オウンドメディア戦略の立て方。ターゲット別の戦術一覧付き | Coneのコンテンツ制作所

オウンドメディア戦略の立て方。ターゲット別の戦術一覧付き

代表 / マーケター / デザイナー 佐藤 立樹

オウンドメディアの記事を増やしているのに、問い合わせが増えない。そんな状態でお困りではないでしょうか。

原因の多くは、記事の本数ではなく戦略の設計にあります。戦略とは、世の中に山ほどある戦術の中から「自社が今やるべきもの」を選ぶための判断基準です。 これがないまま走ると、良さそうな施策を片っ端から試して、どれも中途半端に終わります。

本記事では、戦略が必要な理由から、戦略の立て方3ステップ・ターゲット別の戦術一覧・失敗する理由と対応策までを解説します。弊社Coneが運営する本メディアのSearch Consoleの実データも、そのまま公開しています。

読み終えたときには、自社が「どの層に張り、どの数値を追い、次にどの打ち手を選ぶか」が1枚の表に収まっている状態を目指します。

本メディアを運営する株式会社Coneでは、BtoB企業向けの記事作成代行サービス「c-blog」を提供しています。戦略設計〜記事制作にお困りの方はお気軽にご相談ください
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オウンドメディア運営に戦略が必要な理由

オウンドメディアの目的は、記事を増やすことではありません。 自社の見込み顧客に出会い、問い合わせや資料請求につなげることです。

そもそもオウンドメディアは、記事を置いておく場所ではありません。BtoBのオウンドメディアは、次の3つの役割を担っています。

役割内容
①集客検索・SNS・メルマガなどから、見込み顧客を継続的に呼び込む
②ナーチャリング課題を整理して解決の道筋を示し、「この会社は分かっている」という信頼を積む
③コンバージョン問い合わせ・資料ダウンロード・商談へと、次の一歩を促す

そして広告と違い、公開した記事は止めても消えません。 リスティング広告は出稿を止めた瞬間に流入がゼロに戻りますが、記事は資産として残り、1件あたりの獲得コストは時間とともに下がっていきます。

つまりオウンドメディアは、「どの役割を・誰に対して・どう担わせるか」を先に決めれば決めるほど、複利で効いてくる施策です。逆にそこを決めずに始めると、資産どころか負債になります。

具体的に何が起きるのかを、3つに分けて説明します。

  1. 戦略のないメディアは、成果が出る前に半年で止まる
  2. 狙う読者がずれると、アクセスが増えても事業は動かない
  3. 狙う層が変わると、必要な記事数の桁が変わる

①戦略のないメディアは、成果が出る前に半年で止まる

オウンドメディアは、成果が出るラインに到達する前に止まるのが常です。

全研本社の調査によると、オウンドメディアは開始から半年以内に約65.5%が更新を停止しています。内訳は1ヶ月以内が5.2%、3ヶ月以内が31.0%、半年以内が29.3%です。別の調査では、2年以内に約8割が更新を止めています。

一方で、成果が出るまでに必要な記事数はこれくらいです。

指標目安
立ち上げ初期の最低ライン30〜50本
検索1〜10位のサイトと11位以降のサイトの記事数差約3.4倍
出典:弊社Cone調べ(オウンドメディア記事の作成方法)

つまり、多くの企業は「30本」に届く前に更新を止めています。 サボっているからではありません。手応えがないまま更新だけが続くと、人は続けられないからです。

止まる原因は、次の4つに整理できます。

原因内容
①戦略設計の不足誰に何を届け、どうCVさせるかが曖昧なまま始める
②経営層の理解不足成果まで数ヶ月かかる施策を、短期のPVで評価されて投資が止まる
③ノウハウ・制作リソースの不足必要本数を作る体制がない、または成果の出る作り方を知らない
④データ・効果測定の不足何が効いているか分からず、改善の打ち手が決められない

この4つのうち、②③④はすべて①から派生します。追う数字が決まっていないから経営層を説得できず、作るべき本数が決まっていないからリソースを確保できず、目標がないから測定しても判断できません。 最上流にあるのが戦略設計です。

②狙う読者がずれると、アクセスが増えても事業は動かない

誰に向けて書くかが決まっていないと、検索ボリュームのある言葉を片っ端から記事にする状態になります。 その結果起きるのが、アクセスは増えるのに問い合わせは増えないという現象です。

弊社Coneが運営する本メディア「Coneのコンテンツ制作所」の実データを、そのまま出します。

直近約4か月(2026年5月1日〜8月20日/日本からの検索)で、クリック数上位40キーワードの内訳は以下のとおりです。

キーワードのタイプ該当キーワードの例クリック数月間CV数
パワポの操作方法を
調べるKW
「パワポ 行間」
「パワポ 画像を丸く切り抜く」
「パワーポイント 表 罫線」
7,3101
資料の中身・外注を
検討する層のKW
「営業資料」
「提案書 テンプレート」
5348
出典:弊社Cone運営「Coneのコンテンツ制作所」Google Search Consoleデータ(2026年5月1日〜8月20日/日本/クリック数上位40キーワード・合計20,482クリック)

「パワポ 行間」系のキーワードだけで2,007クリック、「画像を丸く切り抜く」系だけで1,188クリックあります。数字だけ見れば立派な集客です。

ただし、行間を詰めたい人は「自分で資料を作る人」であって、「資料作成を外注する人」ではありません。

弊社の資料作成代行サービスの見込み顧客が検索するのは、「営業資料」「提案書 テンプレート」といった、資料の中身そのものを考えている言葉のほうです。そちらは合計534クリックにとどまります。が、コンバージョンは8倍です。

アクセス数と見込み顧客の数は、別物です。

③狙う層が変わると、必要な記事数の桁が変わる

狙う層が変わると、必要な記事数と、そこにかかる期間・予算の桁が変わります。

BtoBの読者は、課題への近さで3つの層に分かれます。層が変われば、検索するキーワードの数が変わり、そのまま制作本数に跳ね返ります。

狙う層検索する言葉の例キーワード数
潜在層「パワポ 行間」「パワポ 画像を丸く切り抜く」数百
準顕在層「営業資料 作り方」「提案書 テンプレート」数十〜百
顕在層「資料作成 代行 比較」「資料作成 外注 費用」数十

