第一想起を獲得するホワイトペーパー戦略。成果を出すための3つの使い方。
度々B2B企業のマーケティング施策として挙がるホワイトペーパーですが、とりあえず制作してみたものの、どう活用すれば効果が出るかわからないというマーケティング担当の方も多いのではないでしょうか。
株式会社Cone運営の資料作成代行サービスc-slideでは、これまでに累計850社以上の資料作成を支援しており、中でも7,8割がBtoBセールス・マーケティング関連の資料となっています。自社のホワイトペーパーはもちろん、顧客のホワイトペーパーに関しても、調査・構成・作成・分析・活用と幅広い面での支援、また支援実績数以上に数多くのご相談にも対応してきました。
自社・顧客・他社のホワイトペーパーに触れてきた経験から、うまくワークする使い方とそうでない使い方を分類することができたため、本記事では、ホワイトペーパーの有効的な使い方を厳選して3つ紹介します。
2024年9月に佐藤がITmediaマーケティングに寄稿した記事です。
※ 出典:誰も教えてくれなかったホワイトペーパー戦略 成果を出すための3つの使い方とは?
目次
ホワイトペーパーの果たす役割
ホワイトペーパーはマーケティング担当にとって有効な手段のひとつです。しかし、使い方を間違えればただ制作コストがかかっただけということにもなりかねません。
そこで、ホワイトペーパーの3つの使い方を紹介する前に、ホワイトペーパーの役割を明確にしていきます。
一般的な認識では、ホワイトペーパーは以下のような手段で活用されることが多いでしょう。
- BtoBサイト・サービスサイトの「お役立ち資料一覧」に設置
- Facebook広告
- プレスリリースで配布
マーケティング担当の多くは、ホワイトペーパーをどれだけ多くの人にダウンロードしてもらうか(リード獲得)、どのようにして商談につなげるか(商談獲得)、に苦戦していると思います。
しかし、おそらくそれはうまくいかないことが多いはずです。なぜなら、ホワイトペーパーをダウンロードする人は「購買意思」がないからです。
実際、弊社がサイトに設置しているホワイトペーパーリードの直接的なコンタクト率(ダウンロードして連絡が取れる割合)は0.2%です。一方、サービスサイトに設置しているサービス紹介資料リードの直接的なコンタクト率は35%前後となっており、ホワイトペーパーはサービス紹介資料よりも175倍も効率が悪い手段であると言えます。
では、そのホワイトペーパーの役割とはいったい何なのか。
それは「特定領域で、自社が【信頼できる会社】だと認知されるためのもの」です。リード獲得→商談獲得ではなく「信頼」獲得がホワイトペーパーの役割です。
目的をリードや商談に置くのではなく、信頼獲得に置くことで「役に立つ情報を提供し、業務に詰まったときに再度コンテンツが閲覧され、結果的に第一想起を獲得する」ことができるようになります。
つまり
ホワイトペーパーDL→ナーチャリング→商談化
ではなく
ホワイトペーパーDL→第一想起獲得→→→→→→→→→商談化
という流れで商談化するのがホワイトペーパー施策であり、サービスに興味を持つ人を短期的に少数商談化するのではなく、サービスに興味がないが課題はある人を中長期的に大量に商談化を目指すのがホワイトペーパーの役割です。
要約すると、ホワイトペーパーの役割は「【信頼できる会社】だと認知され、第一想起を獲得し、中長期での大量の商談化を目指すもの」です。
では、どのように活用すれば信頼され、第一想起が獲得できるのか。ここからは、ホワイトペーパー施策で成果をあげるための3つの使い方を紹介します。
①:オウンドメディア記事の各記事別に設置
1つ目の使い方は、オウンドメディア記事のCTAとしてホワイトペーパーを設置すること。
ポイントは、記事内容に応じて設置するホワイトペーパーを変えることです。営業管理をテーマに執筆された記事なら、ホワイトペーパーは「営業管理シートと使い方」に。マーケティング戦略をテーマに執筆された記事なら、ホワイトペーパーは「マーケティング施策集」に文脈を合わせる必要があります。
ここで、サービス紹介資料などの直接的な自社の紹介系のホワイトペーパーを設置してしまうと、先述の「信頼できる会社」には該当せず、第一想起も獲得することができません。
あくまでも読者(ターゲット顧客)にとって「有益な情報」である必要があります。
支援企業数900社超の資料作成代行サービスc-slideを運営する中でわかった、CVRが高くなるホワイトペーパーの傾向は次の2つです。
- ブックマークしたい(手元に置いておきたい)と思うコンテンツ
- テンプレートなどの編集可能なコンテンツ
つまり、「業務のタイミングが来た際に、再度参考にしながら使えるコンテンツ」であることがCVRが高くなる要素と言えます。
たとえば、以下のようなコンテンツが該当します。
- 〜〜施策を実施する際の、〇〇のチェックリスト
- 〜〜改善ガイド。目的別〇〇パターン完全収録
- 〜〜別、〇〇管理テンプレート
著者のオウンドメディアでも「営業資料 作り方」をテーマに執筆した記事内で、営業資料のテンプレートを設置しています。
ここから直接問い合わせにつながるわけではありませんが、毎月「このテンプレートを活用して営業資料を作成したが結局プロに構成から相談したい」という依頼が来ています。この現象こそが「信頼できる会社だと認知され、第一想起が獲得できている」ということです。
