ホワイトペーパーの種類と取り組むべき優先順位を解説 | Coneのコンテンツ制作所

ホワイトペーパーの種類と取り組むべき優先順位を解説

代表 / マーケター / デザイナー 佐藤 立樹
ホワイトペーパー種類

潜在層向けのリード獲得手段として、ホワイトペーパーを活用する企業が増えてきました。(本記事では、ebookとお役立ち資料もホワイトペーパーに含めます)

しかし、ホワイトペーパー施策は行っているけど効果がいまいち実感できないという企業も多いのではないでしょうか。

それは、作成するホワイトペーパーの「種類」を間違えているのかもしれません。自社のフェーズに合わせて、つくるホワイトペーパーは変える必要があります。

そこで今回は、ホワイトペーパーの種類を解説した上で、取り組むべき順番と活用方法を説明します。さらに、各フェーズごとに適したホワイトペーパーの種類もご紹介しますので、自社のフェーズやホワイトペーパー施策の狙い・目的と照らし合わせながらご覧ください。

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ホワイトペーパーとは

BtoB事業で効果的なマーケティング施策の一つに度々名前が挙がるホワイトペーパーですが、本来は「政府が発行する公的な書類である白書」のことです。

一方で、マーケティング用語としてのホワイトペーパーは、「課題の解決方法やノウハウ等、見込み顧客にとって役に立つ情報をPDFにまとめた資料」のことを指します。(本記事では、こちらの意味でホワイトペーパーについて解説します。)

ホワイトペーパーを作る目的は、主に以下の2つがあります。

  • 見込み顧客の獲得(リードジェネレーション)
  • 見込み顧客の育成(リードナーチャリング)

見込み顧客の獲得(リードジェネレーション)

ホワイトペーパーのダウンロードと引き換えに、会社名やメールアドレス等をお問い合わせフォームに入力してもらうことで、見込み顧客の情報を取得します。

お問い合わせには至らないが、自社の商材に興味を持っている見込み顧客と接点を持つことができれば、中長期で信頼関係を作り、顧客へと育てることができます。

このように、リーチしきれていない潜在層や準顕在層のリードを獲得できるのは、ホワイトペーパーの大きな強みといえます。

見込み顧客の育成(リードナーチャリング)

過去に何らかのリード獲得施策(ホワイトペーパー・セミナー・展示会など)で獲得した見込み顧客に対して、課題の解決方法やノウハウなどのお役立ち情報を提供することで、自社への興味を醸成し、商談に繋げることができます。

また、商談後に自社の持つノウハウ等を提供することで、商談済み顧客からの信頼の獲得や検討度の引き上げに寄与し、サービス購入に繋げることができます。

ホワイトペーパーといえば、「潜在層向けのリード獲得手段」として捉えられがちですが、このように、「顕在層を商談に繋げる」「顕在層をサービス導入検討や購入へ繋げる」といったリードナーチャリング施策としても効果を発揮します。

ホワイトペーパーの種類(事例付き)

今回ご紹介するホワイトペーパーの種類は以下の6つになります。事例を用いて紹介するので、どのような内容のホワイトペーパーが存在するのか把握しましょう。

  • ノウハウ系
  • 入門系
  • 導入事例系
  • 調査系
  • サービス紹介系
  • セミナーレポート系

ノウハウ系

自社に蓄積されたノウハウを公開するホワイトペーパーです。「〇〇の方法」などの有益な情報をまとめ、見込み顧客のビジネスの発展に役立つ内容にするのが基本です。

ノウハウ系ホワイトペーパー
CEREBRIX HR 資料ダウンロードページより

自社が特定の領域における専門家であることを示すだけでなく、ダウンロードした見込み顧客がサービスの導入を考え始めたときに、比較検討に勝つ確率を上げれます。

ノウハウ系をダウンロードするのは、サービスの導入を検討しているような顕在層・準顕在層ではなく、「まったく興味がなかったけど、たしかにそうかも」と思ってもらいたい潜在層に向けたコンテンツになります。