「パワポ ○○」のような操作方法のキーワードは、機能の数だけ存在します。行間、罫線、箇条書き、透明度、目次と数えていけば、数百単位です。ここを全部拾いにいくなら、制作本数も数百本が前提になります。

月4本のペースで作るなら、50本で1年、300本なら6年以上かかります。狙う層を決めるという作業は、そのまま「何年かける施策なのか」を決める作業です。

ここを決めずに書き始めると、あとから軌道修正するために、すでに書いた記事を捨てることになります。

オウンドメディアの戦略の立て方3ステップ

トピッククラスター、メルマガ配信、CTA再配置、調査コンテンツなど、オウンドメディアの戦術は、世の中に山ほどあります。

問題は、どれも「やれば効果がありそう」に見えることです。だから片っ端から手を出して、どれも中途半端に終わります。

戦略とは、その山の中から「自社が今やるべき戦術」を選ぶための判断基準をつくる作業です。

そして判断基準の正体は、たった1つに集約できます。自社が、どの層の読者に張るかです。

前章で触れたとおり、BtoBの読者は課題への近さで3つの層に分かれます。

層読者の状態検索する言葉の例(資料作成サービスの場合)
潜在層課題に気づいていない。
目先の作業で困っている
「パワポ 行間」
「パワポ 画像を丸く切り抜く」
準顕在層課題は分かった。
解決策を探している
「営業資料 作り方」
「提案書 テンプレート」
顕在層発注先を比べている「資料作成 代行 比較」
「資料作成 外注 費用」

どの層に張るかが決まれば、目的も、追う数値も、会える場所も、読者にしてもらう行動も、すべて連動して決まります。 3ステップは、それを順に確定させていく作業です。

  1. 狙う層と目的を決める
  2. 目標数値を設定する
  3. 流入経路とゴールを決める

1:狙う層と目的を決める

ターゲットを「30代・情シス・男性」のような属性で切ってはいけません。 属性が同じでも、購買を左右する判断軸はバラバラだからです。

代わりに使うのが、先ほどの3層です。同じ人でも、時期によって層は動きます。 半年前は「パワポ 行間」を調べていた人が、いま「資料作成 代行 比較」を調べている。切るべきなのは属性ではなく、この位置です。

「認知拡大を狙うか、CV獲得を狙うか」を別で悩む必要はありません。張る層を決めた時点で、目的は定まります。

Point:最初は1層に絞る

3層すべてに同時に張ってはいけません。記事も予算も分散し、どの層でも中途半端になります。

どの層から張るかは、自社の状況で決めます。

自社の状況最初に張る層理由
今すぐ商談がほしい
メディアを立ち上げたばかり
顕在層対象キーワードが数十個。
競合も少なく、最短で成果が出る
1年かけて安定的にリードを増やしたい準顕在層母数が大きく、
資料ダウンロードで接点を取り続けられる
顕在層・準顕在層は取り切った
第一想起を取りたい
潜在層数百本の投資が必要。土台ができてから

原則は、顕在層 → 準顕在層 → 潜在層 の順に広げることです。

対象キーワードが少ない層は、競合も少なく順位が取りやすい層です。そこから土台を作って広げます。前章のとおり、多くのメディアは成果が出る前に止まります。最初に手応えが出る層から取りにいくのは、続けるための設計でもあります。

Point:自社の見込み顧客が、いまどの層にいるかを確認する

すでに記事があるなら、狙っている層と実際に集まっている層のズレを確認できます。手順は以下のとおりです。

  1. Google Search Consoleを開き、期間を直近3か月に設定する
  2. 「クエリ」タブをクリック数順に並べ、上位30〜50個をスプレッドシートに貼る
  3. 各キーワードの右の列に「潜在/準顕在/顕在」を手で振る
  4. 層ごとにクリック数を合計する

弊社がこれをやった結果が、前章の7,310対534です。狙っているつもりの層と、実際に集まっている層は、たいていズレています。

2:目標数値を設定する

ステップ1で張る層が決まったら、次はそれを数字に置き換えます。

「まずは月1万PV」のようにキリのいい数字を置いてはいけません。 その数字を達成しても、目的が達成されないからです。

ターゲットが決まれば、追う数値も自動的に決まります。

ここを間違えると、社内で最も揉めます。潜在層に張っているのにCV数で評価されると、当然ながら数字は出ません。「成果が出ていない」のではなく「まだ出る段階の数値ではない」だけなのに、施策ごと止められます。

ターゲットを決めたら、追う数値も一緒に社内で合意してください。

Point:事業ゴールから逆算する

追う数値が決まったら、事業ゴールから割り戻して目標値を出します。顕在層に張る場合の計算はこうなります。

手順計算例
1事業ゴール(月の商談数)を書き出す月10件の商談がほしい
2商談化率で割り戻して目標CV数を出す商談化率20% → CV50件
3CVR(記事→CV)で割り戻して目標アクセス数を出すCVR1% → 月間UU 5,000
41記事あたりの流入で割って必要記事数を出す1記事200セッション → 25〜50本

CVRの目安は1〜3%です。すでに記事があるならGoogle アナリティクスの実測値を、新規メディアなら上記の仮置きを使ってください。

潜在層に張る場合は、指名検索数で同じことをします。Ahrefsのキーワードエクスプローラーに競合3社の社名・サービス名を入力して月間検索ボリュームを控え(例:A社1,200/B社600/C社200)、Google Search Consoleの「クエリ」に自社名フィルタをかけて現在地を確認し、「1年後にB社を超える=月600」のように目標を置きます。

Point:メディアのフェーズによって、動く数値は変わる

もう1つ、押さえておくことがあります。目標数値を決めても、立ち上げ期にCV数を追うのは徒労に終わります。 母数がないからです。

自社が今どのフェーズにいるかを、次の3問で判定してください。

#質問Yesなら
Q1記事を30本以上公開し、週1本以上更新できているか立ち上げ期を突破
Q2月間5,000PV以上で、検索流入が安定しているかアクセス増加期にいる
Q3月5件以上のCVがあるかコンバージョン獲得期にいる

フェーズごとに、追うべきKPIと目安数値は以下のとおりです。

運用フェーズ追うべきKPI目安
立ち上げ期公開記事数/インデックス率インデックス率:公開記事数の70%
アクセス増加期検索流入数/PV数検索流入数:狙ったKWの検索ボリュームの50%
コンバージョン獲得期CV数/CTR/特定ページ遷移率CVR:PV数の0.5%

