でもっとも差が出るのがこの項目です。検知レポートを出すだけのツールと、検知した不正ユーザーを媒体の除外オーディエンスへ自動連携するツールでは、運用負荷がまったく違います。
手動除外が前提のツールを選ぶと、毎週・毎月の除外リスト更新が運用タスクとして固定化されます。少人数の体制であれば、この作業が続かずに形骸化するリスクがあります。自動連携に対応しているか、対応している媒体はどこまでかを確認してください。
また、検知した不正クリック分を広告費として返金・クレジットするサービスを用意しているツールもあります。金額的なメリットが明確になるため、確認する価値があります。
4. 導入方式と運用負荷
導入方式は主に3つに分かれます。タグ設置型はサイトにJavaScriptタグを1本入れるだけで始められ、最短で数日から稼働します。SDK組み込み型はアプリに組み込む必要があり、開発リソースとリリースサイクルの調整が必要です。API連携型はDSPやSSPと接続する形式で、主にプログラマティック広告向けです。
タグ不要で、配信実績データの提供だけで始められるリスト型のサービスもあります。開発リソースが確保できない場合は、この方式が現実的な選択肢になります。
社内の体制と、いつまでに稼働させたいかを踏まえて選んでください。
5. 第三者認証と検知ロジックの透明性
国内ではJICDAQ(一般社団法人デジタル広告品質認証機構)が「ブランドセーフティ」「無効トラフィック対策」の認証制度を運営しています。海外ではMRCやTAGの認定が同様の役割を果たします。認証を取得しているツールは、検証手法が第三者にチェックされている点で信頼性が担保されます。
もう一つ重要なのが、検知ロジックの透明性です。「なぜこのトラフィックを不正と判定したのか」が説明されないツールは、誤検知(フォルスポジティブ)が起きたときに検証できません。正常なユーザーを誤って除外すれば、コンバージョンの機会損失につながります。判定理由をレポートやコールバックで開示しているかを確認してください。
配信する広告の内容自体が媒体審査に通るかという観点も、品質管理の一部です。
アドフラウド対策ツールの選び方
ここまで、導入が必要になる7つのケースと、比較すべき5つのポイントを整理してきました。ここからは、7つのケースで挙げた課題を「何を守りたいか」という軸で4つのタイプに整理し直します。
自社がどのタイプに当てはまるかを意識しながら読み進めてください。
- 無効クリック削減型(Web広告のムダな広告費をまず止めたい場合)
- アドベリフィケーション型(表示品質とブランド毀損リスクまで検証したい場合)
- アプリ広告特化型(アプリのインストール不正を成果計上前に弾きたい場合)
- 自社サイト防衛型(不正リード・不正注文・ボットアクセスまで止めたい場合)
①無効クリック削減型(Web広告のムダな広告費をまず止めたい場合)
検索広告やSNS広告に投下している予算のうち、無効クリックで失われている分をまず止めたい場合は、無効クリック削減型が最初の選択肢になります。サイトにタグを1本設置し、流入トラフィックを解析して不正ユーザーを特定。各広告媒体の除外オーディエンスへ自動連携することで、同じ相手への再配信を停止するという仕組みが中心です。
導入までの期間が短く、月額数万円から始められるツールが揃っているのがこのタイプの特徴です。P-MAXやAdvantage+などのAI最適化メニューを使っている場合、不正トラフィックを学習対象から外す効果も期待できます。まずアドフラウド対策を始める企業の入口として、もっとも現実的なタイプといえます。
このタイプへの導入に向いている企業は以下になります。
- 検索・SNS広告に月100万円以上を投下しており、CPAの歪みを解消したい
- AI最適化メニューに配信を任せており、学習データの質を担保したい
- 開発リソースをかけず、タグ設置だけで短期間に始めたい
②アドベリフィケーション型(表示品質とブランド毀損リスクまで検証したい場合)
広告が「どんな面に、本当に見られる形で表示されたか」まで検証したい場合は、アドベリフィケーション型が適しています。アドフラウド対策に加えて、ブランドセーフティ(不適切なコンテンツへの掲載回避)とビューアビリティ(実際に視認可能な形で表示されたか)を一体で扱うのがこのタイプです。
