記事1本の売上価値に関する調査レポート。検索ボリューム×CTR×CVRの受注シミュレーションから見えた事実

オウンドメディアの記事をコツコツ積み上げても、「実際に売上にどれくらい貢献しているのか」は、なかなか実感しにくいものです。
本記事では、1本の記事がどれくらいの売上に直結するのかを、具体的な数値をもとにシミュレーションしてみました。
この結果を見れば、単なる記事の積み上げだけではなく、記事の構成やCTA設計を工夫することが売上に直結することがよく理解できます。オウンドメディア運用の効率化や戦略設計のヒントとして、ぜひご覧ください。
目次
調査の前提
オウンドメディアを活用したBtoBマーケティングにおいて、「1本の記事がどれほど売上に貢献するのか?」という疑問は多くの方が抱えるテーマです。
そこで、今回は記事1本の価値を数値的化するため、以下の前提条件をもとにシミュレーションを行いました。
売上の流れ | 検索 → 記事 → サービスサイト訪問 → CV → 受注 |
検索順位 | 検索面で1位を獲得している前提 |
ターゲットキーワード | サービスサイトへの遷移が見込まれる記事 |
記事からサイトへのCTR(クリック率) | 1% ※1 |
サイト内のCVR(コンバージョン率) | 3.5% ※2 |
受注率 | 20% ※3 |
※1 参考:https://firstpagesage.com/reports/cta-conversion-rates-report/
※2 参考:https://unbounce.com/conversion-benchmark-report/
※3 参考:https://timeskip.co.jp/sales/sales_orderrate
売上が上がる流れ

売上を上げるための一般的な流れは、検索、記事、サービスサイト訪問、CV、受注の5つのステップに分解できます。この流れを最適化することで、効率的に売上を向上させることができます。
検索順位

検索順位ごとにCTRが異なるため、本調査ではCTRが高い(一番見られる)1位を獲得しているという前提とします。
ターゲットキーワード
SEO記事は大きく分けると「認知系」と「獲得系」に分けることができます。

サービスサイトからCVを発生させたいため、遷移を見込める「獲得系」の記事に絞って調査を行います。
記事からサービスサイトへの遷移CTR

記事に設置したサービスサイトへのCTAをクリックした率(CTR)は、業界や獲得キーワード、CTAの位置 / 文言などによって異なりますが、業界平均として1%とします。
サービスサイト上でのCVR
記事を読んでサービスが気になった人は、サービスサイトへ遷移し、詳細を確認した上でCV(資料ダウンロード / お問い合わせ)が発生します。サービスサイト上でのCVRは全業界の平均値である3.5%とします。

記事から100流入が起こった場合、CVRを3.5%とすると3.5CVとなります。
受注率
サービスサイトから発生した CVの受注率 は、BtoBの商材や単価・営業体制によって大きく変動しますが、ここでは、SaaS業界の平均受注率である10~30%の中央値となる20%とします。
10人と商談を行い、受注率が20%の場合、受注数は2件となります。
調査結果概要
記事単体の効果は限定的で、検索ボリュームやCTR次第で受注への影響が大きく変わる
- 平均的な条件(CTR1%、CVR3.5%、受注率20%)で計算した場合、1件受注を生むには14,286の検索ボリュームが必要であり、記事1本だけで達成するのはほぼ不可能。
- 記事の検索ボリュームが1,000や10,000の記事では、サイト訪問やCVは発生するものの、受注にはほとんどつながらない。
- 検索ボリューム100,000の記事でようやく7件受注に到達する計算となり、現実的には記事群で戦略的に運用する必要がある。
CTR改善の効果は大きく、記事価値を大幅に引き上げられる
- CTRを2%に改善すると、1件受注に必要なボリュームは7,143まで減少。
- 3%であれば4,762、5%であれば2,857の検索ボリュームで1件受注が可能となる。
- CTR改善の方法としては、記事構成の工夫、CTA設置箇所の最適化、事例や比較記事の活用などが記事単体の効果を引き上げる鍵となる。
受注数を現実的に増やすには、記事数・検索ボリューム戦略とCTR改善の両方が必要
- 記事1本では限界があるため、検索ボリュームが1,000の記事を50〜60本程度用意することが現実的。
- CTRを3%以上に改善できれば、必要記事数は半分以下に抑えられる。
- 単純な記事数の積み上げだけではなく、CTR改善施策を組み込んだ記事設計が受注獲得には不可欠。
検索ボリューム別の受注シミュレーション
はじめに、実際に記事の検索ボリュームごとに、どれくらいのサイト訪問やCV、そして受注につながるのかを見てみましょう。
前提としていた、CTRやCVR、受注率の数値を使って以下の計算式で算出していきます。
- サイト訪問数 = 検索ボリューム × CTR
- CV数 = サイト訪問数 × CVR
- 受注数 = CV数 × 受注率
計算した結果が以下になります。