各フェーズの詳しい進め方は以下記事で解説しています。

関連記事:オウンドメディア運用の成功法則。成果につなげる3つの運用フェーズを解説

3:流入経路とゴールを決める

ステップ2で追う数値が決まったら、最後にその数字をどこから集めて、読者に何をしてもらうかを決めます。

ここでも、ゼロから考えることはほとんどありません。張る層が決まった時点で、会える場所はすでに決まっているからです。

ここで見落とされがちなのが、潜在層には検索だけでは届かないことです。

「潜在層に届けたいのでSEO記事を増やします」は、半分しか正しくありません。潜在層が検索するのは「パワポ 行間」のような目先の作業ワードだけで、そこから発注までの距離は非常に遠いからです。潜在層に届かせるには、自社のドメインで戦う経路だけでなく、他人の認知を借りる経路も必要になります。

戦い方経路立ち上がり
自社のドメインで戦う検索(SEO)遅い(半年〜1年)
他人の認知を借りる外部配信・SNS・共催コンテンツ・はてブ広告速い(公開当日から)

Point:層が決まれば、ゴールも決まる

続いて、読者に何をしてもらうかを決めます。

すべての記事にCVを置く必要はありません。 潜在層の記事末に「お問い合わせはこちら」を置いても押されませんし、押されないCTAは記事の信頼まで下げます。潜在層に置くべきは、また会うための接点です。

逆に、顕在層の記事に「お役立ち資料DL」しか置いていなければ、取れるはずの商談を逃します。ゴールは、読者が今いる層に合わせて置き分けてください。

ここまでで、記事の冒頭に挙げた3つの役割のうち、集客(会える場所)とコンバージョン(ゴール)が決まりました。 あいだのナーチャリングは、記事そのものが担います。

Point:戦略を1枚の表で整理する

3ステップで決めたことを並べると、こうなります。

自社が狙うターゲットの行だけを、左から右まで読んでください。その1行が、自社のオウンドメディア戦略です。

そして、この1列が決まると、選べる戦術は自動的に絞られます。UUを追っている会社が今やるべきことと、CV数を追っている会社が今やるべきことは、まったく違うからです。

Point:キーワード選定は戦略のうちの一部

SEOに取り組んでいる方は、ここまで読んで「で、キーワード選定はどこに入るのか」が気になっているはずです。

答えは図のとおりです。キーワード選定は、流入経路として「検索」を選んだときに、その層に届く言葉を決める作業にあたります。戦略の一部であって、戦略そのものではありません。

ここが逆になると、記事の前半で見た状態になります。キーワード選定から始めると、判断基準が検索ボリュームしかないからです。ボリュームの大きい順に拾っていけば、当然いちばん人数の多い潜在層のワードばかりが並びます。弊社メディアの「潜在層79.2%、顕在層0%」は、まさにこれが起きた結果です。

逆に、ターゲットを先に決めておけば、対策すべき言葉は自動的に絞られます。層ごとに、検索される言葉の性質が違うからです。

手順は3つです。

  1. ステップ1で決めたターゲットを1つ選ぶ
  2. その層が使いそうな言葉で、サジェスト・再検索キーワードを洗い出す(ラッコキーワードなど)
  3. 1語ずつ「この層の人が検索するか」で判定し、外れるものはリストから外す

3の判定基準は、検索ボリュームではありません。「ステップ1で決めた層の人が検索するか」だけです。 ボリュームは、残った言葉の中で優先順位をつけるときに使います。この順番を守るだけで、キーワードリストの中身がまるごと変わります。

キーワードの洗い出し方や管理シートへのまとめ方は以下記事で詳しく解説しています。

次章では、追う数値ごとに具体的な戦術を一覧で並べます。

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ターゲット別の戦術一覧

ここまでで、戦略の立て方はひととおり掴めたと思います。

ただ、実際に自分で立てようとすると、たいてい途中で止まります。概念の話が多いからです。「潜在層に張る」と決めたところで、明日から何をすればいいのかは、まだ分かりません。

そこで、狙うターゲットごとに「やればいいこと」を並べておきます。 困ったら、このリストから選んで手をつけてください。

前章で決めた「追う数値」と、そのまま対応しています。

自社が張るターゲットの見出しだけを読んでください。 3つ全部を上から順にやろうとすると、前章で説明した「片っ端から手を出して中途半端」に戻ります。

【1】アクセス数(UU):まず潜在層と出会う数を増やしたい

潜在層に覚えてもらうための第一歩が、まず出会う数を増やすことです。

前章のとおり、潜在層は解決策の言葉で検索していません。つまり検索面を取るだけでは、どこかで頭打ちになります。 だからこの目的では、広いキーワードで検索面を面で取ることと、検索以外のチャネルを押さえることを、両方やります。

【1-1】トピッククラスター

1本ずつバラバラに記事を書いても、アクセスは積み上がりません。 テーマごとに束ねて、内部リンクでつなぐ必要があります。

トピッククラスターとは、起点となる基礎記事(ピラー記事)を1本置き、そこから中級・応用の派生記事5〜10本を内部リンクで連結する構成のことです。

この形にすると、3つのことが同時に起きます。

起きること内容
①取れるキーワードが面になる1本では取れない周辺キーワードを、派生記事が拾う
②サイトの専門性が伝わる「このサイトはこのテーマに詳しい」とGoogleに評価される
③読者が回遊する1本読んで終わらず、次の記事へ進む

弊社の調査では、検索順位が上位のサイトは、同じジャンル・同じ規模の競合サイトに比べて記事数が平均3.4倍多いという結果が出ています。ただし、思いついた順に3.4倍書いても順位は上がりません。テーマを束ねて増やすから、面で取れるようになります。

やり方

  1. 自社が取りたいテーマを1つ決める(例:「オウンドメディア」)
  2. そのテーマで一番広いキーワードのピラー記事を1本書く(例:「オウンドメディア 戦略」)
  3. ラッコキーワードなどでサジェスト・再検索キーワードを洗い出し、派生記事を5〜10本リストアップする(例:「オウンドメディア KPI」「オウンドメディア 記事数」「オウンドメディア CTA」)
  4. 派生記事すべての本文中から、ピラー記事へリンクを張る
  5. ピラー記事の本文中から、各派生記事へリンクを張る
  6. 派生記事同士は、文脈がつながるものだけリンクする

