採用ピッチ資料作成ガイド。鉄板構成とスライド項目25種で作り方解説 | Coneのコンテンツ制作所

採用ピッチ資料作成ガイド。鉄板構成とスライド項目25種で作り方解説

代表 / マーケター / デザイナー 佐藤 立樹

採用ピッチ資料とは、企業の魅力やカルチャー、ビジョンを候補者に伝える“採用の営業資料”です。選考前に資料を送る企業も増え、今や「作っていないと不利」とさえ言われる存在になりつつあります。

とはいえ、いざ作ろうとすると「どんな構成にすれば?」「何を書けば?」と手が止まってしまう方も多いのではないでしょうか。

本記事では、これまで数多くの企業の採用資料を手がけてきた弊社Coneが、“刺さる採用ピッチ資料”を作るための構成テンプレートと25の具体的なスライド項目を公開。

構成のロジック、各項目に何を書くべきか、実際によく使われる工夫など、実践レベルのノウハウを詰め込みましたので、ぜひ参考にしてみてください。

また、弊社Coneは資料作成代行サービスc-slideを運営しており、数多くのスタートアップ〜大手企業の採用ピッチ資料作成を支援しています。お困りの方はお気軽にご相談ください。

⇒ 資料作成代行サービスc-slide:採用ピッチ資料支援ページへ

採用ピッチ資料とは

採用ピッチ資料とは、単純に採用候補者に向けた会社説明資料のことです。「え?わざわざ採用ピッチ資料なんて大層な名前つける必要あるの?」と思った方もいるかもしれません。

本当にその通りです。名前かっこつけすぎです。

採用ピッチ資料という名前が広がるきっかけになったSmartHRの宮田さんも最初は、「面接用スライド」と呼んでいます。(※ 参考記事

これまでの会社説明資料と最も異なるのは「Web上に公開する」という点です。

これまでは候補者からの応募があって、面談や面接・会社説明会などで投影するスタイルをとる企業がほとんどでした。しかし、Web上に公開することで事前に会社のことを知ってもらうことができるため、さまざまなメリットがあります。

SmartHRが採用ピッチ資料を公開した2019年以降、検索ボリュームは純増しています。

それだけ多くの企業が取り組みはじめている、ということの表れではないかと思います。では、その多くの企業が取り組むに値するメリットとは何なのか?を次項で見ていきます。