表からもわかる通り、検索ボリュームが1,000や10,000といった規模の記事では、CTRやCVRを踏まえると1件の受注すら発生しないことが明らかになりました。
実際に受注が期待できるのは、100,000規模の検索ボリュームを持つ記事で1位を獲得した場合で、7件の受注となります。
1件の受注に必要な記事の検索ボリューム
では、1件の受注を獲得する場合、どのくらいの検索ボリュームが必要になるのでしょうか。これを求めるには以下の式で計算してきます。
1 ÷(CTR × CVR × 受注率)
この式に前提で定義した数値を当てはめると以下になります。

検索ボリュームが14,286の記事で1位を獲得してようやく1件の受注が生まれる計算となります。
しかし、記事1本で14,286の検索ボリュームは現実的ではないため、複数記事でカバーするとどうなるかを考えてみましょう。
例えば、検索ボリュームが100の記事の場合、14,286を達成するためには143本が必要になります。検索ボリュームが1,000の記事でも約15本が必要となる計算になります。
検索ボリューム | 1件の受注に必要な記事数 |
---|---|
14,286 | 1本 |
1,000 | 15本(14.3本) |
100 | 143本 |
受注1件を記事で獲得するための目安が算出できました。しかし、これは本当に現実的な数値と言えるでしょうか。
次章では、どうすれば1件の受注獲得コストを減らせるのかについて考えていきます。
1件の受注獲得コストを削減する方法
まず、最初に設定した前提の数値を再度確認してみましょう。
記事からサイトへのCTR | 1% |
サイト内のCVR | 3.5% |
受注率 | 20% |
受注獲得コストを削減する方法には以下の3つがあります。
- 記事からサイトへのCTRを改善する
- サイト内のCVRを改善する
- 受注率を改善する
どれを改善したとしても受注獲得コストは削減できますが「サイト訪問→CV(3.5%)」「CV→受注(20%)」という部分は、業界平均を踏まえれば大きなジャンプは望みにくいのが現状。
しかし「記事からサービスサイト」のCTRは、記事の構成やCTAの工夫次第で大幅に改善できる余地があります。仮に、現状仮定しているCTR1%を2〜3%に引き上げるだけで、売上インパクトは倍〜数倍に膨らみます。
ここでは記事からサイトへのCTRを改善する方法について解説します。
記事構成がサービスサイトへの導線につながる
記事構成は、ユーザーが記事を読み進めながら関心を持ち続けるための「導線」を作る非常に重要な要素と言えます。
ただ情報を羅列するだけではなく、ユーザーが「理解→納得→行動」を自然に結びつけられる流れ(例:課題提起 → 解決策提示 → 事例紹介 → CTA)に設計された構成こそが、最終的にサービスサイトへの導線につながります。
記事構成の作り方ステップは以下になります。

特に、9と10がここでは重要になります。まずは第1構成の流れを見て、自社サービスの認知やコンバージョン(CV)を増やせる箇所を探します。
例えば「営業資料」というキーワードの記事構成においては、
- 受注率が低い営業資料の特徴
- 営業資料のテンプレート
- 営業資料の作成・改善のための最適な構成
- 比較検討の勝敗を左右する「4ページ」
- まとめ
という流れがあった場合、最後の「比較検討の勝敗を左右する『4ページ』」の下に、「営業資料作成の内製と外注の違い」という見出しを追加したり、見出しは追加せずにその中で「支援事例」を紹介したりする方法で、自社のサービスサイトへの遷移につながるポイントを自然に盛り込みましょう。
記事構成の詳しい作り方は以下の記事にて解説しています。
関連記事:SEO記事構成の作り方12ステップ完全版。テンプレート・チェックリスト付
CTAの数 / 位置が適切であればCTRは改善される
記事からサービスサイトへのCTAは、ユーザーの読了行動やページ内の視線の流れに合わせて「数」と「位置」を最適化することで、CTRは大きく改善できます。
多くのオウンドメディアは記事の最下部にのみCTAを設置しています。
しかし実際には、
- 最後まで読み切るユーザーは一部に限られる
- スクロール中に関心が高まった瞬間に行動導線がなければ離脱されやすい
といった現象が生じます。そのため記事の最後だけにCTAを置く構成は機会損失につながるため、複数のCTAを適切な箇所に配置するのが有効です。
例えば、
- 記事冒頭で「詳細はこちら」や「サービス概要を知る」を置くことで、関心があるユーザーを早期に誘導
- 記事中盤、製品やサービスの強みを説明した直後に「無料相談申し込み」「資料請求はこちら」といった誘導ボタンを設置
- 記事の最後に「サービスサイトはこちら」を示して、興味が確定したユーザーを逃さない
このように、複数箇所にCTAを設置することで、サービスサイトへの遷移が自然に増加します。
また、弊社Coneでは、テキストのCTAに加えて、バナー形式のCTAも設置しています。