入門系

「〇〇とは?」や「〇〇サービスの基礎知識」といった、サービス領域にはじめて興味を持った人に向けたホワイトペーパーになります。

入門系ホワイトペーパー
ブランディングテクノロジー株式会社 資料ダウンロードページより

例えば、Facebook広告を利用したことがない人に向けて、以下のようなテーマのホワイトペーパーを作成します。

  • Facebook広告とは?失敗しない運用方法
  • Facebook広告の基礎知識。始めるときにおさえたいポイント

ダウンロードしてもらい、自社の紹介をすることで、商談につなげられる可能性があります。

導入事例系

自社サービスを導入した顧客にインタビューをし、その活用例などをまとめたホワイトペーパーです。

ひとつの企業の導入事例の場合もありますが、複数の企業をまとめたものを「事例集」として公開することをおすすめします。

導入事例系ホワイトペーパー
SmartHR お役立ち資料ページより

導入事例をダウンロードする見込み顧客は、ある程度サービスの導入を検討している層になります。

「自社と類似の企業が成功しているのか」が気になっているので、事例集は業界ごとに分けるなどして、顧客が知りたいことをまとめて提供します。これにより、自社への信頼を高め、商談につなげられる可能性があります。

調査系

自社でアンケートをとって、その「自社しかしらない事実」をまとめたホワイトペーパーです。調査系のホワイトペーパーをダウンロードしてもらい、「新しい事実」を知ってもらうことで、見込み顧客のニーズを喚起し商談につなげられる可能性があります。

調査系ホワイトペーパー
ビザスク資料一覧ページより

Webで検索しても出てこない情報なので、見込み顧客にとって価値のある情報になりますが、調査をするのにコストや工数がかかるので、ホワイトペーパー施策が成功しはじめてから取り組むことをおすすめします。

ちなみに、調査は「Webアンケートツールを利用する」か「自社の顧客にアンケートをとる」の2つの方法で実施することができます。

サービス紹介系

意外と作成されていないのが、この「サービス紹介系」のホワイトペーパーです。LPからダウンロードされる「〇〇(自社サービス名)サービス紹介資料」はほとんどの企業が作成しているかと思います。

それとは別で、複数種類のサービス紹介資料を作成することをおすすめします。具体的には「1分でわかる〇〇(サービス名)」や「〇〇を向上させる〇〇機能についてのご紹介」などになります。

サービス紹介系ホワイトペーパー
FOCAS 資料一覧ページより

「〇〇(自社サービス名)サービス紹介資料」ではハードルが高くダウンロードしてもらえなかった人たちに、サービス紹介資料の切り口を変えるだけで、ダウンロードしてもらえる可能性があります。

セミナーレポート系

自社で実施したセミナーやウェビナーの内容をまとめたり、セミナー内で出てきた質問に対する回答をまとめたホワイトペーパーになります。

セミナーレポート系ホワイトペーパー
ラクスルセミナーレポートページより

評判がよかったセミナーは、一定数ニーズがあるとわかっているので、それをホワイトペーパーとして公開することで、同じ層のリードを獲得できる可能性があります。

目的に合わせたホワイトペーパーの作成が重要

ホワイトペーパーの種類を紹介しましたが、施策の効果を最大化するために最も重要なのが「自社の目的やフェーズに合わせたホワイトペーパーを作る」ことです。

以下に、目的やフェーズにあっていないホワイトペーパーを作ってしまう、よくある失敗例とその解決策を紹介します。

  • 失敗例①
    • 自社のフェーズ・目的
      • サービス立ち上げ初期で、とにかく商談を増やしたい
    • 作ったホワイトペーパー
      • 「〇〇の方法(コツ)」のような、ノウハウ系のホワイトペーパー
    • 結果
      • 商談に近い「顕在層・準顕在層」ではなく「潜在層」のリードを獲得してしまっているため、リードは増えるが商談数は増えない結果に(潜在層のリードを商談化するにはメルマガ等の施策にてナーチャリングが必要)
    • 解決策
      • 「1分でわかる〇〇(サービス名)」や「〇〇を向上させる〇〇機能についてのご紹介」など様々な切り口のサービス紹介系のホワイトペーパーを拡充

  • 失敗例②
    • 自社のフェーズ・目的
      • サービスサイトへの流入は十分なので、リード獲得数を最大化したい
    • 作ったホワイトペーパー
      • 自社サービス利用顧客へのインタビュー内容をまとめた導入事例系のホワイトペーパー
    • 結果
      • サービス導入検討度の浅い潜在層には興味の薄い内容となっており、潜在層のリードを獲得できない結果に
    • 解決策
      • 「3分で分かる〇〇(流行りの用語)とは?」のような入門系や、「経営者100人に聞いた〇〇」のような調査系の、潜在層の興味を惹くような内容のホワイトペーパーを拡充

c-slideにホワイトペーパー制作をお問い合わせいただくお客様の多くが、上記の失敗例に陥ってしまい、ホワイトペーパー施策を成功させることができずにいます。

以下に、これまでに紹介したホワイトペーパー6種類それぞれの、取り組むのに適したフェーズをまとめていますので、これからホワイトペーパー施策を始めたいと思っている方、ホワイトペーパー施策で思うような成果が出ていない方は、ぜひご参考ください。