採用ピッチ資料を作成するメリット

一般的には、採用場面において、下記3つのメリットがあります。

  • 認知の拡大
  • ミスマッチの回避
  • 面談にかける時間の削減

認知の拡大

採用ピッチ資料を作成し、スライド共有サービス等に掲載することで、自社をより多くの人に知ってもらえるようになります。

例えば、株式会社SmartHRは、Speaker Deckに採用ピッチ資料を公開することで、応募数が5.3倍に増えたそうです。

公開前と比較して、なんと5.3倍に増えました。すごーい。
こんなに応募が増えたのは完全に予想外で、うれしい誤算でした。

宮田昇始(SmartHR創業者)のブログ

他にも、株式会社メルカリのエンジニア採用ピッチ資料をSpeaker Deckに公開したところ、半年で11万PVの獲得につながっています。

この施策を行うことで、必ずしも応募者が増えるわけではありませんが、採用ピッチ資料を公開する価値は十分にあるといえます。

ミスマッチの回避

採用ピッチ資料は、よりリアルな会社の情報を伝えれるので、企業と求職者の理解の「ズレ」を無くし、採用のミスマッチを減らすことができます。

採用サイトだけでは、その会社を深く知り、理解することが難しいので、求職者が「思っていたの違った、、」と感じ、選考を辞退する可能性があります。

この機会損失を減らすことで、その他の求職者により多くの時間を割けるようになります。

面談にかける時間の削減

メール等で、求職者に採用ピッチ資料を送付することで、求職者の会社理解度が深まり、よりスムーズな面談が可能となります。

資料に詳細な情報が記載されているので、不要なやり取りや質問等を減らすことができるんですね。

また、資料の読み込み具合を見て、志望の本気度を確かめることもできるので、面談コストの削減に繋がります。

採用ピッチ資料作成・公開時の3つのNG

採用ピッチ資料はただ作成するだけでは上記メリットを享受することはできません。先述の通り「Web上に公開する」ことではじめて効果を発揮するからです。

資料を公開することも同時に考えながら作成を進める必要があります。

ここでは、SmartHRに学ぶ採用ピッチ資料のポイントを見ていきましょう。

参考記事:面接用スライドを公開した結果、全部見せます!

1:中途半端な数字NG

給与テーブルや昇給実績などを提示する際、中途半端な実績だと候補者にネガティブなイメージを与えてしまう可能性があります。

SmartHRの場合、資料公開当時は「給与が低い」という噂を多く耳にしていたため、払拭のために昇給実績ページを資料内に入れることを検討していました。ただ、平均年収や昇給実績の数値のインパクトが少ない状態だったため、インパクトが大きい実績ができるまで資料を公開していなかったそうです。

支援実績や昇給実績などのインパクトが少ない場合はページ挿入を控える、もしくはインパクトが大きくなるタイミングに公開をずらすことを検討しましょう。

2:うわべNG

多くの候補者に興味を持って欲しい、応募数を増やしたいとばかりに嘘に近い情報やうわべだけの情報を公開する企業も多く見られます。

仮に実態の伴わない情報や見栄を張った情報を公開して入社数が増加したとしても、入社後にミスマッチが生じ、退職者の増加や会社の悪評につながってしまいます。

このような事態を避けるために、実績や制度に関する”事実”を公開しましょう。SmartHRの資料にはイベントの様子や社内のコミュニケーションの様子がわかる実際の写真や数字が挿入されています。

3:制度羅列NG

福利厚生や評価制度などの制度を公開する際、ただ制度だけを並べているケースが多くありますが、制度の羅列だけを見ても候補者は「へぇ〜」としか思いません。

会社全体の考え方や社風は、整備されている制度に反映されているはず。制度を羅列するだけではなく、その制度の裏側にある考え方や想いを伝え、より深い会社理解の促進に繋げましょう。

採用ピッチ資料は会社の理解を深めるためのもの。採用ピッチ資料の役割を忘れず、ただ制度を羅列するだけは避けるようにしましょう。

採用ピッチ資料作成時の鉄板構成とスライド25種

弊社Coneでは資料作成代行サービスc-slideを運営しており、数々の採用ピッチ資料作成を支援してきました。その支援をする中で、候補者に魅力を伝えるための鉄板の構成が存在するように思います。

ここでは、その支援経験に加えて、100以上の世の中に公開されている採用ピッチ資料構成を確認し、鉄板構成に調整を加えたものを紹介します。

まずは、採用ピッチ資料の大枠の鉄板構成を紹介します。大枠の構成は以下の5つのセグメントに分類することができます。

会社について会社の簡単な紹介をするパート。
会社沿革やミッションなどまずは会社の特長を説明。
事業について実際に携わる事業の紹介をするパート。
事業がいくつあるのか、その事業で社会のなにを解決しているのかなどの説明。
組織について会社の中の「人」についての紹介パート。
どんなバックグラウンドの人が働いているのか、職種などの説明。
環境について実際に働くとなった場合に気になる働く環境の紹介パート。
評価・給与制度や福利厚生などが該当。
採用について採用・応募の流れなど「行動に起こしてもらう」パート。
メンバー紹介や採用サイト・募集職種一覧へのCTAを設置。

その各種大枠の鉄板構成の中には以下のようなスライド項目(全25種:各パート×5項目)が挿入されることが多くなっています。また、弊社Coneが必須と考える項目には(★)を付しています。:詳細は後述