6が意外と重要です。関係のない記事まで全部つなぐと、リンクの意味が薄まります。

なお、テーマによって必要な記事数はまったく違います。弊社の調査による業界別の目安は以下のとおりです。

ジャンル上位サイトの平均記事数
SEO関連約150記事
ライティング・文章関連約200記事
マーケティング・営業関連約350記事
パワーポイント・プレゼン関連約600記事
税務・会計関連1,000記事以上
出典:弊社Cone調べ(記事数はSEOに無関係?成果を出すための「量と質」の関係性)

注意点が1つあります。同じキーワードで2本書くと、共倒れになります(カニバリゼーション)。 派生記事をリストアップした時点で、キーワードの重複を潰しておいてください。

【1-2】メルマガ配信

検索は「見つけてもらう」経路です。対してメルマガは、こちらから届ける経路です。

この違いは大きく、検索順位に関係なく、配信した日にアクセスが立ちます。 記事を公開してから順位がつくまで半年かかる世界で、当日に数字が動く経路は貴重です。

しかも届く相手は、一度は自社と接点を持った見込み顧客です。記事を読んでもらうことが、そのまま「この会社まだあるな」という再認知になります。

ただし、効く条件があります。

ハウスリストの件数期待できること
数百件配信の手間に見合わない。まずリストを貯める段階
2,000件以上流入経路として機能し始める
10,000件以上メディアの主要な流入経路になる

リストがまだ数百件なら、先に取り組むべきはメルマガではありません。この章の後半にある「CV用コンテンツ設置」でお役立ち資料を作り、リストを貯めるほうが先です。

送る中身にも注意が必要です。新着記事のお知らせを並べるだけのメルマガは、すぐ開かれなくなります。営業に寄せられた質問や、セミナーで出た論点など、読者の業務に直接刺さるテーマを起点にしてください。 弊社では週2回配信しています。

配信頻度とネタの作り方は「第一想起を獲得するホワイトペーパー戦略」で詳しく解説しています。

【1-3】はてなブックマーク広告

これはブースト施策です。自社のハウスリストにもいない、自社が順位を取れている検索面にもいない人に、記事をそのまま見せる広告になります。

はてなブックマークのカテゴリ面などに自社記事を出稿でき、Web・IT・マーケティング系の情報感度が高い層に届きます。ブックマークが集まれば、そこから自然に拡散が広がることもあります。

効くのは、検索順位もリストもまだない立ち上げ期です。前章で触れたとおり、検索は順位がつくまで数字がほぼゼロのまま推移します。その期間に「まったく読まれていないわけではない」状態を作れるかどうかは、施策を続けられるかどうかに直結します。

注意点は2つあります。

1つ目は、出稿を止めればアクセスも止まること。 あくまでブーストであって、資産にはなりません。

2つ目は、出す記事を選ぶこと。 全記事に均等に出しても意味がありません。この層に届くのは、保存して使いたくなる記事です。テンプレート・チェックリスト・調査データなど、中身が強い記事を1〜3本に絞って出稿してください。

はてなブックマークネイティブ広告:https://www.hatena.ne.jp/contentmarketing/nativeads

【2】指名検索数:潜在層に自社・サービス名を覚えてもらいたい

出会えたら、次は名前を覚えてもらう段階です。

指名検索数とは、「〇〇株式会社」「〇〇(サービス名)」のように、自社名やサービス名で検索された数を指します。ここが増えると、広告費をかけずに、すでに自社を選ぶつもりの人が入ってくるようになります。第一想起を取る、というのはこの状態です。

ポイントは1つ。記事を読んでもらうだけでは、名前は残らないということです。「いい記事だったな」で終わり、どの会社の記事だったかは覚えられていません。だからこの5つは、すべて読者の記憶にサービス名を置いてくるための戦術です。

【2-2】H2・H3へのブランド名記載

見出しに自社名・サービス名を入れる、というだけの施策です。ただし効きます。

理由は単純で、読者は本文を全部読まないからです。目次を見て、見出しを拾い読みして、必要なところだけ読む。つまり記憶に残るのは、見出しに書いてある言葉です。

見出しが一般名詞だけで構成されていると、読者の頭には記事の内容だけが残り、書いた会社の名前は残りません。逆に見出しに社名が入っていると、「この情報は誰が言っているのか」がセットで記憶されます。

具体的には、こう変えます。

BeforeAfter
オウンドメディアの成功事例3選【c-blog支援事例】オウンドメディアの成功事例
上位表示する記事の条件c-blogが1,000記事を分析して見つけた、上位表示する記事の条件
CTAの配置パターンc-blogが実際に使っているCTAの配置パターン

新しく書く記事だけでなく、すでに公開している記事の見出しも直せます。 事例記事や調査記事など、自社の一次情報を扱っている記事から着手してください。

本記事でも、後に出てくる事例のセクションには、c-blogと自社サービス名を入れています。

注意点は、入れすぎないことです。1記事につき1〜2箇所が上限だと考えてください。すべての見出しに社名が入っていると宣伝記事に見えて、そもそも読まれなくなります。

また、一般論を解説しているノウハウ記事の見出しに社名を入れても不自然です。「自社しか言えないこと」を扱っている見出しにだけ入れるのが原則になります。

【2-2】比較記事の作成

ノウハウ記事だけを書き続けても、指名検索は増えません。比較記事を書く必要があります。

この2つは、読者の目的がまったく違うからです。

記事タイプ読者が読む理由読み終わったあと
ノウハウ記事内製でできるようになりたい自分でやってみる
比較記事(〇〇選)外注や導入で解決したいサービスを検索する

ノウハウ記事の読者は、できるようになって帰っていきます。 それ自体は悪いことではありませんが、社名は残りません。

一方、比較記事の読者は、最初からサービス名を探して読みに来ています。サービス名を覚えて帰ることが、読者にとっての目的です。だからここに自社が載っていれば、そのまま指名検索の入口になります。

弊社は、この特性の違いを踏まえて、比較記事だけを扱うメディア「slide lib」を本メディアとは別に運営しています。 ノウハウを扱うメディアと、比較を扱うメディアを分けているのは、読者の目的が違うからです。

書くときの注意点は1つ。自社を1位に置いた「比較記事」は、読者にすぐ見抜かれます。 タイプ別に分類したうえで、自社が向いているケースと向いていないケースを正直に書いてください。そのほうが、結果的にサービス名が信頼とセットで記憶されます。