ノウハウ系:まだサービス導入を意識していない潜在層に向けて、「〇〇の方法」「△△のコツ」といったノウハウを届けることで、課題意識を醸成するコンテンツ。商談化には中長期的なフォローが必要。

調査系:アンケートや業界データを用い、潜在層・準顕在層に「新しい気づき」を提供することで、ニーズ喚起を狙うコンテンツ。商談化には中長期的なフォローが必要。

入門系:基本的なテーマで、その領域に初めて関心を持った潜在層・準顕在層に刺さるコンテンツ。自社のサービスを知るきっかけとして機能。商談化には中長期的なフォローが必要。

セミナーレポート系:セミナーで得られた知見や質疑応答をまとめ、準顕在層・顕在層(比較検討層)に向けて提供することで、理解促進と検討後押しに貢献。

導入事例系:「自社と似た企業が成果を出しているか」を知りたい顕在層(比較検討層)に向けて、自社の信頼性や実績を訴求するコンテンツ。商談に繋がりやすいリード獲得向き。

サービス紹介系:検討度の高い顕在層に向けて、自社サービスの特徴や導入メリットをわかりやすく伝えるためのコンテンツ。商談に繋がりやすいリード獲得向き。

このように、一口にホワイトペーパー施策といっても、どの層にアプローチするかによって、適したホワイトペーパーの種類は大きく変わってきます。

アプローチしたい層や自社の目的から「ズレた」ホワイトペーパーを作ってしまうと、前述の失敗例のような、成果の出ない状態に陥ってしまうこともあります。

フェーズや目的によって適したホワイトペーパーの種類が異なることを理解し、自社の状況に合わせたホワイトペーパーを作成するようにしましょう。

ホワイトペーパー施策で取り組むおすすめの順番と活用方法

ここまで、ホワイトペーパーの種類や目的、成果の出ない失敗例を紹介しましたが、ここでは、弊社がおすすめする、成果を最大化するための鉄板の作成順序と具体的な活用方法を解説します。

「これからホワイトペーパー施策を始めたい」「どの種類のホワイトペーパーから作るべき?」とお考えの方には、効率よく成果を上げるためにぜひ理解していただきたい内容になります。

【おすすめの作成順序】

  1. サービス紹介系
  2. 導入事例系
  3. 入門系

*)他3つの「調査系」「ノウハウ系」「セミナーレポート系」のホワイトペーパーは、成果が出るまでに時間がかかり、かつ作成工数がかかるので、初期をおすすめしていません。ホワイトペーパー施策が軌道にのってから挑戦してみてください。

1

サービス紹介系

基本的に、検討段階が高い順、つまり顕在層〜準顕在層向けのホワイトペーパーから作成します。

まずは、サービス紹介系のホワイトペーパーを作成しましょう。先述のとおり「〇〇(サービス紹介名)サービス紹介資料」は、フォーム入力のハードルが高いです。

「1分でわかる〇〇(サービス名)」や機能ごと、ケースごとのサービス紹介資料を作成し、お役立ち資料一覧に掲載しましょう。

サービス紹介資料を複数用意すると、商談打診前にニーズの強弱や種類の判別がつきます。メールや電話で、資料の内容に合わせたコミュニケーションを取りましょう。

活用手順
・サイト設置
・ダウンロードされたら、資料に合わせたメールや電話にて商談打診

2

導入事例系

①サービス紹介系と②導入事例の作成の順番はどちらからでも大丈夫です。迷ったら以下の基準で判断しましょう。

サービス紹介系リード数を増やしたい
導入事例系既存顧客が多く、導入事例が豊富

導入事例系をダウンロードする見込み顧客は「導入後、うまくいくか心配」な検討層になります。安心させる材料としての実績になるため、業界別やニーズ別などの事例集を複数作成しましょう。

業界別やニーズ別で事例集が作成できたら、Web上に設置するだけではなくメルマガで配信します。MAツールなどで業界や役職などの顧客情報を蓄積・分類している場合は、ホワイトペーパーの内容と配信するターゲットを合わせましょう。

