見込み顧客内で検討がスタートしてからがコンテンツの本領。DealPodsのコンテンツセールス | Cone-os ナレッジ

見込み顧客内で検討がスタートしてからがコンテンツの本領。DealPodsのコンテンツセールス

代表 / マーケター / デザイナー 佐藤 立樹

誰でも直感的に使いこなせるSFA「Mazrica Sales」を提供する株式会社マツリカ。セールステックの国内先導者である同社のもうひとつのプロダクトが国内初デジタルセールスルーム領域のプラットフォーム「DealPods」です。

デジタルセールスルーム(DSR)とは、営業(売り手)と購買者(買い手)が商談情報や営業コンテンツを共有し、効率的な営業・購買活動を行うことを目的としたオンラインスペースのこと。

コンテンツによる営業活動を行うクラウドサービスを提供する同社において、営業コンテンツはどのようなものをつくるべきか・活用できるのか?という疑問を、DealPods事業責任者の中谷さんに伺いました。

正解が見えづらい営業現場の意外な事実をお話しいただいたので、営業資料はこれでいいのか?商談はどのように進めればいいのか?と悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。

本記事は、コンテンツを効果的に営業活動に活用している企業へのインタビュー企画「コンテンツセールス特集」です。自社でこんな使い方をしているよ!という方はぜひ佐藤(@rk310117)まで!

中谷 真史さん
株式会社マツリカ DealPods事業 / プロダクト責任者
コンサルティングファーム2社にて営業戦略/営業改革/セールスイネーブルメント系プロジェクトを中心に経験。2018年にマツリカへ参画し、以後カスタマーサクセスマネジメント部門統括、セールスマネージャー、マーケティング&セールス統括、事業戦略・開発室立ち上げを経験。日本初のデジタルセールスルーム「DealPods」を構想し、社内起業。事業責任者・プロダクト責任者を務める。
著書:SalesTec大全 攻めの営業DXを実現する最先端テクノロジー(プレジデント社)

ひとつの営業資料を「小分け」に

  • DealPodsはWebページ上で営業活動を進行していくツールだと思うのですが、商談においてパワーポイントを投影するのとはなにが違うのでしょうか。

以前はひとつの営業資料がパワーポイント100ページ程度あって、その中から1ページ目と5ページ目と13ページ目と80ページ目を使います、というような方法で営業活動をしていました。自分一人が営業活動をする場合はそれでも良いのですが、そこにルールはなく個人の感覚に依存するので、組織として同じ成果を上げられる商談はそれでは作れない。

なので、DealPodsでは営業資料をテーマごとに15〜20ページ以内に小分けして表示できるようにしていて。どこにどのコンテンツがあるかが瞬時にわかるので、顧客に応じて最適なコンテンツにすぐにアクセスできるようになっています。

小分けにするテーマは例えば、会社概要・メンバー紹介、プロダクトの紹介、よく聞かれるセキュリティについて、とかですね。顧客課題や商談のトーンに応じて、トーク内容を変えるだけでなく、コンテンツを出し分けながら話すことで、商談の進め方の標準化ができるようになっています。

  • たしかに、探す手間を省きながら商談の進め方がわかりやすくなりそうです。

資料を小分けにするもう一つのメリットとしてはディスカッションの時間が取れることです。パワーポイントだと、ずっと資料を投影しながらスライドをめくりながら一続きの進行になりますよね。

たとえばそれを、会社紹介とプロダクト概要と事例と金額、4つに小分けしていたとすると、1回1回話を終わらせえてディスカッションの時間を取れるんですよね。意図的に話の連続性を無くすことによって、資料が主になってしまわずに会話が主になる

商談でサービス説明をだらだらしてしまうケースは少なくないと思いますが、資料を小分けにすることで顧客課題のためのディスカッションの時間を明確に取れるというところがメリットとしては大きいかなと思っています。

  • たしかに、僕たちも営業資料改善を支援していて、資料のうち数スライドは顧客と一緒に埋めていくスライドを提案しています。それと似たような考え方だなと感じました。

送付した資料はほどんど見られない

  • DealPodsを活用すれば、商談後に送付した資料をトラッキングできると思うのですが、どんな資料がよく閲覧されているのでしょうか。

DealPodsでは、商談実施後にひとつのWebページに資料をまとめて送付することができますが、例えば50ページの資料を送るようなユーザーではほとんど最後まで読まれません。

我々の場合、初回面談からの案件化率は40%程度ですが、資料の閲覧率が40%を大きく上回ることはありません。そして、送付された資料を見ていなくてもネクストステップに繋がる可能性が少なくありません。

ただ、送られた資料を全く見ていなくて、うんともすんとも言わない「一旦検討します」みたいな方はほとんど次のステップに進まないですし、一方で資料を見たからと言ってなにか話が進むというわけでもありません。