MFAサイトへの掲載やブランド毀損リスクは、無効クリックの除外だけでは防げません。アドネットワークやアフィリエイトまで配信面を広げている企業、テレビCMと連動したブランド広告を展開している企業では、こちらのタイプが必要になります。JICDAQなどの第三者認証に基づいたレポートを提供できるため、社内やクライアントへの説明資料としても機能します。プレビッド(入札前)で弾ける製品を持つベンダーもあり、媒体社側の在庫品質担保にも使われます。
このタイプへの導入に向いている企業は以下になります。
- アドネットワークやアフィリエイトまで配信面を広げており、掲載先の質を可視化したい
- ブランド広告を展開しており、掲載面のリスクを社内・取引先に説明する必要がある
- 代理店・媒体社として、第三者認証つきの品質レポートを提示したい
③アプリ広告特化型(アプリのインストール不正を成果計上前に弾きたい場合)
アプリのインストールをCPI・CPA課金で買っている場合は、アプリ広告特化型が必要です。クリックインジェクションやSDKスプーフィングといったアプリ固有の不正は、Web向けのタグ型ツールでは検知できません。アプリに計測SDKを組み込み、アトリビューション(成果の帰属判定)の前段で不正を弾く仕組みが必要になります。
このタイプの実体は、AppsFlyerやAdjustといったMMP(モバイル計測プラットフォーム)に搭載された不正防止機能です。すでにMMPを導入している場合、追加費用なしで有効化できるケースも多くあります。成果として計上される前にブロックできれば、そもそも成果報酬の支払いが発生しません。既存の計測基盤を確認するところから始めるのが効率的です。
このタイプへの導入に向いている企業は以下になります。
- アプリのインストールをCPI・CPA課金で購入している
- インストール数は伸びているが、起動率や課金率が上がらない
- すでにMMPを導入しており、その中で不正判定まで完結させたい
④自社サイト防衛型(不正リード・不正注文・ボットアクセスまで止めたい場合)
広告のクリック段階ではなく、獲得した後に実害が出ている場合は、自社サイト防衛型が必要になります。架空の資料請求、転売目的の大量注文、スパム会員登録、コンテンツのスクレイピング。これらは広告費の流出ではなく、営業工数・出荷コスト・返品対応という別の形のコストとして現れます。
このタイプは、サイトやアプリに到達するトラフィックそのものを判定し、フォーム送信や注文の1件ごとに真正性を評価します。アドフラウド対策の枠を超えてボット対策・不正検知の領域に踏み込むため、費用も月額数十万円規模になるケースがあります。一方で、リード品質の改善は営業組織全体の生産性に直結するため、投資対効果を評価しやすい領域でもあります。
このタイプへの導入に向いている企業は以下になります。
- フォーム経由のリードに架空・重複が多く、営業工数が無駄になっている
- ECや予約サイトで転売目的の不正注文・無断キャンセルが発生している
- ボットアクセスやスクレイピングまで含めてサイトを防御したい
上記で自社に合うタイプがわからなかった方は、以下の診断ツールで自社に合うタイプを確認してみてください。
8つの質問に答えてください。回答が終わると、自社の課題に最適なアドフラウド対策ツールのタイプが診断されます。
Q1 / 広告費の規模と流出
検索・SNS広告への投下額について、どちらに近いですか?
Q2 / AI最適化メニューへの依存
配信の任せ方について、どちらに近いですか?
Q3 / 配信面の広がり
広告の掲載面について、どちらに近いですか?
Q4 / 第三者認証つきの測定レポート
社内やクライアントへの報告について、どちらに近いですか?
Q5 / アプリのインストール獲得
広告の主戦場について、どちらに近いですか?
Q6 / 計測ツール(MMP)との連携
計測基盤について、どちらに近いですか?
Q7 / 不正リード・不正注文の実害
獲得したあとのデータ品質について、どちらに近いですか?
Q8 / サイト到達前のブロック
自社サイト・アプリの守り方について、どちらに近いですか?