ホワイトペーパーは個人情報入力させるかどうか、という問いがありますが、弊社は信頼度を最大化するためにはだれでもストレスなくダウンロードできる状態にするため、基本的には不要だと考えています。
②:”お役立ち”資料をメルマガ一斉送信
次に、特定のターゲットに対して作成したホワイトペーパーをメルマガで配信する、という普遍的な使い方について紹介します。
「ホワイトペーパーをメルマガで配信する」と聞けば、そうだよねと思う方も多いかもしれません。思い浮かぶのは以下のようなプロセスではないでしょうか。
- 1:ホワイトペーパーをつくる
- 2:特定のターゲットに配信する
- 3:クリックがあった顧客に架電する
- 4:商談打診 or セミナー誘導
このプロセスで商談化することは難しく、インサイドセールスの工数が無駄になってしまうだけです。
営業資料を送りつけてこちらから架電するのではなく、“お役立ち”資料を提供してお客様からの相談を待つのがホワイトペーパー施策です。(もちろんMAツールでのスコアリングがホットリード基準に達していたら営業アプローチをしても良いでしょう)
お役立ち情報を定常的に提供して、第一想起を獲得し、相談に備えるには、テーマと頻度が重要になります。
テーマ
お役立ち情報になるテーマは大きく分けて以下の4タイプです。
- 常日頃営業担当が、既存顧客や見込み顧客から聞かれること
- 他の企業がうまくいっている事例
- 該当業界の最新情報
- 終了したセミナーの内容
実際に弊社がクライアントから依頼を受けて作成し、CVRが高かったホワイトペーパーのタイトル例を挙げておきますので参考にしてみてください。
- 〜〜法対応のための〇〇の作り方
- 〇〇対象 △△名調査。〜〜を伸ばす〇〇の方法
- 〇〇社のリード獲得XX%を実現した〜〜活用術
頻度
また、頻度としては月1~2本を目標に取り組むことをおすすめします。この頻度を継続するためには「ネタ切れ」と「コンテンツ制作リソース不足」が課題になります。
コンテンツ制作リソースは外注や採用で対応するしかありませんが、ネタ切れについては、以下のようなトリガーを設定することで解決することができます。
- セミナー開催
- オウンドメディア記事更新
- 営業チームとの定例会議
- 導入事例追加
たとえば、セミナー開催後にセミナー内容を整理したホワイトペーパーを制作したり、営業チームとの定例会議で「既存・見込み顧客からの質問・疑問」を回収し、その回答をホワイトペーパー化したり、といった具合です。
③:インサイドセールスが1to1で送付
最後は、インサイドセールスが対1顧客に送付するというもの。
1対多数への情報提供によるリード獲得以上に、1顧客にとって役に立つ情報を提供することでの商談獲得の重要性を改めて説明します。(このホワイトペーパーを提案資料・営業資料と呼ぶ場合もあります)
ホワイトペーパーを公開したり、メルマガで送付して成果がでないときは、既存リードの1顧客向けにカスタマイズしたホワイトペーパーを制作・送付しましょう。
再度振り返りますが、ホワイトペーパーの役割は「【信頼できる会社】だと認知され、第一想起を獲得し、中長期での大量の商談化を目指すもの」でした。
信頼できる会社として認知される最も有効な手段は「あなたが一番欲している情報を届ける」ということ。
過去獲得したリードの中で、相談内容に質問が記載されているものがいくつかあるはずです。その相談内容に答える形でホワイトペーパーを制作し送付します。たとえば「内製か外注で迷っているので料金が知りたい」といった相談内容で未商談のリードには「内製の場合と外注の場合のコスト・期待効果シミュレーション」をまとめた資料を制作・送付します。
このように、知りたいことに100%合致する”あなた向け”の情報を提供することで、信頼を得ることができ、商談化の可能性が生まれます。
見込み顧客が知りたい内容が想定できない場合は、とりあえず以下のテーマで作成します。
- 〇〇円を〜〜に投じた場合の、コストシミュレーション
- 〇〇社向け 類似事例集
実際に、以下画像は弊社が「インサイドセールスが送付する資料」としてクライアントに作成した資料フォーマットです。
すべてのホワイトペーパーは顧客起点
ここまで以下3つのホワイトペーパーの使い方を紹介してきました。
- 1:オウンドメディア記事の各記事別に設置
- 2:”お役立ち”資料をメルマガ一斉送信
- 3:インサイドセールスが1to1で送付
これらに取り組む際は、反対に3→2→1の順をおすすめします。理由は「潜在顧客のニーズを捉えるのは難しい」からです。1や2は見えない多数の潜在層のニーズを想像しないといけない、のに対して、3は目の前の一人の顕在層のニーズを聞けば良いだけです。
1顧客向けに作成したホワイトペーパーを、他の同じような状況の見込み顧客に送付すれば、ニーズが満たせる可能性があります。
そうして、評価の高い / 成果につながったホワイトペーパーを、メルマガで送付したり、オウンドメディアのテーマが合致する記事に設置することができ、無駄のない施策実行を実現することができます。
本記事が、ホワイトペーパー施策で悩んでいたマーケティング担当の参考になれば幸いです。