記事タイプごとの役割については「BtoB記事作成完全ガイド」で詳しく解説しています。

【2-3】調査コンテンツ制作×リリース

本記事では、宣伝会議の「オウンドメディア活用に関する調査2024」と、全研本社の調査データを引用しました。

引用する側ではなく、引用される側になる。 これが調査コンテンツの狙いです。

引用されるたびに、社名が世に出ます。しかも「データを持っている会社」という文脈で出ます。ノウハウ記事が10本読まれるより、調査データが1回引用されるほうが、名前は強く残ります。

やり方

  1. 業界の「みんな気になっているが、誰もデータを持っていない」ことを5〜10問の質問にする
  2. フォームを作り、自社リスト・SNS・調査パネルから100件前後の回答を集める
  3. 結果をグラフ3〜5枚にまとめる
  4. PR TIMESなどでプレスリリースとして配信する
  5. 同じデータで、記事を1本とホワイトペーパーを1本つくる

ポイントは2つあります。

1つ目は、n数は100件前後でも成立すること。 大規模調査である必要はありません。「誰も出していないデータ」であることのほうが、はるかに重要です。

2つ目は、1回の調査を3つに使うこと。 リリース・記事・ホワイトペーパーの3つに展開すれば、外部配信・検索・CV獲得の3経路に同時に効きます。調査は手間がかかるので、必ず使い切ってください。

弊社でも、自社調査をPR TIMESで配信しています。

【2-4】有名企業とのコラボコンテンツ制作

業界で名の通った企業や個人に取材し、インタビュー記事として自社メディアに掲載する施策です。

指名検索に効く理由は4つあります。

理由内容
①自社を知らない人が読む読者は相手の名前をフックに読みに来る
②記事の中で自社名が繰り返し出る「〇〇社に取材している会社」として記憶される
③公開時に相手側からも拡散される検索順位を待たずに届く
④並んだ相手ごと記憶されるノウハウ記事より、記憶への残り方が強い

前章で触れた「他人の認知を借りる経路」の、最も分かりやすい形がこれです。

やり方

  1. 自社の既存顧客の中から、業界で名の通った企業を3社リストアップする(すでに接点があるので、依頼が通りやすい)
  2. 相手にとってのメリットを先に用意する(採用広報に使える/相手のサービス訴求になる、など)
  3. インタビュー記事として公開し、相手の広報担当にシェアを依頼する

1が最大のコツです。いきなり面識のない有名企業に取材依頼をしても、まず通りません。 すでに取引のある企業から始めてください。

なお、これは導入事例記事とは別物です。導入事例記事は顕在層向けのCV用コンテンツで、この章の後半で扱います。コラボコンテンツは、あくまで認知と記憶のための施策です。

弊社Coneでは、国産SFAのマツリカさんとのコラボコンテンツを制作しています。

【2-5】SNS用コンテンツの作成・拡散

SNSで拡散されるのは、読んで終わるものではなく、保存して使うものです。

そして、保存して使われるものには大きな特典があります。使うたびに、作った会社の名前を見ることになるという点です。記事は一度読んで終わりますが、テンプレートは何度も開かれます。

弊社の例で言えば、パワーポイントのテンプレート(営業資料テンプレート・ホワイトペーパーテンプレートなど)を無料公開しています。テンプレートには弊社サービスの名前が入っているので、記事を1本作るたびに目に入ります。指名検索が増えたのは、この配布を始めてからです。

作るものは、難しく考えなくて構いません。

形式例
図解1枚手順やフレームを1枚にまとめたもの
テンプレートスプレッドシート・ドキュメントのひな形
チェックリストそのまま実務で使える確認項目

やり方

  1. 既存記事の中から、一番「使える」部分(表・手順・チェックリスト)を1つ選ぶ
  2. それを1枚の画像か、コピー可能なスプレッドシートに切り出す
  3. 記事の中で無料配布する
  4. SNSに、その1枚を画像として投稿する

自社のSNSアカウントにフォロワーがいなくても成立します。 保存性の高いものは、他人が拡散してくれるからです。

【3】コンバージョン:リード獲得・商談がほしい

準顕在層・顕在層から、接点と商談を取る段階です。

ここで最も大事なのは、着手する順番です。

必ず上から順にやってください。 どこで落ちているか分からないまま記事を書き足しても、当たりません。

そもそも、記事のCVRは記事タイプによって桁が違います。自社の数字が良いのか悪いのかを判断するために、まず目安を持っておいてください。

記事タイプCVR目安
コラム型0.1〜0.5%
企画型0.1〜0.7%
まとめ型0.3〜1.0%
お役立ち解説型0.5〜1.5%
事例紹介型2.0〜4.0%
記事LP型3.0〜7.0%
業界CVR目安
BtoB SaaS2.0〜3.5%
コンサル・代行1.5〜2.5%
製造業0.8〜1.5%
採用・求人2.0〜3.0%
出典:弊社Cone調べ(オウンドメディアのコンバージョンを改善する4ステップ)

コラム型のCVRが0.1〜0.5%なのに対し、記事LP型は3.0〜7.0%です。 10倍以上の差があります。「CVが増えない」の原因が、記事の本数ではなく記事タイプにあるケースは非常に多いです。

【3-1】CV数値管理

最初にやるべきは、測ることです。

読者がCVに至らない理由は、大きく3つに分かれます。

どこで落ちているか打ち手
そもそもPVが少ない記事を増やす・順位を上げる
PVはあるがCTAが押されていないCTAの位置と文言を直す
CTAは押されているがフォームで落ちているフォームを直す

この3つは、打ち手がまったく違います。 どれなのかを知らないまま記事を書き足すのは、ほぼ確実に無駄になります。

やり方

  1. スプレッドシートに「記事URL/狙ったキーワード/月間PV/CTAクリック数/CV数」の列を作る
  2. PVはGA4から取得する
  3. CTAクリック率はGA4の「探索 > 経路データ探索」で、記事からリンク先への遷移を追う
  4. 月に1回、数字を更新する
  5. 「PVは高いのにCVがゼロ」の記事に印をつける