  • 会社について
    • ミッション・ビジョン
    • 代表メッセージ
    • 会社概要
    • 会社沿革(★)
    • 拠点紹介
  • 事業について
    • 事業紹介
    • 事業ミッション
    • 実績
    • 導入事例・お客様の声
    • 今後の展望(★)
  • 組織について
    • 社員数・年齢層
    • 職種
    • バックグラウンド(★)
    • カルチャー
    • バリュー
  • 環境について
    • 評価・給与制度(★)
    • 働く環境
    • 福利厚生
    • イベント
    • ギャラリー
  • 採用について
    • メンバー紹介・声
    • こんな人と働きたい(★)
    • 採用・応募の流れ
    • よくある質問
    • 各種サイトCTA

ここからは、各種スライド項目についてのデザイン参考と挿入する目的について解説していきます。(★)については弊社が考える挿入推奨のスライドなので注目してご覧ください。

また、弊社Cone運営の資料作成代行サービスc-slideでは、多数の採用ピッチ資料支援実績がございます。もし採用ピッチ資料の外注を考えている場合は、以下からc-slideの採用ピッチ資料作成支援実績をご覧ください。

「会社について」パートのスライド項目

最初に会社について紹介するパートのスライド項目を紹介していきます。スライド項目と表現しているものの複数枚にわたってスライドを用意する必要があるものもありますので、あくまでも「項目」としての参考までにご覧ください。

「会社について」のスライド項目以下5つを紹介していきます。

  • ミッション・ビジョン
  • 代表メッセージ
  • 会社概要
  • 会社沿革(★)
  • 拠点紹介

ミッション・ビジョン

引用:株式会社SmartHR_会社紹介資料

会社のミッションやビジョンを示すスライド項目です。このスライドはどの企業も挿入すると思いますので、さらっと説明を終えます。

ミッションやビジョンへの強烈な想いがある場合は、複数枚にわたって説明を行う企業もありますが、基本的に、ミッションのみの場合もビジョンも示したい場合も1スライドで説明を終えて大丈夫です。(語弊を恐れずに申し上げると、候補者はそこまで気にしていない場合が多いです)

代表メッセージ

引用:会社紹介資料

代表メッセージのスライド項目です。先述のミッションスライドと同一スライドで説明する企業も多いですが、できれば代表の顔写真と代表の言葉があるほうが良いかと思います。

単純に採用説明会等で代表の言葉が紹介されたり、代表スピーチがあるのと同様です。

会社概要

引用:株式会社TVer 会社紹介資料

会社名や所在地、設立日などの会社の基本的な情報を示すスライドです。左記基本的な情報とともに、会社のオフィス風景・働くメンバーの顔写真・ミッション・企業ロゴなどを付すスライドが多くなっています。弊社Coneのおすすめとしては「オフィス風景」もしくは「オフィスで働くメンバーの笑顔」になります。各スライドで働くイメージを掴んでもらうために「写真」「風景」はどのライドでも多様することを推奨しています。

会社沿革(★)

引用:カバー株式会社採用候補者向け会社紹介資料 / COVER Corp Introduction

会社が設立されてからどういうストーリーで現在まで歩んできたのかを簡単に示すスライド項目です。上記カバーの例では「事業の立ち上げ・従業員の増加」の沿革となっています。

ここで示す内容は候補者に知っていてほしいものを選ぶようにしましょう。そのため、企業によって異なる数値や軌跡の内容が並ぶことになります。

この沿革スライドは「これまでどのような歴史があって、この企業の現在地点がある」ということを視覚的に理解できるため、挿入推奨となっています。

その背景を知ったうえで今後のこの企業にどのように貢献したいか・するべきかを感覚的に候補者に理解してもらうのに有効なスライドとなります。

拠点紹介

引用:スマートキャンプ株式会社 会社紹介資料 / companydeck

拠点紹介は、自分が働くかもしれない場所をイメージするために必要なスライドとなります。リモートで働きたい人・出社したい人、どちらの要望にも回答するために有効なスライドです。