アドフラウド対策ツール一覧比較表
以下は、本記事で紹介するアドフラウド対策ツールの一覧比較表です。
| サービス名 | 詳細 | 料金 | タイプ | 備考 |
|---|---|---|---|---|
Spider AF | 月額37,500円〜 | 無効クリック削減型 | 国内シェアNo.1。アドフラウド・不正リード・転売を1社でカバー | |
HYTRA HORNET | 要問い合わせ | 無効クリック削減型 | 年間130億トラフィックの解析データを持つ国産AI検知 | |
X-log | 無料プランあり | 無効クリック削減型 | 月10万PV以内なら無料で解析可能。まず実測したい企業向け | |
Integral Ad Science(IAS) | 要問い合わせ | アドベリフィケーション型 | CTV・音声・ゲーム内まで対応チャネルが最も広い | |
DoubleVerify | 要問い合わせ | アドベリフィケーション型 | JICDAQ認証を5年連続取得。アテンション指標まで測定 | |
HYTRA DASHBOARD | 要問い合わせ | アドベリフィケーション型 | タグ不要のリスト型。日本語の文脈判定に強い | |
AppsFlyer(Protect360) | 要問い合わせ | アプリ広告特化型 | 検知後に「ブロック」か「タグ付け」かを選べる柔軟性 | |
Adjust | 要問い合わせ | アプリ広告特化型 | 不正防止機能が追加料金なし。拒否理由をリアルタイム通知 | |
CHEQ | 要問い合わせ | 自社サイト防衛型 | 2,000項目超のチェックで誤検知率0.009%以下 | |
O-PLUX | 要問い合わせ | 自社サイト防衛型 | 累計11万サイト導入。転売・なりすまし注文の検知に特化 |
【無効クリック削減型】のアドフラウド対策ツール
無効クリック削減型のアドフラウド対策ツールを紹介します。タグ設置だけで始められ、比較的短期間で稼働できるものを中心に選定しています。
Spider AF

Spider AFは、AIアドフラウド対策ツールの国内シェアNo.1を掲げる国産ツールで、導入600社以上・継続率99%という実績を持ちます。株式会社Spider Labsが提供しています。
サイトにタグを1本設置するだけで導入でき、Google広告・Yahoo!広告・Meta広告・Microsoft広告に加え、75以上のネットワークに対応します。検知した不正ユーザーは各媒体の除外オーディエンスへ自動連携されるため、除外リストを手動更新する必要がありません。
このツールの特徴は、アドフラウド対策・不正リード対策・転売対策・サードパーティタグの脆弱性監視(SiteScan)を1社でカバーしている点です。広告のクリックだけでなく、フォーム送信や注文の不正まで同一ベンダーで対応できるため、後から守る範囲を広げやすい構成になっています。KINTO・MOTA・ドリコムなど導入事例も公開されており、比較検討時の判断材料が揃っています。
| 対応媒体・チャネル | Google・Yahoo!・Meta・Microsoft広告ほか75以上のネットワーク |
| 検知できる不正・検知方式 | ボット・クリックファーム・不正リード・転売注文をポストクリックで判定 |
| 検知後のアクション | 各媒体の除外オーディエンスへ自動連携。不正リード・不正注文はリアルタイム遮断 |
| 導入方式・運用負荷 | タグ設置型。無料診断あり。開発リソース不要 |
| 料金 | ・アドフラウド対策:月額37,500円〜(年払い30,000円〜/Performanceプラン) ・不正リード対策:月額37,500円〜 ・転売対策:月額10円/CV(月間最低1万円) |
HYTRA HORNET

HYTRA HORNETは、年間130億件規模のトラフィック解析データとAIを組み合わせた国産のアドフラウド対策ツールです。ブランドセーフティ領域で長年の実績を持つMomentum株式会社が提供しています。
サイトに流入してくるユーザーのトラフィックを解析し、ボットや競合による不正クリックを行うユーザーを特定。各アドプラットフォームで除外オーディエンスの設定を実施することで、再訪問と再配信を防ぐ仕組みです。Google・Yahoo!・SNSなど主要媒体に対応しています。
同社は他にもブランドセーフティ向けの製品群を展開しており、アドフラウド対策から表示面の品質担保まで、段階的に範囲を広げられる点が強みです。ルネサンス・GMO TECH・ライフネット生命保険など、業種の異なる導入事例が公開されています。国産ツールのため、日本語でのサポートと日本市場特有の不正パターンへの対応が期待できます。