5が目的です。ここに印がついた記事が、次の「CTA再配置」の対象になります。

CTAクリック率の目安は1〜5%前後です。ここを下回っているなら、記事を増やすより先にCTAを直してください。

計測の詳しい手順は「オウンドメディアのKPI設定ガイド」で解説しています。また、CV管理シートのテンプレートは以下記事にて配布しています。

【3-2】CTA再配置

記事を1本も書かずにCVが増える、唯一の施策です。 数値管理で印をつけた記事から着手してください。

まず、置く場所です。最低でも次の3箇所には必要です。

配置場所なぜそこか
リード文の下(目次の上)読者が「読む価値がある」と判断した直後。クリック数が平均1.3〜1.5倍に伸びる
2つ目のH2の直前スクロール率が落ちる、離脱の直前
本文の末尾最後まで読んだ=関心が最も高い。CVRが最も高い位置

次に、文言です。「お問い合わせはこちら」は、何が起きるか分からないので押されません。 得られるものを具体的に書き換えてください。

目的文言例
資料ダウンロード「業界最新レポートを今すぐ入手」
相談・問い合わせ「導入相談を無料で申し込む」
無料トライアル「30日間無料で試す」
ウェビナー登録「無料ウェビナーに参加する」
事例確認「導入事例を詳しく見る」

そして、位置よりも文言のほうが効きます。

調査では、読者がCTAをクリックした理由の47.6%が「興味のあるテーマや課題に合致していた」でした。また、商談化率31%以上を達成している企業のうち57.2%が「文言・コピーの変更」を実施しているのに対し、「位置変更」の実施率は26.9%にとどまります。

つまり、記事の文脈とCTAの文言が合っているかどうかが勝負どころです。ノウハウ記事の末尾に「無料デモを申し込む」と置いても、読者の頭の中とつながりません。

配置パターンと文言テンプレートの全体像は以下記事にて解説しています。

【3-3】CV用コンテンツ設置

CTAを直しても、押した先に受け皿がなければCVは発生しません。

受け皿は、大きく3種類です。

受け皿誰向け中身
お役立ち資料(ホワイトペーパー)準顕在層テンプレート・チェックリスト・調査データ
サービス紹介資料顕在層自社サービスの内容・料金・支援範囲
CV用記事(記事LP)顕在層サービスを説明する記事。比較記事や事例記事からリンクを集める

ここで、どちらを置くかを層で決める理由がはっきり分かる数字があります。

リードの種類直接コンタクトにつながる率
ホワイトペーパー経由のリード0.2%
サービス紹介資料経由のリード35%
出典:弊社Cone調べ(第一想起を獲得するホワイトペーパー戦略)

約175倍の差です。

だからといって、すべての記事にサービス紹介資料を置けばいいわけではありません。準顕在層の記事にサービス紹介資料を置いても、押されないから0件で終わります。 逆に、顕在層の記事にお役立ち資料しか置いていなければ、35%の人を取り逃していることになります。

前章で「ゴールは読者が今いる層に合わせて置き分けてください」と書きました。その根拠が、この数字です。

もう1つ。受け皿づくりは、記事を増やすより費用対効果が高いという点も押さえておいてください。コラム型のCVRが0.1〜0.5%、記事LP型が3.0〜7.0%であることを考えると、CV用記事を1本作るほうが、コラムを10本書くより効きます。

ホワイトペーパーの型については以下記事にて実例資料の全ページと配信結果まで公開しています。

【3-4】CV用リライト

ここまでの3つを終えてから着手してください。測っていない・CTAが整っていない・受け皿がない状態でリライトしても、労力の割に何も変わりません。

まず、対象記事の選び方です。次のいずれかに当てはまる記事から選びます。

  • 公開から半年以上経っていて、一度も更新していない
  • 検索順位が10〜30位で、内容は競合と互角以上
  • アクセスはあるのに、CVが出ていない

次に、症状ごとの直し方です。

症状直すところ
順位は高いのにクリックされないタイトル・ディスクリプション
アクセスはあるのにCVがないCTAの位置と文言、CV用コンテンツへの導線
途中で離脱される重要な情報を記事の上部に移動する
11〜20位で止まっている網羅性の強化・見出し構成の見直し
大手サイトに勝てない一次情報・自社データの追加
検索結果に出てこない内部リンクを増やしてクロール経路を確保する
以前は上位だったが落ちた古い情報を最新にアップデートする

弊社の実績では、公開済み記事30本以上・DR20以上・月1,000PV以上という条件を満たすメディアで、リライトによって1記事あたりの流入が2倍以上に改善したケースがあります。

逆に言えば、記事が30本に満たない段階でリライトを始めるのは早すぎます。 その段階では、新規記事を書いて母数を作るほうが効きます。

ケース別の具体的な手順は以下記事にて、7ケースに分けて解説しています。

戦術は、追う数値さえ決まっていれば、1つずつ潰していけます。

逆に、追う数値が決まっていない状態でこのリストを上から全部やろうとすると、記事の冒頭で書いた「良さそうな施策を片っ端から試して、どれも中途半端に終わる」に戻ります。

必ず、自社が追う数値の見出しの中だけを、上から順にやってください。

\戦略設計から記事制作まで伴走する「c-blog」のサービス資料をダウンロード/

c-blogで支援したオウンドメディア戦略設計の成功事例

ここまでの3ステップを実際にやると、何が変わるのか。

弊社Coneの記事作成代行「c-blog」で支援した企業の中から、戦略設計のどこを変えて成果が出たのかがはっきりしている3社を紹介します。3社はそれぞれ、本記事のステップ1・2・3に対応しています。

企業対応するステップ戦略設計で変えたこと成果
RECERO株式会社ステップ1:
狙う層を決める
領域を1つに絞り、
取れるキーワードから順位を積み上げた
2位・5位など複数の1ページ目
/直近2ヶ月で複数案件を受注
CLINKS株式会社ステップ2:
目標数値を設定する
立ち上げ期に追う数値を
「順位と流入」に置いた
約半年で2万トラフィック
/納品記事の7割以上が1ページ目
株式会社Sales Markerステップ3:
ゴールを決める
記事のゴール(CVポイント)
を置き直した
トラフィック5倍
/コンバージョン月間10件以上

3社に共通しているのは、記事の本数を増やす前に、狙う層・追う数値・ゴールのどれかを決め直していることです。

RECERO株式会社|領域を1つに絞り、取れるキーワードから積み上げた

項目内容
事業インサイドセールス支援サービス「セルメイト」の提供(BtoB/SaaS領域)
もともとの状態広告や展示会で短期的なリードは取れていたが、中長期的な資産になっていなかった。
社内にSEO・コンテンツマーケの知見とリソースが不足
戦略設計で
決めたこと
インサイドセールス領域に特化し、「取れるキーワードで確実に上位を取る」フェーズ
から着実に順位を積み上げる設計にした
成果インサイドセールス系キーワードで2位・5位など複数の1ページ目を獲得
公開後1〜2ヶ月で順位が付与/直近2ヶ月で複数案件の受注、
お問い合わせフォーム経由の受注も複数件