ただ、DealPodsでは「だれがアクセスしたのか」がわかる機能があって、見込み顧客の社内に展開されたことがわかるので、その段階で次のステップに進む可能性があるな、というそれくらいのイメージですね。

  • では、結局商談の質が重要ということでしょうか。

初回商談においてはそうですね。先ほどの営業資料を小分けにしてわかりやすくする、のような工夫だったり、社内の営業担当のスキルアップみたいなところが重要になってきます。

  • 「初回商談においては」ということは、二次提案に進むと商談の質以外のなにかが重要になってくるのでしょうか。

我々のクライアントさん全員が口を揃えて言うことがあるのですが、見込み顧客社内で検討が進むと送付した資料はよく見られるようになります。

見込み顧客内で検討がスタートしてからがコンテンツの本領

DealPodsで見込み顧客に共有したWebページのうち、受注した案件の総アクセス数を見ていくと、受注している案件は、かなり見られています。100とか超えてますね。

一方で、失注している案件だったり「検討します」から進まない案件は、あまり見られていないんですよ。

弊社のクライアントさんが受注する案件と失注する案件の総アクセス数の比較ををまとめていたのですが、同じような結果になっていました。初回面談では送付した資料はあまり見られないのですが、検討が見込み顧客内でスタートするとかなり見られるので、総アクセス数は検討度合いのヒントになりますね。

初回面談は、個人の感覚でなんとなくいいなと思ったら社内でとか今後進めようと思うという、感覚論に近い部分があるので、営業担当の腕が必要な部分でむしろコンテンツはそこまで重要ではない気がしています。

コンテンツはカウンターパート(商談の顧客窓口担当)のためにあるのではなくて、カウンターパートの裏にいる社内のステークホルダーが見るために作るというのが正解だと思っていいます。ですので、冒頭にお話した小分けにする、というのはここでも活きてきます。テーマごとに小分けにして送付する。

数十ページの資料を送付しました、それをトラッキングしました、は意味がないです。商談に出ていないのに50ページの資料を送られてきたら苦痛でしかないですよね (笑)

  • なるほど、初回面談段階ではコンテンツの影響度は少ないものの、本当に検討がスタートした時点では、コンテンツを充実させておく必要があるということ、ですね。

顧客の疑問に答えるコンテンツを用意しておく

  • では、どのようなコンテンツを用意しておくのがいいんでしょうか。

会社紹介とプロダクト概要、金額、事例などを10枚程度ずつ分けて送って、トラッキングしていっています。目的別に資料を分けて送信することが重要だと感じています。

DealPodsは、資料のアップロード、テキストでの説明、目次の作成、記事リンクの挿入、組織図も描けるのですが、最初はほぼ白紙のページで、タブの名前も自分たちで決めていくツールになっています。自社の顧客が知りたがっていることに応じてカスタマイズしていく仕様になっていて、プロダクトに顧客の疑問に答えるコンテンツを用意するということが反映されています。

ですので、クライアントさんを支援するときは、プロダクトとは全く関係のない「そもそも何をやるべきなんだっけ」といったところから一緒に考えていく必要があります。50ページある資料を送ってる会社だと、まずなぜ「小分け」にする必要があるのか、ヒアリングのディスカッションはなぜ重要なのか、から説明していきます。

どんなコンテンツを送付すべきかの回答として、明確ではないかもしれませんが、それほどに顧客が必要としている情報を提供する、ということが重要で難しいところで、その部分を我々は支援し続けようと思っています。

  • なるほど、非常に勉強になりました。中谷さん、本日は貴重なお話ありがとうございました!
  • 最後に、佐藤(インタビュアー)から、ちょこっと紹介

今回インタビューを受けていただいた中谷さんの著書「SalesTech大全 攻めの営業DXを実現する最先端テクノロジー」では、DealPodsをはじめとしたさまざまなセールステックツールの紹介と営業DXの進め方が解説されています。ぜひに。

まとめ

DealPodsのコンテンツセールス

  • 営業資料は「小分け」にしてディスカッションを
  • コンテンツはカウンターパートの裏にいる社内のステークホルダーが見るために作る
  • 顧客の疑問に答えるコンテンツを用意しておく

これから、営業組織の最適化・スキルの標準化をしたいと考えている方に、ツールを使わずとも実践できる内容を教えていただいたと感じています。ぜひ、実践してみてください!

本記事は、コンテンツを効果的に営業活動に活用している企業へのインタビュー企画「コンテンツセールス特集」です。自社でこんな使い方をしているよ!という方はぜひ佐藤(@rk310117)まで!

代表 / マーケター / デザイナー

佐藤 立樹

立命館大学在学中に、ベンチャー2社でインターンを経験し、卒業と同時に株式会社Coneを設立。資料作成代行サービス「c-slide」を運営。リリース後1年半で支援企業300社を突破。セールス/マーケ領域の資料が得意。

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