| 対応媒体・チャネル | Google・Yahoo!・SNSなど主要媒体 |
| 検知できる不正・検知方式 | ボット・競合クリックなどの不正ユーザーをタグ解析型で特定 |
| 検知後のアクション | 各アドプラットフォームの除外オーディエンスへ連携し再配信を停止 |
| 導入方式・運用負荷 | タグ設置型。ヒアリング→タグ設置診断→見積もりの6ステップで導入 |
| 料金 | 要問い合わせ |
X-log

X-log.aiは、月10万PV以内であれば無料で解析を始められるという導入ハードルの低さが特徴のツールです。株式会社日本クラウディアが提供しています。
AIがアクセスログを分析して無効クリックを自動判別し、対象のIPアドレスやリファラを除外します。有料版では、Google広告のオーディエンス除外機能と連携することで、端末単位でピンポイントに広告表示を止めることが可能です。
このツールの位置づけは、「まず自社にどれだけ無効クリックがあるかを実測してから、有料の対策に進む」という段階的な導入に向いています。提供元も、無料プランで解析を行い、不正が多いと判明した場合に有料プランへ切り替える流れを推奨しています。アドフラウド対策の必要性を社内で説明するための材料集めから始めたい場合に適した選択肢です。
| 対応媒体・チャネル | Google広告を中心としたWeb広告 |
| 検知できる不正・検知方式 | 無効クリックをAIがアクセスログから自動判別 |
| 検知後のアクション | 対象IP・リファラの除外。有料版はGoogleオーディエンス除外と連携し端末単位で停止 |
| 導入方式・運用負荷 | タグ設置型。無料プラン(解析のみ・月10万PV以内)から開始可能 |
| 料金 | 無料プランあり(解析機能のみ)/有料プランは要問い合わせ |
【アドベリフィケーション型】のアドフラウド対策ツール
アドベリフィケーション型のアドフラウド対策ツールを紹介します。アドフラウド対策に加えて、ブランドセーフティとビューアビリティを一体で検証できるものを選定しています。
Integral Ad Science(IAS)

Integral Ad Science(IAS)は、2009年からデジタル広告の検証技術を開発してきたアドベリフィケーションの世界的大手です。日本法人としてIntegral Ad Science Japan株式会社が国内展開しています。
提供するソリューションは、アドフラウド対策・ブランドセーフティ&適合性・ビューアビリティ・コンテキストターゲティング・効率化&最適化の5領域です。JICDAQからは「ブランドセーフティ」「無効トラフィック対策」の2つの認証を取得しています。
このツールの最大の強みは、対応チャネルの広さです。オープンウェブ広告に加え、CTV・動画・モバイル&アプリ・オーディオ・ゲーム内環境までカバーしており、配信チャネルが多岐にわたる企業でも一元的に検証できます。DSPと連携したプレビッドソリューションも提供しているため、入札前の段階でリスクの高い在庫を除外することが可能です。JICDAQの「広告掲載不適切コンテンツカテゴリ」に対応したブランドリスク除外機能も備えています。
| 対応媒体・チャネル | オープンウェブ・CTV・動画・モバイル&アプリ・オーディオ・ゲーム内環境・ソーシャル |
| 検知できる不正・検知方式 | 無効トラフィック・不適切コンテンツ掲載・ビューアビリティ不良をプレビッド/ポストビッド両方で検証 |
| 検知後のアクション | DSP連携によるプレビッド除外。ブランドリスクカテゴリ単位での除外設定 |
| 導入方式・運用負荷 | タグ設置・DSP連携。専任担当による運用支援あり |
| 料金 | 要問い合わせ |
DoubleVerify

DoubleVerifyは、年間8兆3,000億件以上のメディア取引を測定する規模を持つアドベリフィケーションプラットフォームです。JICDAQのブランドセーフティおよび無効トラフィック対策認証を5年連続で取得しています。
主力の「DV Media AdVantage Platform」は、Verify(検証)・Optimize(最適化)・Prove(証明)の3つの柱で構成されます。フラウド/SIVT対策、ブランドセーフティ、ビューアビリティに加え、広告が実際にどれだけ注意を引いたかを測る「アテンション」指標まで提供している点が他社との違いです。