この事例のいちばんの特徴は、最初から広いキーワードを狙っていないことです。

「インサイドセールス」という領域に絞り、その中でも取れるキーワードから順に上位を取っていく。ステップ1で「原則は、顕在層 → 準顕在層 → 潜在層 の順に広げること」と書きましたが、それをそのまま実行した形になります。

結果として、公開後1〜2ヶ月で順位がつくようになりました。前半で見たとおり、多くのメディアは半年以内に更新を止めます。早い段階で手応えが出る設計にできるかどうかは、続けられるかどうかに直結します。

CLINKS株式会社|立ち上げ期に追う数値を「順位と流入」に置いた

項目内容
事業アプリ・Webシステム開発、企業DX支援。
法人向け生成AIチャットサービス「ナレフルチャット」を提供(1,000名以上規模)
もともとの状態SEOにほぼ未着手。
「社内にSEOの知見がなく、どこから手をつければいいのかわからない状況」だった
戦略設計で
決めたこと
メディア立ち上げ初期から、毎月のSEO記事とホワイトペーパーを継続。
あわせてプレスリリース施策・内部リンク対策も実施
成果約半年で2万トラフィック/納品記事の7割以上が1ページ目に表示

注目していただきたいのは、「7割以上が1ページ目」という成果の置き方です。

ステップ2で、立ち上げ期に追うべきKPIは公開記事数とインデックス率で、CV数を追うのは徒労に終わると書きました。母数がないからです。この事例も同じで、立ち上げから半年の時点で見ているのは順位と流入です。

そのうえで、この事例にはもう2つ、本記事で扱った要素が入っています。

施策本記事のどこに対応するか
プレスリリース施策戦術「調査コンテンツ制作×リリース」。検索以外の経路を、順位がつく前から回している
内部リンク対策戦術「トピッククラスター」。記事を面で束ねて、検索面を取りにいっている

SEOに未着手の状態から半年で2万トラフィックに届いているのは、検索だけに全部を乗せていないからでもあります。

株式会社Sales Marker|記事のゴールを置き直して、トラフィックが5倍に

項目内容
事業営業支援ツールの提供
もともとの状態オウンドメディアからのリード獲得チャネルが確立できておらず、
既存のコンテンツでも成果が出ていなかった
戦略設計で
決めたこと
コンバージョンポイントを設置してゴールを置き直し、あわせてSEO対策を実施。
社内の知見を記事に反映した
成果トラフィック5倍/コンバージョン月間10件以上

この事例で最も重要なのは、記事がなかったわけではないという点です。コンテンツはすでにありました。それでも成果が出ていませんでした。

記事の冒頭で書いた「アクセスは増えるのに、問い合わせは増えない」が、まさにこの状態です。

原因は、記事のゴールが置かれていなかったこと。読者は来ていたのに、その先で何をしてもらうかが決まっていませんでした。ステップ3で説明した「層に合わせてゴールを置き分ける」が抜けている状態です。

そこでコンバージョンポイントを設置し、あわせて集客側も整えました。結果として、トラフィックが5倍、コンバージョンが月間10件以上になっています。

\他の事例も資料には掲載しています!資料ダウンロード↓/

戦略を立てても失敗する理由と対応策

ここまでの手順どおりに戦略を立てても、うまくいかないことがあります。

理由は3つに絞れます。リソースと体制・数値管理・コンテンツの質です。この3つは戦略の外側で起きる問題なので、戦略を何度立て直しても解決しません。

失敗の理由症状対応策
①リソースと体制担当者1人に集中し、
異動・退職で止まる
3つの役割に分け、戦略は内製・作業は外注する
②数値管理PVと記事数だけを見ていて、
受注につながっているか分からない
KGIから逆算した中間指標を置き、記事単位で数字を持つ
③コンテンツの質記事は増えているのに、
順位が上がらない
原稿ではなく構成の段階でチェックする

1:リソースと体制

最も多い失敗が、担当者1人にすべてが集中することです。

キーワード選定・構成・執筆・公開・分析まで1人でやっている状態は、その人が異動または退職した瞬間に止まります。記事の前半で見た「半年以内に65.5%が更新を止める」の、かなりの部分がこれです。

弊社の調査では、成果が出ているメディアは最低4人以上で運営されています。 ただし、4人を新しく採用しろという話ではありません。必要なのは、次の3つの役割が埋まっていることです。

役割担当すること誰がやるか
コンテンツディレクターキーワード選定・CV設計・構成承認・ROI管理事業を理解している社内の人
コンテンツライター構成に沿った執筆・図表作成・情報収集社内でも外注でも可
ナレッジホルダー営業・開発・CSが持つ一次情報の提供社内(インタビューで引き出す)

対応策は、戦略は内製、作業は外注に分けることです。

弊社の調査では、成果が出ている企業の約6割が、一部業務を外注しています。 そして完全内製の企業よりも、部分外注の企業のほうが成果実績は高くなっています。

分け方は明確です。

内製すべき外注してよい
戦略設計(キーワード選定・CV設計)記事の執筆
構成作成リライト
ノウハウの蓄積実行作業

いちばん危険なのは、ディレクターが執筆に時間を取られている状態です。 戦略を考える人が手を動かし始めると、考える時間がなくなり、記事だけが増えていきます。

外注先を選ぶときのコツを1つ。その代行会社自身のメディアが、自然検索からの流入で成果を出しているかを確認してください。 提案資料ではなく、実際に運用しているメディアの数字を見るのがいちばん確実です。

体制の作り方は「SEO内製化(インハウスSEO)とは?」、外注先の選び方は「記事作成代行サービス15選比較」で詳しく解説しています。

2:数値管理

2つ目の失敗は、PVと記事数だけを見ていることです。

「今月は5本公開して、PVは前月比120%でした」。この報告からは、事業にとって良かったのか悪かったのかが分かりません。受注やリードとの紐付けが弱いままだと、経営層から見て、投資を続ける理由がなくなります。