【活用手順】
・サイトに設置
・メルマガで配信(業界や役職などのセグメントを分類し適切に配信)
・ダウンロードされたら、商談打診

3

入門系

導入事例がある程度整備できてきたら、「〇〇とは?」などの入門系のホワイトペーパーを制作していきます。入門系は検討度が低い、ないしこれから検討に乗る可能性がある準顕在層〜潜在層向けです。

ノウハウ系ではなく、入門系をおすすめするのは、検討から商談につながる期間が短いからです。

ノウハウ系は「自力でやりたい」「自社でなんとかしたい」という動機でダウンロードされるため、商談に引き上げるにはメルマガやMAツールを利用して継続的なコミュニケーションが必要です。

一方で、入門系は「〇〇がわからないから知りたい」という初心者であるケースが多いです。

そのため、ホワイトペーパーによって役立つ情報を提供し、自社サービスが必要だと思ってもらえたら、比較的短い期間で商談につながる可能性があります。

また、サイトに設置したらFacebook広告やディスプレイ広告を利用して、ターゲット層にリーチしましょう。

活用手順
・サイトに設置
・Facebook広告で配信
・ダウンロードされたら、最適な事例集やサービス紹介資料をメルマガ配信
(・ダウンロードされたら、商談打診)

ホワイトペーパーを上手に活用している参考事例

最後に、ホワイトペーパーを上手に活用している企業の事例を3つ挙げておきます。

fondesk

まずは、最近話題のfondeskさんのお役立ち資料一覧ページです。
https://cr.fondesk.jp/resources/dl-contents/(※ 2022年12月1日時点)

fondeskお役立ち資料01
fondeskお役立ち資料02

「サービス紹介系」「入門系」「導入事例系」の順に並んでいます。作成する順番をしっかりおさえて作成している気がします。

Shirofune

次に、広告運用自動化ツールのShirofuneさんのお役立ち資料一覧ページです。
https://shirofune.com/download/(※ 2022年12月1日時点)

Shirofuneお役立ち資料01
Shirofuneお役立ち資料02
Shirofuneお役立ち資料03

ダウンロードTOP5をトップに置いています。邪推かもしれませんが、ダウンロード数TOP5ではなく、商談が進めやすい資料をピックアップしてトップに設置しているのではないかと思います。

それ以外にも「広告主向け」「広告代理店向け」など、ターゲットに対してわかりやすく設置していますね。

ecforce

最後に、なかやまきんに君をCMに起用して話題になったecforceさんのお役立ち資料一覧ページです。
https://ec-force.com/ebook(※ 2022年12月1日時点)

ecforceお役立ち資料01
ecforceお役立ち資料02
ecforceお役立ち資料03
ecforceお役立ち資料04

これがホワイトペーパー施策を進める上で理想の形ではないかと考えています。

顕在層〜準顕在層に向けて

・通常のサービス紹介資料の他に「3分でわかるecforce」を用意
・業界別の導入事例集

準顕在層〜潜在層に向けて

・「10分でわかるEC決済基礎知識」などの入門系
・「トレンド・ノウハウ欄」のノウハウ系

また、ジャンルわけして設置しているのも訪問者にやさしいデザインですね。とはいえ、かなりホワイトペーパーの数が多いので参考にしづらいと思います。まずは上記で解説した順番で、ホワイトペーパーを作成することをおすすめします。

まとめ

今回は、ホワイトペーパーの種類と作成順序をご紹介しました。自社が作成すべき「種類」のホワイトペーパーを適切な「順番」で取り組むよう心がけましょう。

繰り返しになりますが、以下に取り組む順番をまとめておきます。顕在層向けから取り組んで、徐々に潜在層向けのホワイトペーパーを作成しましょう。

① サービス紹介系
② 事例系
③ 入門系

ホワイトペーパー作成・運用時に、本記事が参考になれば幸いです。

当ブログを運営する株式会社Coneは、資料作成代行サービス「c-slide」にて年間200社以上を支援しています。
ホワイトペーパーの作成で以下のようなお悩みを持っている方は一度お気軽にご相談ください。

・ホワイトペーパーの作り方がわからない
・作るべきホワイトペーパーの種類がわからない
・作成する時間がない

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代表 / マーケター / デザイナー

佐藤 立樹

立命館大学在学中に、ベンチャー2社でインターンを経験し、卒業と同時に株式会社Coneを設立。資料作成代行サービス「c-slide」を運営。リリース後1年半で支援企業300社を突破。セールス/マーケ領域の資料が得意。

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