リモート可能な企業も、もし企業規則として週1の出社を求める場合は、この拠点の情報がなければ「候補者が週1出社可能かどうか」がわからないため、拠点が複数あり受け入れができる状態の企業であれば示しておくのが賢明です。

「事業について」パートのスライド項目

会社紹介を終えると次は「事業について」説明していくパートに移ります。

「事業について」のスライド項目以下5つを紹介していきます。

  • 事業紹介
  • 事業ミッション
  • 実績
  • 導入事例・お客様の声
  • 今後の展望

事業紹介

引用:会社紹介資料

複数事業を展開している場合は、その全体像を示した後に、各事業の説明を行います。各事業のつながりはどうなっているのかを説明したうえで、各事業の詳細説明に入ります。

各事業の詳細説明部分は営業資料やサービス紹介資料のように、事細かに説明する必要はありません。この採用ピッチ資料の目的は「候補者に自社を知ってもらうため」「採用についての重要な次項を理解してもらうため」であって「サービスを導入してもらうため」ではありません。

そのため、各事業簡単に特徴や実績を示す1スライド程度を用意するだけでOKです。

事業ミッション

引用:株式会社SmartHR_会社紹介資料

事業運営を通して実現したいこと・事業ミッションを示すスライド項目です。複数枚にわたって「これらの事業を通して、どんな社会課題を解決しようとしているのか」を解説していきます。

顧客に対しては「今できること」を説明しますが、候補者に対しては「これからもずっと目指していくこと」を示し、共に目指してほしいと語りかけることが重要になります。

実績

引用:株式会社アトラエ|会社紹介資料 / Join us

各事業の実績を示すスライド項目です。リリースから今までの導入企業数や売上高、また主要な導入企業などを記します。

顧客向けの営業資料では「各業界別」や「企業規模別」に導入企業を列挙したりと、目の前に座る相手に応じて導入事例を差し替えたりすることが効果的ですが、この採用ピッチ資料における実績は「候補者に誇りを持ってもらう・信頼性を示すこと」が目的なので大きければ大きい方が良いです。

導入事例・お客様の声

引用:キャディ株式会社 会社紹介・採用説明資料

実績を示した後は、個別に導入事例やお客様の声を紹介します。導入事例の一覧は「候補者に誇りを持ってもらう・信頼性を示すこと」が目的でしたが、この個別の導入事例については「本当に顧客が満足しているサービスを運営しているのか」という問いに答えるためのスライドになります。

そのため、有名な企業事例でも良いですが、事例の中でも特に成果を上げられた例を示すと良いと思います。

今後の展望(★)

引用:株式会社SmartHR_会社紹介資料

今後、事業をどのように展開していくのか、広げていくのか、売上を拡大していくのか、などの戦略を示すスライド項目です。

1枚で簡単に示すのではなく、複数枚にわたり「どのような戦略をとって、どのように成長していくつもりなのか」を細かく説明します。

最初に紹介した「ミッション」スライドは、企業がある限り存在する目標のようなものですが、この「今後の展望」スライドは、直近の目標を示す中期経営計画のようなものになります。

再三再四になりますが、採用ピッチ資料は「これから入社してくる候補者」のための資料ですので、実績などの過去よりも今後の戦略などの未来の情報のほうが重要度が高いのです。自分が入社してから直近でなにを目標に働くべきなのかイメージがしやすくなります。

「組織について」パートのスライド項目

事業紹介を終えると次は組織についての紹介パートに移ります。どんどん「会社」という大枠から「チーム」「個人」という現場に近づいていきます。

「組織について」のスライド項目以下5つを紹介していきます。

  • 社員数・年齢層
  • 職種
  • バックグラウンド(★)
  • カルチャー
  • バリュー

社員数・年齢層

引用:株式会社SmartHR_会社紹介資料

会社に所属する社員数を年齢層ごとやエリア別に示すスライド項目になります。このスライドは単純に会社に所属しているのはどんな人が多いのかを、概要把握してもらうために挿入するスライドです。