このバナー形式のCTAは追従するため、読者が記事を読み進める中で、少しでもサービスが気になったタイミングでいつでも遷移できる形をとっています。
記事の構成で自然に読者をサービスサイトへと誘導し、CTAの数や配置を工夫する。この2点を徹底するだけで、記事1本あたりのCTRは平均の1%から2〜3%へ改善することも珍しくありません。
数字だけを見ると小さな違いに見えますが、冒頭で計算した通り、CTRが2%になれば必要検索ボリュームは半分、3%になれば3分の1になります。つまり、同じ記事数でも成果が倍増するわけです。
CTR改善で必要な検索ボリュームはどこまで減らせるのか
前提では記事からサービスサイトへのCTRを1%として計算を行なった結果、1件の受注を獲得するには、14,286の検査ボリュームが必要になることが分かりました。
しかし、前章の「構成」と「CTA」を改善し、仮にCTRが上がったと仮定します。その場合、1件の受注に必要な検索ボリューム数はどれくらい減らせるのでしょうか。
実際に計算していきます。
※ CTR以外は固定(CVR 3.5%、受注率20%)とします。

当たり前ですが、CTRが1% → 3%に上がるだけで、必要な検索ボリュームは 約1/3に減少します。1,000規模の記事で考えれば、15本必要だったものが5本で済みます。
つまり、「記事を増やすこと」よりも「記事からの遷移率を上げること」の方が、はるかに効率的で優先度が高いことが分かります。
売上目標(月間1,000万円)を達成するために必要な記事数
商材単価を100万円と仮定すると、月間売上1,000万円を達成するには10件の受注が必要です。
先ほどのモデルをもとに、CTRごとに「1件受注に必要な検索ボリューム」「10件受注に必要な検索ボリューム」「検索ボリュームが1,000の記事で換算した記事数」を整理してみました。

この結果からわかるのは、CTRをどこまで改善できるかがオウンドメディアの成果を決定づけるということです。
もしCTRが平均値の1%の場合、検索ボリュームは1,000の記事を143本も用意しなければなりません。これではリソース面・時間面で非常に非効率です。
一方で、CTRを3%に改善できれば必要な記事数は48本まで減ります。これは現実的に運営可能な規模感であり、きちんと戦略を立てれば十分達成できる数字です。さらに、CTRを5%まで引き上げられれば、たった29本の記事で月間1,000万円の売上目標が見えてきます。
これを記事1本単価に落とし込むと、以下のようになります。

つまり、オウンドメディアは「とにかく記事数を増やせばよい」というわけではなく、記事からサービスサイトへいかに遷移してもらうか、CTRを高める工夫(記事構成・CTA設計・導線最適化など)が売上に直結するのです。
本調査から得られた知見
- 平均CTR1%では、1受注に必要な記事の検索ボリュームは14,286PVと膨大で、記事数も143本規模になり非現実的。
- CTRを改善できれば必要記事数は大幅に減少し、3%以上なら現実的な運営ラインに乗せられる。
- CTR3%以上、検索ボリュームが1,000の記事を50本前後用意できれば、月間売上1,000万円(10件受注)を十分狙える。
- オウンドメディアの成果は「記事数」ではなく「CTR」で決まる。
- 記事構成やCTA設計などの工夫によって、CTRは改善できる余地がある。
売上目標を達成したい方は「c-blog」へ
本記事で出した数値はすべて検索順位1位を獲得した場合のモデルです。
現実には、順位やCTRによって必要記事数や成果は変動します。そのため、戦略的に記事を設計し、CTRを最大化することが重要です。
弊社Coneでは、記事作成代行サービス「c-blog」を運営しております。

「c-blog」 では、以下のようなサポートを行っています。
- 検索意図に沿った記事構成の設計
- CTRを意識したCTA設置や導線設計
- 売上目標から逆算した戦略設計
「記事をどれくらい書けば成果につながるのか分からない」「CTRを改善する方法がわからない」
こんな悩みを抱えている方は、まずはお気軽にご相談ください。
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