対面接点を標準化する
03 営業資料改善の手順
営業資料改善のゴールは「営業トークを型化し、受注率を上げること」です。そのためには、自社でもっとも成果を上げているメンバーの営業方法に、ほかのメンバーが合わせていく必要があります。
常に成果を上げているメンバーは顧客がサービスによる課題解決イメージを鮮明に抱くことができるトークをしているはずです。そこで、営業トークの型化を行う際にはまずそのトークの流れを資料に起こしていくことが効果的です。
以下の手順で営業資料の改善を進めます。
- 前提の整理
- トップセールスの商談を録画
- 商談の流れを文字起こし
- 現資料と照らし合わせ
1. 前提の整理
まずは、資料を通して商談で達成したいゴールや前提条件などを前提書(弊社がクライアントの資料を改善するときに整理するポイントをまとめたもの)を使って整理します。
改善背景 | 「商談の流れに沿った資料に改善し、全体の受注率を向上させたい」などの資料を改善する理由 |
資料の活用場面 | 「リスティング広告で獲得したインバウンドリードへの初回提案(オンライン)」などの資料を活用するシーン |
資料の活用方法 | 「オンライン商談中・商談後送付用」などの資料を何に使うか |
ターゲット | 「〜〜に課題を抱えているBtoB企業」等、資料を見せて商談を行う相手 |
達成したいゴール | 「次回の具体的な提案につなげる」など商談後の理想の顧客態度変容やゴール |
この前提書に沿って以下改善を進めていきます。都度この項目に整合性があるかどうか、ゴールが達成できる資料になったかどうかを確認できる指標となります。
2. トップセールスの商談を録画
定常的に成果の出せるトップセールスの商談を録画します。顧客の業種やニーズによって商談の流れや内容が異なるため、複数回録画することをおすすめします。
事前に業種やニーズを分け、依頼が多かったり今後とっていきたい層を決定し、5種程度を目安に録画しましょう。
3. 商談の流れを文字起こし
録画が完了したら、それを丁寧に文字起こししていきます。録画のまま分析をしてもいいのですが、商談の構造を分解することが難しいので文字起こしすることをおすすめします。
文字起こししたら「ここまではヒアリングの話をしていて、ここからは商品の紹介をしているな」など明確に商談の流れがわかってきます。
記事を書く時のように、見出しをつけて構造化します。
4. 現資料と照らし合わせ
どの商談でも使っていないページがあると思うので、その資料を削除します。逆に文字起こししたテキストから、資料にはないのにどの商談でも伝えていることがある場合は、資料の構成に追加します。
こうして完成した資料は「成果が出ている営業と同じトークの流れで商談を進められる営業資料」になっているはずです。
【最大のポイント】トップセールスがスライド外で実施していることを究明
営業資料改善における最大のポイントは、トップセールスがスライド外で実施していることを究明することです。それがトップセールスが成果を上げている要因である場合が多いのです。
そのスライド外で実施している内容を、スライド内に型として反映することで、だれでも同じように成果を上げられる資料へと進化します。
たとえば、弊社の資料作成代行サービスc-slideはアウトバウンド営業を一切行っておらず、商談に至る顧客はすべてインバウンドもしくは紹介となっています。インバウンドで流入する顧客は顕在化した課題を抱えている場合が多く、具体的な課題をどう解決できるかを求めて商談を設定しています。
成果を上げているメンバーがその状態の顧客に対して行っている商談を分析すると、「深いヒアリング→実際の資料の構成提案」が、トップセールスがスライド外で行っていることでした。
そこで、メンバー全員が依頼背景や現状の課題感の詳細をうまくヒアリングするために、次のページを用意しました。
また、商談相手との合意形成のためにもヒアリング内容をその場で記載することができるデザインにしています。
ヒアリングでは深掘りのスキルが必要となるため、項目を用意するだけではメンバーによっては深いヒアリングができない可能性があります。そのため、ヒアリング内容はその場で記入するようにしてもらっています。
このヒアリング内容をもとに最適なプランの提案(=ソリューションの提案)を行いました。このヒアリングスライドを挿入した結果、トップセールス以外の受注率が向上しています。
このように成果が出ているメンバーの「なにが受注率に影響を及ぼしているのか(=スライド外で実施していること」の仮説を立てて、重要なパートを「誰もができるかたち」で営業資料に反映させます。