20代が多いのか30代が多いのか、や中途採用と新卒採用ではどちらのほうが多いのか、など「なんでもいいだろう」と思うかもしれませんが、候補者からするとそれが重要だったりするので、なるだけ多くの切り分け方で説明しておくのが良いと思います。

職種

引用:株式会社SmartHR_会社紹介資料

会社や事業によって異なる職種があると思いますが、その職種の一覧を記載するスライド項目になります。上記SmartHRの例で見てみると、展開する主事業はプロダクト(≠コンサルティングや受託事業)であるため、ビジネスサイドとプロダクトサイドに切り分けた職種紹介となっています。

ここでは、どんな職種があるのか、そしてその職種のバランスはどうなっているのかを記すことで、候補者の組織理解を促します。

バックグラウンド(★)

引用:株式会社アトラエ|会社紹介資料 / Join us

次は、所属している社員・メンバーがどんなバックグラウンド(経歴)をもって入社してきた人たちなのかを紹介するスライド項目になります。前職の企業名・職種とともに現職の職種を掲載します。

採用候補者が見たときに、自分と似た境遇・経歴の人が活躍していれば安心して応募・入社できるという心理状況になる「後押し」スライドとして機能します。

経歴だけではなく、その経歴を持った人が「前職で何をしていて、現職ではそのスキル・経験を活かしてどのような活躍をしているのか」をスライドで説明する企業もあることからも、採用候補者に「類似事例」を提供することは重要なのではないかと考えることができます。

カルチャー

引用:会社紹介資料

カルチャースライドは、どの企業も用意すると思いますが、ここでのポイントは「どの企業でも言えそうな口当たりの良い言葉」を並べるのではなく、「自社独自の制度やルール」のようなものを「名詞」で羅列することです。

言葉で雰囲気(≒カルチャー)を説明するよりも、制度に落とし込まれたものをカルチャーとして紹介します。

バリュー

引用:株式会社カミナシ 会社紹介資料 / カルチャーデック

最後にバリュー(行動規則・価値観)を列挙するスライド項目です。いくつかあるバリューを一覧で記し、その後に1枚ずつのスライドで各バリューを説明する形式が多くなっています。

その際のポイントとしては、言葉の説明だけではなくそのバリューに紐づく行動や社内イベントなども紹介することです。実際にそのバリューが社内浸透していることが候補者に伝わるはずです。

「環境について」パートのスライド項目

組織について理解を促進することができたら、次は「実際に入社するとしたら」と具体的な情報提供パートである「働く環境について」に移ります。

「環境について」のスライド項目以下5つを紹介していきます。

  • 評価・給与制度(★)
  • 働く環境
  • 福利厚生
  • イベント
  • ギャラリー

評価・給与制度(★)

引用:株式会社SmartHR_会社紹介資料

評価制度や給与制度を紹介するスライド項目です。どのように評価が決まるのか・それがどのように給与に反映されるのか、が明確に理解できるスライドを用意します。

職種によって給与が異なる企業は職種ごとの給与範囲を、等級を用意している企業はその等級によって異なる給与の範囲を。そして、それがどのようにUPしていくのかが決まる評価制度を。簡潔かつわかりやすく説明します。

昇給実績や職種ごとの平均年収などを示す企業もあり、これが非常に応募増加に有効な手段のひとつです。平均年収を記載した結果、応募数が増加したという企業も。

通常、会社説明会や、入社前の最終面談で説明されることが多い「評価・給与制度」ですが、採用ピッチ資料として先にWeb公開しておくことで候補者の信用度向上と「その評価基準・給与範囲に納得している候補者」の応募を獲得することができます。

働く環境

引用:キャディ株式会社 会社紹介・採用説明資料

フルリモート制度やフレックスタイム制などの勤務形態などの、働く環境について説明するスライド項目です。

すでに働いている社員の声を吸い上げ、気に入られている制度や環境を最初に出すようにします。その後で、他に存在している環境面についてのスライドを複数用意します。

福利厚生

引用:会社紹介資料

会社で整備している福利厚生の制度を紹介するスライド項目です。ここでのポイントとしては、単に制度を列挙するのではなく「なぜ用意しているのか」「この制度はなんのために存在しているのか」などを一緒に説明することです。