対応領域はオープンウェブ・CTV・ソーシャルメディア・コマースメディアネットワークで、国内主要媒体との提携も進んでいます。IAB、TAG CAF、TAG BSC、AICPA SOC、ISO/IEC 27001など取得している業界認証の数も多く、監査対応や取引先への説明責任が重い企業に向いた選択肢です。単に不正を除外するだけでなく、広告の質そのものを指標化して改善に回したい場合に価値を発揮します。
| 対応媒体・チャネル | オープンウェブ・CTV・ソーシャルメディア・コマースメディアネットワーク |
| 検知できる不正・検知方式 | フラウド/SIVT・ブランド不適合・ビューアビリティ不良をリアルタイム検証 |
| 検知後のアクション | プレビッド除外とDSP連携による最適化。アテンション指標に基づく配信改善 |
| 導入方式・運用負荷 | タグ設置・DSP/媒体連携。レポーティング基盤を含む |
| 料金 | 要問い合わせ |
HYTRA DASHBOARD

HYTRA DASHBOARDは、タグを設置せずに導入できるリスト型のブランドセーフティ・無効トラフィック対策サービスです。Momentum株式会社が提供しています。
配信面の推奨・非推奨を提示することで、面選定の判断を標準化します。不適切な面に加え、MFAサイトやIVT(無効トラフィック)の除外にも対応します。前述のHYTRA HORNETがタグ解析型でクリックの不正を扱うのに対し、こちらは配信面そのものの質を扱う位置づけです。
このサービスの独自性は、日本語の文脈に強いAIと人の判定を組み合わせている点にあります。海外製ツールでは判定が難しい日本語特有の表現や、日本の法規・時事文脈に関わるリスクを拾えるのが強みです。同社はプレビッド実装向けのAPI提供や、アフィリエイト広告のリスク解析サービスも展開しており、媒体社・DSP側での在庫品質担保にも対応しています。タグ設置の調整が難しい環境でも導入できる点が実務上のメリットです。
| 対応媒体・チャネル | 国内主要媒体・アドネットワーク・アフィリエイト |
| 検知できる不正・検知方式 | 不適切面・MFAサイト・IVTを日本語文脈対応のAI+人の目視で判定 |
| 検知後のアクション | 推奨・非推奨リストの提示による配信面の除外設定。API経由のプレビッド実装にも対応 |
| 導入方式・運用負荷 | タグ不要のリスト型。配信実績データの提供のみで開始可能 |
| 料金 | 要問い合わせ |
【アプリ広告特化型】のアドフラウド対策ツール
アプリ広告特化型のアドフラウド対策ツールを紹介します。いずれもMMP(モバイル計測プラットフォーム)に不正防止機能を搭載した形で提供されています。
AppsFlyer(Protect360)

AppsFlyerのProtect360は、モバイル計測プラットフォームの中に不正防止機能を統合したエンタープライズ向けソリューションです。AppsFlyer Japan株式会社が国内展開しています。
数百万のシグナルをリアルタイムで分析するAI検知エンジンにより、不正インストール・ボットトラフィック・クリックファームを判定します。検証ルール機能を使えば、シーケンスやキャンペーン条件に基づくカスタムロジックも定義できます。
このツールの実務上の強みは、「不正防止スタジオ」で検知後の対応を選べる柔軟性です。検知したトラフィックを即時ブロックするか、タグ付けだけして様子を見るかを設定できるため、導入初期に誤検知の影響を抑えながら段階的に運用を厳しくしていけます。アトリビューション確定後に発覚した不正について費用を回収する「ポストアトリビューション精算」も備えており、支払い後の取り戻しにも対応します。
| 対応媒体・チャネル | モバイルアプリ(iOS・Android)の広告ネットワーク全般 |
| 検知できる不正・検知方式 | 不正インストール・ボット・クリックファームをAIがリアルタイム分析 |
| 検知後のアクション | 即時ブロックまたはタグ付けを選択可能。ポストアトリビューション精算による費用回収 |
| 導入方式・運用負荷 | SDK組み込み型。開発リソースとリリース調整が必要 |
| 料金 | 要問い合わせ |
Adjust

Adjustは、アプリ固有の不正4類型それぞれに専用の対策技術を用意しているモバイル計測プラットフォームです。ドイツ発のAdjust GmbHが提供し、日本法人も展開しています。
SDKスプーフィングには多層暗号化技術、クリックインジェクションには確定的タイムスタンプ、デバイスファームには匿名IPフィルター、クリックスパムには独自の分布モデルという形で、手口ごとに異なるアプローチを取っています。いずれもアトリビューション確定前にリアルタイムで拒否する設計です。