記事の前半で挙げた「継続できない4つの原因」のうち、経営層の理解不足は、ほとんどがここから発生します。理解がないのではなく、判断できる材料が渡されていないだけです。

対応策は2つあります。

1つ目は、KGIから逆算した中間指標を報告すること。 ステップ2で説明した逆算をやっていれば、「月間UU 5,000 → CV50件 → 商談10件」という道筋がすでに引けています。報告するのはPVではなく、この道筋のどこまで進んだかです。

2つ目は、記事単位で数字を持つこと。 メディア全体のPVだけを見ていると、改善対象が特定できません。前章の「CV数値管理」のとおり、記事URLごとにPV・CTAクリック数・CV数を並べて、月に1回更新してください。

そのうえで、振り返りの場を先にカレンダーへ入れておきます。

いつ見るもの決めること
週次公開記事数・制作の進捗遅れをどう戻すか
月次記事別のPV・CTAクリック率・CV数今月リライトする記事はどれか
四半期KGIに対する進捗狙う層や目標数値を変えるかどうか

この会議がカレンダーに入っていないメディアは、ほぼ確実に改善が止まります。 数字を見る時間は、意識では確保できません。

3:コンテンツの質

3つ目は、記事は増えているのに順位が上がらないケースです。

当たり前の話に聞こえますが、質が落ちる原因は「頑張っていないこと」ではありません。構成の段階でチェックしていないことです。

原稿を書き上げてから直そうとすると、構成からやり直しになります。書き手にとっては全書き直しなので、たいていは細部の修正だけで公開されてしまいます。質は、原稿ではなく構成で決まります。

弊社では、構成の段階で次の5つを確認しています。

チェック項目見るポイント
1適切な順序になっているか読者が段階的に理解できる並びか。前提を飛ばしていないか
2過不足がないか読者のゴールに関係ない情報が入っていないか
3各見出しのゴールが1つか「作り方と使い方」のように2つ混ざっていないか
4オリジナル情報が入っているか自社調査・事例・テンプレートが1つ以上あるか
5詳細説明が書けるか各見出しで何を書くかを1〜2文で説明できるか

このうち、順位を分けるのは4番です。

競合と同じ情報しか書いていない記事は、後から出しても勝てません。逆に言えば、競合が書けない情報を1つ入れるだけで、順位は動きます。 自社の調査データ、支援した事例、実際に使っているテンプレート。どれか1つで構いません。

そして、ここでよくある失敗が2つあります。

失敗何が起きるか
読者ニーズを満たすことに精一杯になる上位表示はするが、自社の売上・集客の課題が改善されない
コンバージョン獲得に寄せすぎる読者ニーズに応えられず、そもそも上位表示されない

どちらかに寄ると、必ずもう一方が崩れます。

避け方は、構成を2段階で作ることです。まず読者目線でひととおり組み立てて、そのあとに自社目線でCV導線を足す。 最初から両方を満たそうとすると、たいてい売り込み色の強い構成になります。

構成の作り方は「SEO記事構成の作り方12ステップ完全版」、書き方は「SEO記事の書き方5法則」にまとめています。

さいごに

オウンドメディアの戦略は、突き詰めると1つのことを決める作業です。

自社が、どの層の読者に張るか。

ここが決まれば、目的も、追う数値も、会える場所も、読者にしてもらう行動も、選ぶべき戦術も、連動して決まります。逆にここが決まっていないと、どれだけ良い戦術を並べても選べません。

読み終えたあと、最初にやること

やることを1つだけ挙げるなら、自社が今どの層を集めているかを確認することです。ステップ1で説明した手順を、もう一度置いておきます。

  1. Google Search Consoleを開き、期間を直近3か月に設定する
  2. 「クエリ」タブをクリック数順に並べ、上位30〜50個をスプレッドシートに貼る
  3. 各キーワードの右の列に「潜在/準顕在/顕在」を手で振る
  4. 層ごとにクリック数を合計する

30分あれば終わります。 そして、狙っているつもりの層と、実際に集まっている層のズレが見えます。

弊社がこれをやったときは、上位40キーワードのうち7,310クリックが潜在層で、見込み顧客に近い層は534クリックしかありませんでした。

このズレが分かってはじめて、記事を増やすべきなのか、ゴールを置き直すべきなのか、そもそも狙う層を変えるべきなのかが判断できます。打ち手を選べない状態から、選べる状態に変わります。

完璧な戦略より、続く戦略を

最後に1つだけ。

前半で見たとおり、オウンドメディアは半年以内に約65.5%が更新を止めます。戦略が間違っていたから止まるのではありません。手応えが出る前に力尽きるから止まります。

だから、最初に張る層は「取りやすいところ」から選んでください。RECERO株式会社の事例のように、領域を1つに絞って取れるキーワードから積み上げれば、公開から1〜2ヶ月で順位がつきます。早く数字が動く設計にすること自体が、いちばんの継続策です。

3ステップを1周して1枚の表が埋まったら、あとは戦術一覧から、自社が追う数値に合うものを選ぶだけです。

c-blogは、オウンドメディアの戦略設計から記事制作まで

本メディアを運営する株式会社Coneでは、BtoB企業向けの記事作成代行サービス「c-blog」を提供しています。

記事を書くだけの代行ではありません。 本記事で解説した3ステップ「①狙う層の決定、②目標数値の設計、③流入経路とゴールの設計」から伴走します。

こんな状態の企業に使われています

  • 記事は増えているのに、問い合わせが増えない
  • 何本書けばいいのか、いつ成果が出るのかが分からない
  • 社内にSEOの知見がなく、どこから手をつければいいか分からない
  • 戦略を考えるべき人が、執筆に時間を取られている

本記事で「代行会社を選ぶときは、その会社自身のメディアが自然検索で成果を出しているかを確認してください」と書きました。

弊社の数字は、この記事のとおりです。うまくいっている部分だけでなく、狙う層とズレたキーワードで集客してしまっている部分まで含めて公開しています。 ご自身の目で確かめたうえで判断してください。

\戦略設計から記事制作まで伴走する「c-blog」のサービス資料をダウンロード/

代表 / マーケター / デザイナー

佐藤 立樹

立命館大学在学中に、ベンチャー2社でインターンを経験し、卒業と同時に株式会社Coneを設立。資料作成代行サービス「c-slide」を運営。リリース後1年半で支援企業300社を突破。セールス/マーケ領域の資料が得意。

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