そうすることで「どんな面に強くサポートの特徴が出ている会社なのか」を伝えることができます。上記GAテクノロジーの例でも、「社員の成長をサポート」する制度や「心身の健康をサポート」する制度など「なぜ・どんな」が表記されています。

イベント

引用:Company Deck

社内で定期的に行われているイベントを紹介するスライド項目です。これは、名詞を紹介することでカルチャーも伝わる良いスライド例です。そのため、会社の雰囲気が色濃く出ているイベントを選んで紹介するようにしましょう。

なぜこのイベントを行っているのか、という理由も合わせて説明すると、より会社の雰囲気やカルチャーへの理解度が高まります。

ギャラリー

引用:会社紹介資料

「組織について」の最後はギャラリーで、会社の写真を並べるだけのスライド項目です。ここでは、オフィスの各所の写真だけではなく、社員・メンバーが働いている様子の写真も掲載できると良いです。

なぜ写真を掲載するのか。それは、採用候補者に「ここで働くイメージを持ってもらうため」です。そのため、単なるオフィス写真ではなく、そこで働いている人も合わせて写しておくのが良いのです。

「採用について」パートのスライド項目

ここまでの構成・スライド項目を経て、採用候補者には「働くイメージ」を掴んでもらっています。この「採用について」パートは、その候補者に対しての【後押し】をするパートとなります。

マーケティング観点で言うと「CVポイント」となりますので、応募をしてもらう(CVRを高める)ための重要なパートです。

「採用について」のスライド項目以下5つを紹介していきます。

  • メンバー紹介・声
  • こんな人と働きたい(★)
  • 採用・応募の流れ
  • よくある質問
  • 各種サイトCTA

メンバー紹介・声

引用:株式会社overflow – Company Deck

働いている人の声を掲載するスライド項目です。上記スライドのように、複数名の声を集めたスライドや、1人1スライドでインタビュー形式で作成している企業もあります。採用数が多い職種順に用意することがポイントです。

「実際に働いている人がどのように会社を評価しているのかがわかる」・「顔写真があることでよりリアルに感じる」という採用サイトに掲載しているようなメンバーインタビューと同じような効果があります。

こんな人と働きたい(★)

引用:キャディ株式会社 会社紹介・採用説明資料

「こんな人と働きたい」や「今の会社の状況」を説明するスライド項目です。要するに「会社には現状こんな課題があるので、それを助けてくれるメンバーがほしい」というメッセージスライドになります。

最初から期待されていることがわかりやすく、ミスマッチ防止・採用したいメンバーからの応募獲得に効果があるスライドとなっています。

通常、「ハキハキした人!」のような「人の条件」を出してしまいがちですが、上記キャディの例のように「今会社にはこんなことが足りていない!」と「コトの状況」を説明することで、それを解決できる人材の応募が期待できます。

人は自己分析が苦手なので「人の条件」を明示しても、該当するかどうか自分で判断するのが難しいのです。「コトの状況」であれば「私なら解決できる!」と該当するかどうかの判断が容易になります。

採用・応募の流れ

引用:株式会社カミナシ 会社紹介資料 / カルチャーデック

応募から採用までの流れを簡潔に示すスライド項目です。新卒採用を行っている会社は、新卒・中途別に2枚の流れを用意します。

このスライドは特段解説することがありませんので、これくらいにしておきます。が、効果としてはサービス紹介資料などにおける「支援の流れ」や「契約の流れ」と同じく、問い合わせ(=応募)を促すためのスライドとなっています。