このツールで注目すべきは、拒否した理由をリアルタイムのコールバックで通知する透明性です。「なぜこのインストールを不正と判定したのか」が把握できるため、パートナーとの交渉材料になり、誤検知の検証も可能です。加えて、SDKスプーフィング対策などの不正防止機能に追加料金がかからない点も明示されています。オーガニックユーザーの正確な検出にも配慮された設計になっています。
| 対応媒体・チャネル | モバイルアプリ(iOS・Android)の広告ネットワーク全般 |
| 検知できる不正・検知方式 | SDKスプーフィング・クリックインジェクション・デバイスファーム・クリックスパムを手口別に判定 |
| 検知後のアクション | アトリビューション前のリアルタイム拒否。拒否理由をコールバックで通知 |
| 導入方式・運用負荷 | SDK組み込み型。開発リソースとリリース調整が必要 |
| 料金 | 要問い合わせ(不正防止機能は追加料金なし) |
【自社サイト防衛型】のアドフラウド対策ツール
自社サイト防衛型のアドフラウド対策ツールを紹介します。広告のクリックだけでなく、自社サイトやアプリに到達するトラフィックそのものを判定するものを選定しています。
CHEQ

CHEQは、マーケティング領域全体のセキュリティを扱う「Go-to-Market Security」を掲げるプラットフォームです。イスラエル発の企業で、日本国内ではチェク・ジャパン株式会社が展開しています。
製品はMarketing Security(Acquisition・Form Guard・Analytics)、Control & Compliance(Manage・Enforce)、Fraud & Abuse(Defend)の3カテゴリ・6製品で構成されます。広告の不正クリック対策から、フォームのスパム登録防止、分析データの浄化、ボット攻撃の防御までを1つの基盤でカバーします。
このツールの強みは、2,000項目以上のセキュリティチェックを実施しながら、誤検知率を0.009%以下に抑えているという精度です。誤検知は正常なユーザーの機会損失につながるため、この数値を公開している点は評価できます。世界15,000社以上の導入実績があり、1日あたり6兆件のデータポイントを検知しています。ボット検知に加えて、AI生成IDの検知やアカウント乗っ取りリスクの検知にも対応しており、生成AI時代の不正パターンにも踏み込んでいます。
| 対応媒体・チャネル | Web広告全般・自社サイト・フォーム・分析ツール |
| 検知できる不正・検知方式 | ボット・悪質スクリプト・AI生成ID・アカウント乗っ取りリスクを2,000項目超のチェックで判定 |
| 検知後のアクション | 広告のブロック、フォーム送信の遮断、分析データからの除外、サイトへのボットアクセス防御 |
| 導入方式・運用負荷 | タグ設置型。製品単位で必要な範囲を選択可能 |
| 料金 | 要問い合わせ |
O-PLUX

O-PLUXは、累計導入11万サイトを突破し、国内の不正注文検知サービスで導入数No.1を4年連続で獲得している国産サービスです。かっこ株式会社が提供しています。
検知の対象は、転売目的の不正注文・なりすまし・多重申込・不正抽選などです。注文内容とデバイス情報を組み合わせて1件ごとに真正性を判定するため、広告のクリック段階では防げない「獲得後の実害」に対処できます。キャンペーンの不正抽選対策プランも追加されています。
このサービスが対象にしているのは、架空リードや転売注文が売上・工数に直接跳ね返っている企業です。同社は不正アクセス・不正ログイン検知の「O-MOTION」も展開しており、注文段階とアクセス段階の両方を同一ベンダーでカバーできます。より軽量に始めたい場合には、O-PLUXの一部機能を月額4,000円から使える「不正チェッカー」も用意されており、規模に応じた選択が可能です。日本のEC事業者を主対象に開発されているため、国内の商習慣に沿った運用ができます。
| 対応媒体・チャネル | 自社EC・予約サイト・キャンペーン応募フォーム |
| 検知できる不正・検知方式 | 転売注文・なりすまし・多重申込・不正抽選を注文内容とデバイス情報から判定 |
| 検知後のアクション | 注文の自動保留・キャンセル判定。審査フローへの振り分け |
| 導入方式・運用負荷 | タグ設置+API連携型。Shopifyアプリも提供 |
| 料金 | 要問い合わせ(軽量版「不正チェッカー」は月額4,000円〜) |
アドフラウド対策ツールのよくある質問
最後に、アドフラウド対策ツールの検討時によく挙がる疑問にお答えします。
媒体(Google・Meta)側の無効クリック除外だけでは不十分ですか?