よくある質問

引用:スマートキャンプ株式会社 会社紹介資料 / companydeck

よくある質問も同様に、最後に後押しをするためのスライド項目です。

ポイントとしては、これまで採用してきたメンバーに最初によくもらった質問をこの「よくある質問」に掲載することです。それが蓄積できていない場合は、現メンバーに「応募時」と「入社前」に気になったこと・不安だったことはなにか?という質問をすると良いです。

各種サイトCTA

引用:会社紹介資料

最後に、CTAですね。募集職種一覧ページや採用募集サイトのサイトURLを設置するスライド項目となります。サービス紹介資料で言うところの「お問い合わせ」や「無料相談」が表記されるスライドです。

最も遷移してほしいサイトを目立つ箇所に置きます。多くの企業では「応募」が最重要次項だと思うので「採用サイト」や「応募ページ」のサイトURLを目立つように設置しておきましょう。

また、すぐに応募するという強者はなかなかいませんので、採用に関する情報を発信している他の媒体(note、採用ブログ、他SNSなど)を掲載しておくのも良いでしょう。

・・・

これで、採用ピッチ資料のスライド項目25種すべての紹介は終了です。どのスライドを挿入するべきか迷ったり、よくわからないなという方は一度お気軽にご相談ください。

⇒ 資料作成代行サービスc-slide:採用ピッチ資料支援ページへ

資料作成代行サービスが選ぶ採用ピッチ資料参考事例

ここからは、資料作成代行サービスc-slideを運営する弊社Coneが厳選した以下「5つの採用ピッチ資料の参考例」を紹介します。

どこが参考になるのかの「ポイント」も一緒に解説しますので、注目してお読みください。

  • SmartHR
  • FABRIC TOKYO
  • Asobica
  • キャディ
  • UUUM

SmartHR

まずは採用ピッチ資料の火付け役であるSmartHR。採用サイトの更新に合わせて資料デザインを都度アップデートしていることからも、企業ブランドの確立に重きを置いていることがわかります。

そのデザインや構成はもちろんですが、着目すべきは「給与・昇給実績」のスライドです。評価・給与制度を紹介するだけではなく、当期の平均年収や昇給実績を掲載しています。

引用:株式会社SmartHR_会社紹介資料

また、給与レンジも詳細に記載しており、入社後の昇給イメージが明確になっています。このスライドがあるおかげで、少なくとも賃金・報酬面での不安を払拭できているのではないかと思います。

資料が、というか、企業として、尊敬。

FABRIC TOKYO

次にFABRIC TOKYO。こちらも採用ピッチ資料といえば、よく名前が上がる企業・資料となっています。

その中で特筆すべきは「会社沿革」スライドです。(RICHIKAも同様のフォーマットとなっているので見てみてください)

FABRIC TOKYOの会社沿革スライドは、従業員数などのデータが主ではなく、売上の推移背景やオフィス移転、新規プログラム開始などの「出来事ベース」になっています。それを複数枚のスライドで年次ごとに紹介している厚みです。

引用:FABRIC TOKYO会社紹介資料 / We are hiring(2024年10月23日更新)

どんな経緯で今の売上なのか・事業展開なのかを出来事を通して説明することで、従業員や売上高のみの温度の少ない沿革では伝わりきらない、企業意思や方向性が伝わるスライドとなっています。

もうこれは、軽い企業史書籍ですね。

Asobica

コミュニティ運営SaaSを提供する、Asobicaの採用ピッチ資料はメッセージがひとつにまとまったシンプルでわかりやすい点が特徴です。読み物として非常に読みやすく、すっと内容が入ってきます。弊社Coneもこの点は意外と重要なことだと考えています。

「そのシンプルでわかりやすい」が最も反映されているのが、この「数字で見るAsobica」スライドです。男女比・平均年齢・勤務地などの基本的な情報をイラストベースでわかりやすく表現。

引用:Company Deck

また、大事にしているであろう・多くの質問が寄せられるであろう項目(女性管理職・育児休業制度取得・育児しながら働くメンバー)も同様スライド内に表記。

うん、とっても良い。あたたかい。

キャディ

次は、製造業SaaSを提供するキャディの採用ピッチ資料。見てもらうとわかるのですが、まさしく「ピッチ資料」です。本記事で解説した「構成」に当てはまらず、流れを重視した資料になっています。例えば、「キャディが挑む課題」でミッションを説明した後にスムーズにプロダクトの紹介に入ります。

そんなプレゼンのような流れの資料ですが、その中でも光るスライドが「キャディで働く魅力」のスライドです。

普通はこのスライドはこの一覧ページで終了しますが、それを分厚く1枚ずつ使って説明している。そしてそれがたしかに魅力的なのです。(ぜひ該当ページで見てみてください)

引用:キャディ株式会社 会社紹介・採用説明資料

おそらく、その「キャディで働く魅力」を働いている人が実感していて、その現場や経営層の思いを綴ったのがこのスライドではないかと推測しています。採用ピッチ資料は、採用候補者へ自社の魅力を伝えるツールですので、キャディの資料は本来の目的を達成するものとなっています。

UUUM

最後にUUUM株式会社。リブランディングに合わせて刷新された資料で、以前までのUUUMのイメージがガラリと変わった資料になっています。この伝わるイメージの刷新が採用ピッチ資料で実現できるのが面白いですね。

実際、「候補者に対しての従来のイメージを払拭したい、経営戦略・事業戦略まで候補者に理解してもらいたい」という狙いで資料の改善を実施。

その狙いを実現できているのが「今後の展望について」スライドです。見出しひとつ分まるっと使い、計7Pで今後の戦略を細かく説明しています。

引用:【UUUM株式会社】Company Deck2025__(会社 / 事業紹介資料)

中でもこの「今後の成長戦略」スライドは、時間軸で表現されており「今どこにいるのか」「なにができていて」「まだなにができていないのか」がわかりやすい。会社を成長させるメンバーを募集したいという意図が詰まったスライドになっています。

そして、実はこのUUUM株式会社の採用ピッチ資料は弊社Coneの資料作成代行サービスc-slideで、2度にわたり支援させていただいたものです。

以下の事例記事で紹介していますので、詳しくはこちらをご覧ください。

まとめ

本記事では、「刺さる採用ピッチ資料」を作るための構成テンプレートと、具体的に盛り込むべき25のスライド項目を紹介しました。

  • 会社について
    • ミッション・ビジョン
    • 代表メッセージ
    • 会社概要
    • 会社沿革(★)
    • 拠点紹介
  • 事業について
    • 事業紹介
    • 事業ミッション
    • 実績
    • 導入事例・お客様の声
    • 今後の展望(★)
  • 組織について
    • 社員数・年齢層
    • 職種
    • バックグラウンド(★)
    • カルチャー
    • バリュー
  • 環境について
    • 評価・給与制度(★)
    • 働く環境
    • 福利厚生
    • イベント
    • ギャラリー
  • 採用について
    • メンバー紹介・声
    • こんな人と働きたい(★)
    • 採用・応募の流れ
    • よくある質問
    • 各種サイトCTA

特に(★)は、多数の採用ピッチ資料作成を支援してきた弊社の推奨スライドとなりますので、ぜひ貴社の採用ピッチ資料に挿入してみてください。

採用競争が激化する今だからこそ、なんとなくで作られた資料ではなく、「伝える意図」と「読み手の理解」が設計された資料が求められています。本記事の内容が、そんな資料づくりの一助となれば幸いです。

また、自社に制作リソースがなかったり、情報の整理の方法がわからない、などでお困りの方はいつでもお気軽にご相談ください。

⇒ 資料作成代行サービスc-slide:採用ピッチ資料支援ページへ

代表 / マーケター / デザイナー

佐藤 立樹

立命館大学在学中に、ベンチャー2社でインターンを経験し、卒業と同時に株式会社Coneを設立。資料作成代行サービス「c-slide」を運営。リリース後1年半で支援企業300社を突破。セールス/マーケ領域の資料が得意。

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