主要媒体はいずれも無効クリックの自動除外と返金の仕組みを持っています。ただし、その対象は主にGIVT(既知のクローラーやデータセンターからのアクセスなど、リストベースで判別できる無効トラフィック)です。
専用ツールを入れる意義があるのは、人間の行動を模したボットやクリックファームによるSIVTの領域です。加えて、媒体側の除外は自社の判断基準を持ち込めず、除外の内訳も詳細には開示されません。第三者の視点で検証すること自体に価値があると考えると、両方を併用するのが現実的です。
導入するとコンバージョン数が減りますか?
誤検知(フォルスポジティブ)が起きれば、正常なユーザーを除外してコンバージョンの機会を失う可能性があります。これは実在するリスクです。
対策としては、導入初期に「ブロック」ではなく「タグ付けのみ」で運用できるツールを選び、除外対象の傾向を確認してから本格稼働に移す方法が有効です。誤検知率を公開しているツールや、判定理由をレポート・コールバックで開示するツールを優先すると、問題が起きたときに検証できます。
代理店に運用を任せている場合、広告主側で入れる意味はありますか?
あります。代理店が導入しているツールがある場合はその内容を確認したうえで、広告主側で第三者の検証結果を持つこと自体に意味があるという整理になります。
広告費を負担しているのは広告主であり、その使われ方を独自に検証できる状態は交渉力にもつながります。ただし二重投資になるケースもあるため、まずは代理店に現在の無効トラフィック対策の状況を確認するところから始めるのが効率的です。
広告代理店が自社で導入する意味はありますか?
こちらもあります。代理店側の導入メリットは、広告費の削減よりもレポートの正確性と説明力にあります。
無効トラフィックを除外した数値でCTR・CVR・CPAを報告できれば、改善提案の前提が揃います。第三者認証を持つツールのレポートを添付できれば、数値の妥当性を客観的に示せます。複数クライアントを扱う場合は、対応サイト数の上限とホワイトラベルレポートの有無を確認してください。
検知精度はどう比較すればよいですか?
カタログスペックでの比較は困難です。各社が公開している検知アルゴリズム数やデータ量は前提条件が異なるため、そのまま横並びにできません。
現実的な方法は、無料診断や無料トライアルを使い、自社の同一期間・同一キャンペーンのデータで複数社を比較することです。検知率の数値だけでなく、判定理由が説明されるか、除外までの運用が自社の体制で回るかまで含めて評価してください。
まとめ
アドフラウド対策は、すべての企業が今すぐ導入すべきものではありません。判断の起点になるのは「自社のどこで、どんな実害が出ているか」です。本記事で挙げた7つのケースに照らして、当てはまるものがあるかを確認してみてください。
そのうえで、選ぶべきツールは守りたい対象によって4つに分かれます。
- 検索・SNS広告のムダな広告費をまず止めたい → 無効クリック削減型
- 掲載面の質とブランド毀損リスクまで第三者に検証させたい → アドベリフィケーション型
- アプリのインストール不正を成果計上前に弾きたい → アプリ広告特化型
- 架空リード・不正注文・ボットアクセスまで防ぎたい → 自社サイト防衛型
まずは、自社に合ったタイプを把握することが重要です。まだ診断ツールを試していない方は、ぜひ「アドフラウド対策ツールの選び方」セクションの診断ツールから確認してみてください。
タイプが定まったら、無料診断や無料プランを提供しているツールで自社の実際の数値を測ってみることをおすすめします。アドフラウドの発生率は業種や配信媒体によって大きく異なるため、平均値ではなく自社の実数で判断するのが確実です。そこで判明した流出額がツールの月額費用を上回るなら、導入の投資対効果は明確になります。
自社の広告費が「届いていない」状態を可視化することが、すべての改善の出発点になります。この記事が、その第一歩の助けになれば幸いです。




